――ウェールズ旅行あれこれ―― A man who does not leave home will learn nothing (Welsh Proverb) 家を離れぬ者は何も学ばず (ウェールズの諺) ウェールズ国内旅情報 時差 イギリスと同じで、マイナス9時間。サマー・タイムの時のみマイナス8時間。日本が朝の9時ならば、イギリスは夜中の零時(サマー・タイム時は1時)となる。 サマー・タイムは3月の最終日曜日からその年の10月の最終日曜日までとなる。2006年の場合、3月26日から10月29日がサマー・タイムである。 年月日 イギリスのそれと同じ。即ち、日(day)/月(month)/年(year)の順番で現す。2004年7月2日ならば、2/7/2004もしくは2/July/2004となる。予約などを取る時には、間違えを避けるために、月はアルファベットのほうを用いたほうが良い。 読み方は、「月の何日目で何年」となる。年号の読み方は、下2桁から区切る。654年ならば、“six fifty-four”(「六と五十四」)だ。2004年7月2日ならば、the second of July, twenty o[or zero] fourだ。 気候 東京に較べ曇りがちで寒いと考えておいた方がいい。7〜9月上旬、天気がよければ東京よりも涼しいくらいの気候である。この時期、日差しが強く、また、風がなければ、北の海岸でも暑く感じる。だが雨が降ると、一変して、寒くなるのが特徴だ。そのため、夏でも1枚重ね着があると便利。この時期、日没は遅く、20:00近くである。 もっとも日照時間の多いのは、5月から8月の間である。9月になると落ち始め、10月の日照時間はすでに5月の半分ほどしかない。この10月から翌年の1月にかけてが、雨の多い時期となる。雪が多く降るのが、1月から2月。これは南と北の山岳地帯では大きく違い、南の海岸地帯では1年間に雪の降る日は10日かそれ以下だ。これに対し、スノードン山では40日を越える。 また、2005年のウェールズの1日の平均気温は、冬が最高が7.9℃で最低が1.5℃。春は最高が12.1℃で最低が4.8℃。夏はやはり一番高く、最高が18.9℃で最低が10.8℃。秋は急速に落ち、最高が13.9℃で7.4℃となる。イングランドの気温と比較すると、冬と春はさほど変わらないが、夏から秋にかけてはウェールズのほうが1〜2℃ほどひくい。また東京の気温が6月から9月にかけて軒並み20℃を超えることを考えれば、ウェールズの夏は涼しいことになる。 ウェールズでの平均日照時間(1日)は4.03時間。イングランドに較べて、雲が多いのが実状だ。もっとも日照時間の多いのが南西ウェールズで、年間平均4.6時間だ。これは南イングランドの海岸地帯とほぼ同じである。逆に曇りが多いのが、山岳地帯である。年間平均日照時間が3.01時間というから、かなり少ない。なお東京の平均日照時間が5.53時間であることを考えれば、ウェールズ全土においていかに曇りがちかということがわかるだろう。 余談ながら、もっとも日照時間が少なかったのは、一月に2.7時間という記録が残っている。これはスロイノン(Llwynon)で1962年1月に観測された記録である。逆に1番多かったのは、一月で354.3時間というから1日平均11.43時間である。これは1955年7月にデール・フォート(Dale Fort)で観測されたものである。 ウェールズといえば雨、と言われるほどこの地は雨が降りやすい。イングランドと較べると、平均気温はさほど変わらない時期でも、雨量は圧倒的にウェールズのほうが多い。たとえば2005年の夏、イングランドの降水量は179.6ミリである。しかしウェールズの降水量は230ミリにもなる。また同年秋のイングランドの降水量は249ミリなのに対し、ウェールズのそれは481.2ミリと倍近い量の降雨があったことになる。 これらの数字から判断しても、折り畳み傘は必須。レ インコートもあると役に立つ。風除けに使っても良い。なおウェールズでもっとも雨量の多いのは、10月から翌年の1月にかけてである。1929年の11月11日には、南ウェールズのロンザ(Rhondda)で1日で211ミリの雨が降ったとの記録が残っている。 天気予報 天気予報は英語でweather forecast、もしくはweather reportという。とかくウェールズの気候は変わりやすい(changeable)なので、旅行などの際には天気予報を参照し、防寒具や雨具などの準備を忘れないようにしよう。 それぞれ英語でだが、晴れはfineで、曇はcloudy。雨はrain。雨の降っていない状態を曇でもdry、降っている状態をwetという。lightとheavyは、それぞれ天候の状態を表し、lightは「軽い」の意味で使われる。即ち、light rainといえば小雨である。逆にheavy rainといえば、豪雨だ。また小糠雨(小雨の一種)はdrizzle、にわか雨はshowerという。 霧の情報がでることもある。この場合、mistは水蒸気ように軽いもので、fogは厚く、視界の悪い(場合によっては視界がない)ものを指す。 温度は、低いほうからfreezing(0℃=32F)<cold<cool<mild<warm<hot(20℃=68F)と表現される(温度の表記については度量衡の項目を参照のこと)。風は、穏やかなほうから、calm<light<moderate<fresh<strong<gale-forceと表現される。 公衆電話 テレフォン・カードで支払いをするものや、コインを使ったものが一般的。左写真(撮影:2002年クリケッスにて)のように、ボックス型のものと、剥き出し型のものがある。テレフォン・カード(British Telecom phonecards)は、郵便局や商店で購入できる。コインを使用する場合は、釣銭が出ないので、£1以下の小銭を用意しておこう。クレジット・カードを使えるものもある。 日本などへ国際電話をかける場合にお世話になるのがこの公衆電話だが、国際電話用のテレフォン・カードをあらかじめ購入しておくと便利である。 また、最近ではイギリスでも日本同様、携帯電話の普及が進んだため、公衆電話を見つけるのが難しくなった。特に田舎にいると、公衆電話を探すのが困難である。そのような時に私の使っている裏技をお教えしよう。それは、英国国教会の教会(church)を探すことだ。教会は周辺の住民の集会所にもなっているので、大抵、公衆電話がそばにある。これで見つからなければ、ガソリン・スタンド(英語ではペトロル・ステーション)で訊ねるのが手っ取り早い。 なぜこのような何もない場所に ぽつんと電話ボックス(中央の赤いボックス)だけがあるのだろう? (撮影:2007年8月、中部ウェールズにて) ウェールズから日本にかける場合には、2通りの方法がある。ひとつは、155をダイヤルし、交換手に頼む方法。もうひとつは、直接かける方法である。その場合、国際電話識別番号である00に続いて、日本の国番号81をダイヤルする。続けて、市外局番から最初の0を除いた電話番号をダイヤルする。即ち、03-ABCD-EFGHという番号ならば、00-81-3-ABCD-EFGHとなる。 日本からウェールズへと電話をかける場合は、まず国際電話会社識別番号(001や0041など)に続いて、010-44をダイヤルし(44がイギリスの国番号)その後、市外局番から最初の0をとった番号をダイヤルする。即ち、029-AAAABBBBに電話をするならば、001(もしくは0041など)-010-44-29-AAAABBBBとなる。 余談だが、電話の会話は聴き取りづらい。そのため、慣れていなければ、予約などで名前や電話番号、住所などが必要な場合は、あらかじめ紙などに書いておいたほうが良いだろう。英語で電話番号を告げる場合、ダッシュのかわりに、そこで一呼吸をおく。即ち、03-1234-5678ならば、“zero three [pause] one two three four [pause] five ...”となる。“0”は“zero”でも“o”(ou)でも良い。名前や住所などで、“B”と“D”など、スペルが相手に正確に伝わらない場合は、英語でならば“B as in 'Britain'”(ブリトンの「B」)と言えば良い。 緊急の電話 日本の110や119にあたる電話番号は、999である。犯罪や火災、事故や怪我、その他山などでの救出を頼む際には、こちらにかける。イギリス国内であれば、通話料無料である。 パトカーももちろんウェールズ語と英語の二重表記 (撮影:2005年8月カーディフにて) イギリス・ポンド(英語ではpound sterling)。1ポンドは100ペンス。2014年4月現在で、1ポンド≒171円92銭だ。 両替は、空港や銀行でできる。ウェールズ内に入ってからは、銀行が最も一般的な手段となるだろうか。交換レートや手数料も、両替所などでするよりも良いと言われている。実際、フェリー港には両替所(Bureau de Change;フランス語より)もあるが、どうも為替レートが悪い。おまけに両替手数料も取られる。 ATMで降ろすか(写真・左/ATMの項目参照)、両替所(写真右)で両替するか…。 (撮影:2011年8月3日、マンチェスター空港にて) 2000年から2004年までは、1ポンドは180〜200円の間を推移していた。だが2004年が明けてからは205円をつけるようになり、その後推移しながらも、2005年12月には最高値は210円を超えるまでになった。2006年1月14日には、1ポンドは202-3円となっている。 しかしながらその後ポンドは値上がりを続け、7月中旬には215円を超えた。一旦、215円を割るものの、再び急上昇し、8月9日現在、1ポンドは219円にまでなっている。2007年になっても上昇傾向で、2007年1月31日には1ポンドは約239円だったが、2007年6月に入ってからは1ポンドは240円を超えている。7月17日現在、約250円である。イギリスの景気が良いから仕方がないが、日本からの旅行者にとっては悩みの種だ。 ところが2008年8月上旬、突然、ポンドが落ち始めた。まるでイギリスの夏の日没のように、その後は急落。一時期、やや持ち直したものの、2008年10月01日現在で、約187円となった。久々の円高である。先日のアメリカのリーマン・ブラザースの破綻が影響を与えていると見え(かなり大規模な人員削減が一般企業並びに官庁で行われた)、その後も下落の一方だ。2009年1月11日現在で、1ポンド=136円台である。2年前のポンド高のときに比較して、100円安である。 その後、2009年8月には1ポンド=150円台まで回復するが、以後は上がり下がりを繰り返しながらも下げ幅のほうが大きく、2010年8月18日には1ポンド≒133.6円となっている。その後は134円から127円の間を推移し、やや安定傾向を見せている。2010年12月18日現在で、1ポンド≒130.3円である。 イギリス旅行をする予定の人は、常に通貨の変動に要注意である。海外でインターネットに接続できる環境ならば、Yahoo!などのポータル・サイトを訪れ、“finance”の項目から調べることができる。1週間以上の長期滞在の場合、銀行やインターネット・カフェなどでチェックすることを強くお勧めする。 余談ながら、1971年までは1ポンド=20シリング(shillings)=240ペンス(pence)だった。 銀行 銀行はバンク・ホリデーなどの祭日を除いて、月曜日から金曜日までの営業だ。9:30から営業している。窓口業務の終了時間は、銀行や曜日によって異なる。しかし、少なくとも15:30までは行っている。 ATM イングランドと同じで、24時間営業のATMがウェールズ都市部にも多くある。そのため、インターナショナル・キャッシュ・カードを使えば、現地通貨を降ろすこともできる。これはかなり便利だ。左の写真はカーディフ・セントラル駅にて撮影したものだが、このようにどのATMも屋外にある。それなので、安全面での注意が必要。暗くなってからの利用は、お勧めできない。 最近、キャッシュ・カードから現金を引き下ろす時のトラブルや犯罪が、多く報告され、報道されている。そのため、悪い面ばかりが強調されがちだ。だが、リスクはクレジット・カードや両替でも同じと私は考える。 どこの国でも“外国人は犯罪の被害者になりやすい”のである。特に金銭がらみのトラブルを避けるためには、普段以上の注意が必要だ。 夜間や、あまり人気のないところのATMの使用を避けることは、最低限の注意事項である。逆に、混雑しすぎているところも気をつけたほうがいい。暗証番号を入力する時は、特に周囲に気を払うこと。また、ウェールズ人は大変親切だが、金銭を扱っている時に、親切に近づいてくる人物は要注意だ。 これは過日、テレビで報道されていた、イタリアでの事例である。ATMに入れたカードが戻ってこず困っていた。その時に、銀行員でもないのに、親切そうに近づいきてATMの操作を手伝ってくれた人に、カードを取られた。この人は、あらかじめATMにカードが戻らないように細工をしていたというのである。――日本でもそうだが、普通の人がATMのトラブルを解決できることなどありえない。当然のごとく、ATMの操作を手伝おうと言ってくる人は、信頼してはならない。信じられないような話だが、実際にこのような単純な手口にひっかかってしまう日本人は、結構いるそうである。 これらの注意事項は、ウェールズに限ったことではなく、外国旅行では当然のことである。 クレジット・カード 略してCCと書くこともある。かつてはイギリスはマスター・カードと言われたが、現在では、VISAカードも多くの場所で使用できるようだ。買い物以外にも、レンタ・カーの予約や大手ホテルの予約の場合には、必要となる。なお買い物の場合、手数料を取る店もあるので、注意が必要。また支払いの際には、サインよりも暗証番号(PIN code)の入力を求められることが多くなった。 度量衡 イギリスのそれと同じ。即ち、重量で1ポンド(pound)は0.4536キログラム。約500グラムと覚えておけば、適当か。オンス(ounce;ozは略)は、28.3495グラムだ。16オンスが1ポンドとなる。 ビールの単位でよく使う1パイント(pint)は、0.57リットルだ。液量オンス(fluid ounce;fl. oz.は略)は、28.412ミリリットル。20オンスで1パイントとなる。ガソリン(註:イギリスではpetrol)を入れる際に必要な1ガロン(gallon)は、4.546リットルだ。ガロン、パイント、オンスは、アメリカの単位とは異なる。アメリカのそれに慣れている人は注意が必要だ。 車を運転する人は、1マイル(mile)が1609.3キロメートルであることを覚えておこう。私は、1マイル≒1.6キロで計算している。 1ヤード(yard)は0.9144メートル。1フィートは30.48センチ・メートル。1インチは2.54センチ・メートルだ。10進法に慣れている外国人にとってややこしいのが、このマイル>ヤード>フィート>インチの関係だ。大きい順に並べると、1マイルは1760ヤードだ。1ヤードは3フィートとなる。1フィート(フット)は12インチである。なおウェールズ語ではマイルがmiltir、ヤードがllathen、フィートがtroedfeddとなる。 mphはmiles per hourの略で、時速のこと。80mphならば、時速80マイルということになる。 温度は、日本では摂氏(セ氏)を単位に使うが、イギリスでは華氏(カ氏)である。摂氏(Celaiua)は℃と、華氏(Fahrenheit)はFで略す。イギリスで何の断りもなく温度が記載されている場合は、華氏で記されている。華氏から摂氏へ変換する場合の公式は、(F-32)×5÷9だ。即ち0℃が32Fで、20℃が68Fとなる。読み方は、sixty eight degrees Farrenheitとなる。 角度はdegreeで表すが、これはありがたいことに日本のそれと一緒である。つまり180度は、180 degreesとなる。 買い物 日用品はスーパーや商店で。ただし東京よりも閉店時間が早い場合があるので、気をつけたい。カーディフの有名なショッピング・センターでも、18時を合図にほとんどの店が閉まってしまったほどだ。最近では、かなり遅くの時間まで開いているスーパーもあるが、曜日によって閉店時間が異なる場合もあるので、注意が必要だ。また、路上に自動販売機はない。 日用品の買い物に関しては、ガソリン・スタンド(イギリス英語ではPetrol station もしくはgarageという)も便利である。日本のそれとは異なり、コンビニエンス・ストアのように品揃え豊富である。中には24時間営業の店もある。そのようなわけなので、車を運転しない人も、場所だけは覚えておくと重宝する。 なお、土産物を買う場合、何も土産物屋で買うばかりがのうではない。地元の商店やスーパーでは、意外な掘り出し物がある場合もある。また、同じ品でも、空港の免税店で買うよりも安い場合がある。 観光案内所(Information Centre)も狙い目である。大き目の場所だと、大抵、ウェールズについての、しかも、地元でしか入手が困難な本やCD、時にはDVDが整然と並んでいる。これらの品々は、書店やCDショップでも入手可能である。しかし、一同に会していることは珍しく、探す手間が省けて非常に便利である。 なお、海外旅行での買い物の鉄則は、「見つけたら買え」である。少なくとも、私はそう心得ている。そこを発てば、別の場所では手に入ることはまずない。しかし、トランクに入らなくなるほどの買いすぎは、考え物である。物事には、限度がある(笑)。 註:2007年現在イギリスでは、2006年7月のテロの影響により飛行機への機内持ち込みの荷物が制限されています。空港の公式サイトや旅行代理店などで、必ず旅行出発直前に各自確認してください。また航空会社によっては、預け入れ手荷物の重量を制限しているところもあります。重量を超過した場合には、超過料金が請求されるか、預け入れそのものを拒否されることもあります。詳細は各航空会社に直接お尋ねください。付加価値税 イギリスの大抵の品物には、VATと呼ばれる付加価値税がついている。これまで(2010年12月31日)までは17.5%だったが、2011年1月1日をもって、20%に引き上げられた。かなりの増税である。 付加価値税は内税になっている。従って買い物の際には、表示通りの金額を払えばいい。かつての日本の消費税のように、計算で頭を悩ませることはない。 “Tax Free For Tourists”の看板がある店ならば、VATの払い戻し手続きをうけることができる。店員に払い戻し小切手(Tax Free Shopping Check)を書いてもらい(パスポートの提示が必要)、あとで最終出国税関(空港)で払い戻しの手続きを受ける。この場合、最高14.4%の税金が戻ってくる。 チップ 英語ではティップ(tip)と発音する。高級ホテルや高級レストランでは、接客係(ウェイターやポーターなど)の給料に客に対する奉仕料が含まれていない。そのため、客が接客係の態度や、接客の良し悪しを判断して払うのが、チップである。日本にはない習慣なので戸惑いがちだが、高級ホテルのポーターや客室係には1ポンド、高級レストランで食事をしたら、その料金の1割を払うと思っておけば間違いない。タクシーに乗った場合も、降りる際に料金の1割払う。接客の態度が気に入らなければ少なめに払っても、または、全く払わなくても良い。 なお、ファーストフードの店、パブや小さなレストランなど、カウンターやレジに客が赴いて会計を済ませる店や、デパート、スーパーマーケット、商店などでは必要がない。 水 ウェールズの水道水は、イングランド同様飲料に適している。むしろ、イングランドよりも良質だと言われている。沸騰させて飲む場合は問題ないが、しかしながら、日本の水よりも硬質なので、ミネラル・ウォーターを購入した方が無難かもしれない。 ミネラル・ウォーターは、手軽に食料品店やスーパーマーケットなどで入手可能だ。ここで問題になるのが、ミネラル・ウォーターの種類だ。これには2種類あり、“sparkling”が炭酸入り、“still”が炭酸なし(つまり普通のミネラル・ウォーター)である。 ウェールズは、山岳地帯を流れる水が綺麗なことで知られている。ウェールズの川は、驚くほど透き通っているのだ。国立公園にも指定されているブレコン・ビーコンズ(Brecon Bascons)では、そこから汲まれた綺麗な水を利用して、ミネラル・ウォーターのペットボトルを制作し、販売もしている。ただし、いくら綺麗だからといって川の清水や湧き水をそのまま飲むことは、腹痛に繋がる。ミネラル・ウォーターについて詳しくは、「ウェールズを食べる――ウェールズで飲む――」を参照のこと。 なお、ウェールズの国旗に見られる龍は、この川の水を守る水神でもある、との説もある。 清涼飲料水 スーパーマーケットや持ち帰り用料理専門店(Takeaway)などで、手軽に手に入る。日本と同じく、ペット・ボトルや缶が主流だ。ただし、缶やペット・ボトルに入った緑茶、ウーロン茶、紅茶の類はない。 食事
フィッシュ・アンド・チップスの店 [上](左)外観(右)内部 (撮影:2005年ウェルッシュプールにて([中]も)) [中]店内にかかるメニューの一例。 魚は種類で注文するのがわかると思う。 この店の場合、1.80のようになっていれば、1ポンド80ペンス。 80となっていれば、80ペンスを表している。 [下]調理場(撮影:2006年サンゴセン<スランゴスレン>にて)。 調理場はたいてい、カウンター越しに眺めることができる。 ここでは手前の流しのような窪みが、たっぷりの油を満たしており、 客の注文にあわせてここで魚やジャガイモを揚げる。 夕食は、たとえ一人旅でも豪華に行きたいと思うならば、迷わずレストランへ。またパブでは夜に食事を出す店もある(ただし食事のラスト・オーダーは、パブの閉店時間よりも格段と早い)。この場合、地元の食事を堪能することが出来るチャンスに恵まれたと思えば、間違いない。なおパブでは、料理は運んでくれるが、飲み物はカウンターで頼み、その場で料金を払う方式(Cash On Deliveryという)をとっている店が多い。なお、食堂やパブでは水(ミネラル・ウォーター)は有料なので、そのつもりで。 たまには蝋燭の灯るレストランで食事はいかが。 (撮影:2007年8月、ベリューにて) 詳しくは、「ウェールズを食べる」のページを参照のこと。 その日のお勧め料理は黒板で確かめて(クリックで拡大)! (撮影:2007年8月、ベリューにて) パブ(Pub)とは、Public Houses、即ち、社交場(公共の家)の省略形だ。日本にある同名のものとは、全くことなるので注意。日本で言うならば、居酒屋、喫茶店、食堂の3つの機能を兼ね備えたのが、パブと呼ばれる社交場なのだ。 イングランド同様、ウェールズでもパブに人々が集う習慣がある。パブは11:00頃から開店し、23:00頃まで営業している註。2007年7月1日より、イングランドとウェールズでは禁煙法が施行された。これにより、パブ内は禁煙となったのでご注意を。 入店の際、服装に気を使う必要は全くない。ドレス・コードはなく、普段着で楽しめばよいのだ。 ビールはひとつのパブで何種類も揃えており、開店時から飲むことが出来る。昼間でも、余裕があるならばパブに浸るためにも、エールをためらわず注文してみよう。 飲み物を注文する場合は、カウンター(左写真:撮影2003年中部ウェールズ)でバーテンにビールであるなら品名を告げ、料金と品物を引き換える(Cash On Delivery)。この際、サイズを告げよう。サイズは1パイント(0.568リットル)かその半分のハーフ・パイントである。たとえばウェールズのエールとして有名な"Brain"を1パイント注文する場合は、"One pint of 'Brain', please."と言って、注いでくれるのを待とう。注いでくれたならば、料金と品物を交換する。基本的にパブでは飲み物はセルフ・サーヴィスだから、席までは自分で運ぶように。 食事ができるパブもあるが、これらのパブでは大抵食事を出す時間が決まっている。つまり、パブは開店していても、時間によっては食事の注文できないこともある。またバーテンはいてもシェフが休んでいるために、食事が注文できないこともある。パブで夕食などを予定している場合は、注意が必要だ。またパブによっては、飲むための場所と食事をする場所(写真右下:撮影2003年カーナヴォン)を分けているところもある。大抵、21:00前に食事はラスト・オーダーとなる。 註・・・ 2005年2月にパブの24時間営業を許可する法案がイングランドとウェールズの議会で通過した。しかしながら現地の世論はこれに対し否定的である。 ウェールズの人々は、ひいきのサッカー・チームやラグビー・チームの応援には熱心だ。ことによると、イングランド以上に熱心かもしれない。パブのテレビで、サッカーやラグビーの試合中継をしている場合、応援に過熱気味の熱心なファンが集っていることは楽に想像できる。この場合、日本の虎キチの比ではないので、近寄らないほうが無難だ。 また、パブの中には、夜にバンドが出演し生演奏をするところもあるが、残念ながらこれは稀だ。下の写真はともに偶然出くわしたものである。
カウンター風景 後方の棚にはウィスキーなどのボトルが並ぶ。 前方のコックの数だけエールの種類がある。 (クリックで拡大) バーテンと客:パブのカウンター風景 (撮影:2004年8月、ペンブルックシャーのニューポート(2枚とも)) 禁煙法 2007年7月1日より、ついにイングランドとウェールズでも禁煙法が施行されることになった。これまでスコットランドと北アイルランド、アイルランド共和国がイングランドとウェールズに先んじて施行されており、これでブリテン島及びアイルランド島全体は禁煙法が覆うことになった。 法の対象になるのは、店舗やオフィスはもとより、パブ、レストラン、クラブなどかなり広範囲に及ぶ。違反者には、最高で50ポンドの罰金が科せられる。もちろん、旅行者や留学生などとて、例外ではない。これを機に、禁煙に挑戦してみてはいかがだろうか・・・ ? なお、勧めるわけではないが、イギリス貴族界には嗅ぎタバコという、煙のでないタバコも存在した。炭鉱夫らも、愛用したようである。近代南ウェールズといえば、炭鉱である。愛煙家の方は、嗅ぎタバコを吸う事で炭鉱夫の生活に思いを馳せるのも良いのでは・・・ ? トイレ 探すとない。宿出立前や、ドライヴ・インなどで見つけたら用は済ませておこう。また日本の水洗便所は世界一の性能を誇るが、それに較べると、やはり流れが悪い。不要物など流さぬように。 写真 先ずはじめに、日本人は写真を撮ること、そして撮られることに関して、他の国の人々に較べてかなり鈍感であることを頭に叩き込んでおこう。日本ならば人物のスナップ・ショットを撮っても、問題になることは少ない。しかしながら日本以外の国では、カメラを向けることすら嫌う人々も多い。写真で人物を撮ることは、トラブルに繋がると思っておいたほうが間違いない。被写体とカメラマンの間で、写真を撮った、撮らないと押し問答となったら、まずトラブルは避けられない。 建物に関しても、同様のことが言える。撮影を快く許してくれる場所も多いが、撮影禁止の場所では、カメラを出すことすらご法度中のご法度だ。撮影禁止になっていない場所でも、管理人がいる場合は、先に撮影して良いかどうかを尋ねたほうが無難である。 なお、フィルムは飛行機では全て機内持込(英語ではcarry-on baggageという)にすること。預ける荷物の中に入れてしまうと、強烈なX線検査を受け、その結果感光は間違いない。ASA800以上の高感度フィルムは、荷物検査の際行われるX線検査は避けるべきなのだが、イギリスでは絶対に検査を免除してくれない。「絶対に大丈夫だ。問題ない。しかし、何か袋に入れて検査を受ければ、より安全だ。」という、矛盾の説明でこちらの要求は突っぱねられる。下手にごねると、上官を呼ばれるばかりか、別室につれていかれそうになる。体験者である私が言うのだから、確かだ。 フィルムは、街中でなら買うことが出来るが、日本に較べてかなり高価である。またカメラに使用する水銀電池は、同じ型を探すとなると相当苦労する。同じ型が全くないこともあるので、日本で予備の電池は買って行くべきだ。 ビデオ ビデオは、日本のものと記録方式が全くことなる、ヨーロッパの統一企画であるPALと呼ばれる方式で記録されている。そのため現地で販売されているビデオ・ソフトは、日本のビデオ・デッキでは観ることが出来ない。その逆もまた然り。どうしても見たい場合は、専門の業者に依頼して変換してもらうか、PAL対応のビデオ・デッキを購入する必要がある。 ただしアメリカと日本のビデオの記録方式は同じNTSC方式なので、アメリカ向けのビデオがもしあれば、これは日本に持ち帰っても視聴可能である。 DVD DVDもビデオと同様、規格/映像記録方式が異なる。DVDの場合は国や地域によって規格が異なり、その記録方法はひとつの国だけで何(十)種類もある。この規格を表すのが、リージョン・コード(region code)である。このコードとDVDデッキのコードが異なれば、視聴ができない。そのため海外のDVDソフトは、日本国内向けのデッキではまず観られないと思ったほうが間違いない。 ただし、先のリージョン・コードが0(=リージョン・フリーと呼ばれるもの)ならば、どの国のDVDデッキでも視聴可能だ。 またリージョン・コードの2は、イギリス、ヨーロッパ、日本向けの規格を示す註1。このため日本のDVDデッキでも視聴可能なはずだが、残念ながら映像方式がPALであるので、どうもそれは叶わないのが実情のようだ。 もちろん手持ちのDVDデッキがPAL対応であれば、リージョンコードが日本とイギリスは同じ2であるので視聴は可能だ。最近では定価20000円代で、PALを変換してくれるDVDデッキもある。私が所有しているSCITEC社のDVP-750DXは、そのような機種のひとつである。このデッキに限らず、これからデッキを新しく購入予定の人は考えてみてはどうだろうか。 またパソコンでのDVD再生は映像方式を問わないとの説があり、その場合、リージョン・コードが2か0であるならば視聴可能なはずである。また日本やアメリカと同じ記録方式のNTSC方式のDVDが、イギリスでは売られていることがある。これは視聴可能だ註2。複雑なことこの上ないが、いずれにしても、個人の責任で行ってほしい。 なおアメリカ向けの商品は、映像の記録方式はNTSC方式と日本と同じだが、リージョン・コードが1と異なるので、視聴は不可能である。 註1・・・ 2009年08月現在。 2・・・ 管理者Yoshifum! Nagataの個人的体験に基づく。 Blu-ray DVDとBlu-rayでは、何と、リージョン・コードが異なる。日本のそれはアメリカと同じでA/1。イギリスを含むヨーロッパ全般はB/2。従ってヨーロッパ産のBlu-rayは、日本のプレイヤーでは視聴不可能となる。全リージョン・コード対応(リージョンフリー)のプレイヤーは、2010年12月現在、まだまだ少ないようだ。DVDは観られるが、Blu-rayは駄目とはね。やれやれだ。 CD CDの規格は万国共通なので、安心してお求めを。地元でしか手に入れることの出来ないCDを買うのは、音楽ファンやCDマニアなら、最高の土産となるだろう。ウェールズには独自の音楽が残っており、それを記録したCDがSain Recordsなどの地元レーベルから発表されている。CDショップのほかに、土産物屋や観光案内所などでもこれらのCDを扱っていることもある。 郵便 ウェールズから手紙を送る場合、配達に航空便(Air mail)で約1週間ほどの日数がかかる。送り先の名前と住所は中央に大きく、そして国名は大文字のブロック体で朱書きする。送り主の名前と住所は、左上角に小さく書く。Air Mailと宛名の近くに朱書きしても良いが、郵便局で航空便の旨を伝えて切手を購入すれば、一緒にAir Mailであることを示すシールをくれる。 ウェールズではイングランド同様ポストが街中にないので、郵便局を訪れるか、宿の人に投函を頼むようになる。もっとも宿では代理で出すことよりも、郵便局の場所を教えるほうを好むが。 この他郵便小包は、荷物の質量によって料金が違うので、郵便局の窓口で直接尋ねることが早い。航空便なら1週間ほどで日本に届くが、船便に較べて料金が高くなる。しかし船便は通常3ヶ月以上(最低で2ヶ月)かかる。 電気 電圧が日本とは異なるので、かならず電圧変換機が必要(製品本体やプラグに、イギリスの電圧――2006年8月現在で240V、50HZ――に対応した変圧器がついたものを除く)。電圧変換機は旅行用品を扱っているような大きな店や、東京ならば秋葉原や西新宿の電気街で探せば見つかるはず。ドライヤー、電気シェーバー、パソコン、デジカメの充電器などの電化製品を日本からもって行く場合の、必須アイテムだ。 プラグも日本のそれとは異なり、BFタイプと呼ばれる3極式プラグ(3square pin plug)である。製品本体やプラグにイギリスの電圧(2006年現在で240V、50HZ)に対応した変圧器内臓の場合でも、プラグは日本式のプラグ(Aタイプ)のものが普通なので、BFタイプへのプラグ用の変換アダプターが必要となる。 BFタイプのプラグ変換アダプター 製品によっては変圧器がついているにもかかわらず、そこに接続するコンセントおよびコードが240V非対応のものもあるので、要注意。この場合、コンセントを240V対応のものに交換し、更にプラグの形状をBFタイプに変換する必要がある。いずれにせよ、ノート・パソコンなどを持っていく場合は、取り扱い説明書などで必ず確認しよう(それでもわからなければ、サービス・センターに聞こう)。私の知人のひとりはそれを守らず、イギリスの電圧に対応していないワープロをプラグ変換(AタイプからBFタイプ)にしただけでコンセントに差込み、ワープロそのものを壊した。 電池は型さえ合えば使えるはず。ただし型の表記は日本のそれとは異なる。小さいほうから順にS、M、L、XLとなる。Mが単3型でXLが単1型電池にあたる。角型は9Vと表示されている。 携帯電話 「話せりゃいいやん。大人なんやし」というコマーシャルがあったが、日本製品の場合、国際電話に対応しているものでないと、話すことすら出来ない。圏外になってしまう。ネットももちろんそうだ。そうなると、内臓カメラぐらいしか使えないか? ―― ―― ―― 上の文章を書いてから、もう既に3、4年が経過した。この間、文明は進歩し、携帯電話でも国際電話が可能なものが増えた。料金体系や使用可能な国や地域は、電話会社などによって異なる。詳しくは携帯電話会社や販売店で訊いてほしい。 ただ共通しているのは、通話料やパケット通信料(註:インターネットサイトの閲覧やe-mailの送受信など)が海外では高額なこと。また海外では、現在加入している定額サービスが適応外だ。注意したい。 一番注意してほしいのは、海外使用で電話を受けた場合である。この場合、電話をかけたほうのみならず、受けたほうにも料金が発生するということ。双方に発生する通話料はかなり高額なので、懐かしいばかりで話しこむと、帰国後、請求金額に唖然とすることだろう。こうなると、やはり、携帯電話は使わず、公衆電話を使用することになるだろうか。いや、最も安いのはノートパソコンを持参し、無線LANの使用できる宿でメールを送ることだろうか。 Some Tips For You ここでのTipとはアドバイスの意味。旅の途中に役立つ(であろう)情報を、思いつくままに並べてみる。これらはあくまでも筆者の経験に基づくものなので、うまくいかなくてもそれはご勘弁のほどを・・・ !
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