ウェールズに行く
――ウェールズ旅行宿編――

It is far to look homewards (Welsh Proverb)
思えば遠くへ来たものだ (ウェールズの諺)




注意!:これらの情報には正確をきしておりますが、個人の責任において使用してください。万が一そちらが損害をこうむった場合、当方では一切の責任を負いかねます。ご了承ください。



ウェールズの宿
宿全般
 ホテルB&Bイン、そしてゲスト・ハウスがその主流を占める。チェック・イン及びチェック・アウトの時間は、宿によって様々だが、レセプション(reception;イギリス英語でフロントのこと)がしっかりしたホテルならば、24時間チェック・インは可能だ(詳細は各ホテルに事前に確認のこと)。

 部屋の種類はどの施設も同じだ。シングル・ルーム(Single Room)は1人部屋だ。ツイン・ルーム(Twin Room)はベッドがふたつある部屋で、ダブル・ルーム(Double Room)はダブル・ベッドがある部屋。ファミリー・ルーム(Family Room)は家族向けで、3〜5人用。
 ダブル・ルームやツイン・ルームを一人部屋として提供してくれる場合もある。これをsingle occupancyと言うが、宿からこの条件が提示された場合、通常、シングル・ルームに泊まる料金とツイン・ルーム(もしくはダブル・ルーム)の料金の中間の料金を請求される。筆者の場合、部屋とベッドが広く使えるので得した気分になる。

(左→右)シングル・ルーム/ツイン・ルーム/ダブル・ルーム
撮影(左→右):2003年8月Black Boy Inn(Caernarfon)/
2002年8月Oswald(Bangor)/2003年8月Pennant(Aberdaron)

 宿によっては、トイレやシャワーが共用の場合もある。これらの設備が、部屋に備え付けられている場合は割高となる。なお前者のものを"a room to share the bathroom"と、後者のものを"a room with private shower and toilet"、もしくは"ensuite"のように、宿の広告では表記している。

 部屋には大抵、机、クローゼット、ベッド、洗面台、TVがある。タオルの類は宿で貸してくれるが、浴衣のような寝巻きの貸与はない。ドライヤーなどのその他の室内設備、紅茶(ティーバック)やコーヒー(インスタント)など飲み物のサーヴィスや、シャンプー、リンスなどのアメニティ・グッズのサーヴィスは、宿によって異なる。セキュリティ・ボックスは高級ホテル以外ではないと思ったほうが、無難だ。


ルーム・サーヴィスの例
ビスケットや紅茶、インスタント・コーヒー、ホット・チョコレートなどがある。
左手後方にある白いものはイギリス特有の電気ポット。
水を注ぎ、スイッチを入れれば、数分で沸騰する。だが湯の温度を保つことはできない。
(2004年8月スウオンジーにて撮影)

 宿泊サーヴィスには多くの場合、寝床(Bed)と朝食(Breakfast)の提供が含まれるが、夕食は含まれない。これがいわゆるBed & Breakfastと呼ばれる、近年、日本でも知られるようになってきたB&B方式である。
 朝食は、泊まっている部屋ではなく、食堂もしくはブレックファースト・ルーム(Breakfast Room)(下写真;撮影2004年ニューポートのGolden Lion Innにて)と呼ばれる別室で出される。高級ホテルならばビュッフェ形式のこともあるが、大抵は、紅茶(もしくはコーヒー)、トースト、シリアル、目玉焼き、ソーセージ、ベーコンなどのいわゆるイングリッシュ・ブレックファーストだ(詳しくは、「ウェールズを食べる――ウェールズの料理あれこれ――」参照)。またチェック・イン時に、翌朝の朝食の時間を聞かれることも多い。約束した時間には、寝坊して遅刻などしないように!


宿の予約
 日本の旅行会社で予約をとることも可能だ。だが、その場合、かなり限られた条件の中で選ぶことになる。旅行代理店が契約している宿でしか、予約がとれないためだ。しかし宿との交渉など日本国内での雑事は全て代行してくれる(ただし手数料が必要)ので、かなり楽だ。

 そのため、ウェールズの観光庁が発行している無料パンフレット(英国政府観光庁(BTA)にて入手可能)に掲載されている宿のリストや、A1 TourismSmooth Hound SystemsStay in Walesなどのインターネットのサイトを参照した方が、選択肢の幅が格段と広がる。
 当サイトからも、いくつかのサイトにリンクを張ってあるので参照していただきたい。リンクは、こちら

 前述の方法で希望の宿が決まれば、後は宿と直接交渉するだけだ。かつては国際電話が主流だったが、近年では便利なことに、予約をeメールやファックスで出来る宿も、増えている。インターネットでの検索の場合、地図上での位置が確認できる(大抵の宿のサイトでは、multi map.comなどの地図無料提供サイトへのリンクが張られている)。
 予約の前には、最寄駅やバス停からの行き方や室内設備、そして車の場合は駐車場の有無を確認しておこう。VAT(付加価値税)やサーヴィス料金が宿泊代に含まれているかは、必ず確かめておくこと。クレジット・カードでの支払いを考えている人は、カードが使えるかどうかも聞いておくべきだ。公告にキャンセルについての記載がなければ、あらかじめ聞いておいたほうがいい。近くに食事が出来る場所があるかどうかも確かめておいたほうが、泊まる場所によっては無難かもしれない(イギリスの宿では夕食が出ない)。

 個人で直接予約をする場合、クレジット・カードの番号を聞かれることがある。大抵これは支払方法を尋ねているのではなく、予約の保障としてカード番号を押さえるのが目的だ(註:予約の保障金として、カードからあらかじめ数日分の宿泊代をとるところもある)。eメールで予約をとる場合は、個人情報を守るためにも、宿のほうから聞かれるまでは、番号などは教えないほうが良い。これは宿を疑っているのではなく、eメールの安全性は低いからだ。

 また、現地に行ってから観光案内所に紹介してもらう手もある。この場合、紹介料(手数料)をとられる。また、希望の宿が観光協会に属していないと、観光案内所では予約をとることができない。

 また予約の際には、大抵、到着時間を聞かれる。この際宿に伝えた時間は、必ず守るように。もし道路事情などで遅れそうな場合は、必ず先方に電話すること。先方に迷惑がかかるだけでなく、自動的にキャンセル扱いにされる場合もある。

ホテル(Hotel)
 ホテルと一口に言っても、千差万別だ。高級ホテルからプチ・ホテルや、エコノミー・ホテルまである。高級ホテルならばサーヴィスは間違いないが、プチ・ホテルやエコノミー・ホテルでは、同じ宿泊料金を払っても、サーヴィスに差が出る場合が多いようだ。これはサーヴィスそのものが、地元の物価やオーナーの裁量を反映しているからだ。

 高級ホテルの宿泊料金はウェールズの田舎といえども高価だが、その分、セキュリティがしっかりしており、部屋の設備やサーヴィスも良い。シャワー、バス、トイレは部屋に備え付けてあり、衛星放送を視聴可能なテレビやルーム・バーがある場合もある。宿泊費が安くなるほど、その質が下がると思えば間違いない。なお、ポーターに荷物を運んでもらった時や、ベッド・メイキングの際にはチップを忘れずに。


The Royal Oak Hotel
ウェルッシュプールで唯一の豪華ホテル。
建物、室内、サーヴィスも良いが、値段も良い。シングル・ルーム1泊で£58.50〜35.00(2001年)。
1階にはレストラン兼パブがある。
(2001年ウェルッシュプールにて撮影)



サンヴァイア・カエリニオン<スランヴェアー・カエリニオン>にあるThe Goat Hotelの室内。
室内は広く、バス・トイレ付だったが、床が軋むのが難点だった。
(2003年9月撮影)


B&B
 B&Bとは1夜の寝床(Bed)と朝食(Breakfast)の意味。日本で言えば民宿にあたる。脱サラした人や家族で経営するのがほとんどで、中には家を出た子供たちの部屋を利用して親が経営している場合もある。郊外や田舎にあるものは宿泊費も安い。
 イギリスで最も人気のある宿泊施設だけに、サーヴィスや宿泊料金は千差万別。だが全般的にいって部屋は綺麗で設備もよく、朝食が美味で、経営者が親切なところが多い。室内設備や駐車場の有無などは、宿によってかなり差が出る。大抵、シャワーやバス、トイレは共用だが(日本の民宿と同じ)、場所によってはこれらの設備が室内に整っているところもある。ホテルより宿泊料が安い場合もある。チップは必要無い。


B&Bの例:The Town House B&Bの室内(シングル・ルーム)。
左側にベッドがあり、右側にテレビやサイド・テーブルがある。
トイレ・シャワーは別だが、こじんまりとした部屋は清潔で奇麗だ。
(2004年9月コンウィにて撮影)

Vine House B&Bの外観(左)と室内(ツイン・ルーム)(右)。
(2002年8月撮影)


ゲスト・ハウス(Guest House)
 ゲスト・ハウスは、部屋数が5を超えるB&Bを指す。B&Bと変らないと思って間違いない。だが、中にはホテルに勝るとも劣らない眺めや、ルーム・サーヴィスを提供するところもある。

 右の写真は2004年8月に宿泊した、南ウェールズはスウオンジーのクレッセント・ゲスト・ハウスの外観だ。町を見下ろす高台にあり、部屋からの夜景は素晴らしかった。話し好きのオーナーは親切だったし、室内も綺麗で、ルーム・サーヴィスも文句なし。宿泊客への新聞や雑誌のサーヴィスもあり、セルフ・サーヴィスながら、靴磨きのセットも揃っていた。

イン(Inn)
 イン(Inn)は、小ホテルや宿屋と訳される。ホテルのチェーン店であるホリディ・イン(Holiday Inn)のように、近代的なホテルもあるが、昔からあるものは、レストランやパブを兼ねた宿泊施設である。後者は田舎にあるのが普通で、その宿にもよるが、食事を出すパブとゲスト・ハウスがひとつの建物の中にあると思えば、間違いないだろう。大抵宿泊料は、B&Bやゲスト・ハウス並みの手ごろな値段なのが嬉しい。また、飲食をする場所を探す手間が省ける点で、土地感のない場所や初めての土地を訪れる際には便利だ。


インの例:Golden Lion Inn
1階正面がパブ兼レストランで、部屋は建物裏手にあった。
(2004年8月ニューポートにて撮影)



Black Boy Inn
カナーヴォンにある有名なイン。日本のガイド・ブックにも大抵紹介されている。
城壁内にあり、1522年に建てられた建物は趣がある。
(2003年8月撮影)


上記以外の宿
 上記以外にも、宿の種類はある。高級なものだと、マナーハウスや古城ホテルがあげられる。いずれも昔の領主の邸宅や城を、宿泊可能にアレンジしたものだ。優雅な建物や豪華な部屋のみならず、ディナー(要予約の場合あり)や素晴らしい庭園も楽しめる。貴族気分を味わうのも、旅の良い思い出になるだろう。
 農家をそのまま宿にした、ファームハウスと呼ばれる宿もある。宿泊料金はまちまちだが、自然を十分に堪能できることは保障つき。

タンスルイーン・ファーム(Tynllwyn Farm)
ウェルッシュプール近郊で名高いファーム・ハウスのひとつ。
宿泊料金も手ごろ(£30〜50)。
丘の上にあり、その部屋からの眺望は見事(左写真)。
客室へと導く廊下・階段も豪華だ(右写真)。
室内(下写真)
(2004年8月撮影)


 これ以外には安価な宿として、ユース・ホステルや、大学の寮や関連宿泊施設を、夏期休暇などの長期休暇の間だけ貸し出すところがあげられる。後者については、各大学のサイトを参照してください。




  ※ここで写真を紹介している宿は、実際に筆者が日本を発つ前にインターネットで予約し、
宿泊した宿です(一部を除く)。それぞれの宿について詳しくは旅行記のサイトを参照ください。

写真と文章:Yoshifum! Nagata
(c)&(p) 2003-2013: Yoshifum! Nagata




主要参考文献
The Green Guide: Wales, (Michelin Travel Publications, 2001)




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