――ウェールズから響く音楽1:ポピュラー・ミュージック―― ![]() グリフ・リース(本名:Gruffydd Maredudd Bowen Rhys)は1970年7月18日に、ペンブロークシャー(Pembrokeshire)のハーバーフォードウェスト(Haverfordwest)に生まれる。父親はヨーアン・ボウエン・リース(Ioan Bowen Rees)といい、ウェールズ人の権利、言語、文化を守るためにその人生を捧げた人だった。 1986年にファ・コーフィー・ポーブ(Ffa Coffi Pawb)を結成し、一躍、若いウェールズ語ポピュラー・ミュージックの先導的な立場となるが、バンドは93年に解散。グリフはその直後、スーパー・ファーリー・アニマルズを結成する。 ソロ活動のキャリアは、このスーパー・ファーリー・アニマルズ在籍中の2005年にはじまる。この年の1月(註:日本盤は2004年12月に先行発売)に、グリフは初のソロ・アルバム『アル・アタル・ゲンヘッドライス』(Yr Atal Genhedlaeth )を発表。全編ウェールズ語で歌われながら、当時、音楽性がよりポップになっていったスーパー・ファーリー・アニマルズとは対照的に、結成当初のスーパー・ファーリー・アニマルズが持っていた猥雑さやユニークさが存分に発揮されたアルバムとなった。これを聴くと、初期のスーパー・ファーリー・アニマルズがいかにリースの力に頼っていたかがわかる。 2年後の2007年1月8日には、ソロ・アルバムとしては2枚目となる『キャンディライオン』(Candy Lion)をリリース。各曲2分から3分ほどの長さのポップな曲が並ぶ中、14分にも及ぶ大作が最後におさめられ、『アル・アタル・ゲンヘッドライス』以上にユニークな作品となった。 この2007年には、スーパー・ファーリー・アニマルズや自身のソロ活動と並行して、新たにプロジェクトを始める。ロサンジェルスを活動の拠点とするDJブーム・ビップ(Boom Bip)と組んだこのプロジェクトは、2007年11月26日にシングル“Raquel”でデビュー。翌2008年3月18日には、フル・アルバムとなる『ステンレス・スタイル 』(Stainless Style)をリリース。80年代の香りを強烈に漂わせたその音は、純粋にポップスとして美しい。 2011年2月14日にはソロ作3枚目となる『ホテル・シャンプー』(Hotel Shampoo)をリリース。同年4月には、渋谷CLUB QUATTROと心斎橋CLUB QUATTROで来日公演を行っている。 ![]() 『ホテル・シャンプー』発売時に、 Hostessレーベルが制作したサンプラーCD。 スコットランドのモグワイなどの楽曲とともに グリフ・リースの曲が2曲収録されている。 [アルバム(選)] ■Yr Atal Genhedlaeth / Gruff Rhys (2004-2005) (Placid Casual / PLC10CD) ![]() ■candylion / Gruff Rhys (2007) (Rough Trade / POCE-15010) ![]() ■Stainless Style / Neon Neon (2008) (Lex Records / 878390000975) ![]() なおアルバム前半は明るい曲が占めるが、後半は毒気を放つダークな色彩を帯びる。安心して聴いていると、いつの間にかこの毒気に染まってしまう。 ![]() 先行シングル“Raquel” ![]() なお日本盤にはボーナス・トラック2曲を収録。 [リンク] Gruff Rhys ... 公式英語サイト。 Super Furry Animals Official Website ... オフィシャル英語サイト。アルバム・リリースごとに作られるアルバム解説のサイトにも、もちろんリンクが張られている。オン・ライン・ショッピングあり。
ウェールズ?! カムリ!
文章:Yoshifum! Nagata (c)&(p) 2011: Yoshifum! Nagata 「ウェールズを感じる――ウェールズから響く音楽――」へ。 サイト・トップはこちら。 |