ウェールズとケルト?
――意外に身近なケルトの国・伝説と民話編――



ウェールズ伝説と民話の特徴
 ウェールズの伝説や民話は、中世になってから書き留められた。それまでは、全て口伝だった。これらの伝説は史実と作り話が、語り継がれていくうちに渾然として、一体化している。
 中世以降には、歴史上の人物に関する伝説や、炭鉱に関する伝説が創作されるようになった。これら中世以降に書かれた伝説は、先の伝説とはほとんど関連性をもたない。
 そのどちらも、自然と密接な関係がある。ウェールズらしさは自然と密接に暮らすことに求められるが、その影響だろうと思われる。

カマーゼンの黒本
 カマーゼンの黒本(Black book of Carmarthen)(Llyfr du Caerfyrddin)は、1250年ごろに書かれたと推測される、全編ウェールズ語の本だ。本の名は、表紙の色とカマーゼンの福音書記者聖ヨハネとタイリゾグ修道院(the Priory of St John the Evangelist and Teulyddog)に由来する。

 ここには宗教詩やオード、ブリテン島の暗黒時代(Dark Age)に活躍した英雄を詠った詩などが収録されている。英雄詩の中には、アーサー王や魔術師マーリンを詠ったものも存在する。特筆すべきは、「門番とはどのような男か?」(‘What man is the gatekeeper’)(‘Pa wr ywr Porthor?’)と呼ばれる詩だ。ここでは、アーサー王が偉大なる支配者としてではなく、民衆の英雄として描かれているからだ。

 現在、この本はウェールズ国立図書館に保存されている。
 ※ウェールズ国立図書館(National Library of Wales)の公式サイトから、[Digital Mirror]→[Manuscripts]をたどれば、この本の手稿を見ることが出来る(2006年1月現在)。

タリエシンの本
 『タリエシンの本』(Book of Taliesin)は、14世紀前半に書かれた。タリエシン(Taliesin)の手によるとされる詩を集めたため、このように呼ばれている。なおタリエシンは宮廷に仕えた職業詩人だ。宮廷には職業詩人バルズがギルド(職業組合)を作り仕えたが、タリエシンは彼らを束ねる地位ペンケルズにあった。

 タリエシンの詩は、現存するウェールズ語の詩では最古のものとされる。その内容は王ウリエン(Urien)とその息子を称賛したものや、宗教詩、予言詩、歴史詩など多様だ。

 その中でもこの本を最も有名にしたのは、魔術師マーリンの登場する「ブリテンの大預言書」(‘Armes Prydein Fawr’)と、アーサー王が登場する「アンヌンの略奪品(‘Preiddeu Annwfn’)と呼ばれる詩である。特に後者の詩は、ウェールズの黄泉の世界(あるいはこの世ならぬ世界)を描いており、その点でも興味深い。

 現在、この本はウェールズ国立図書館に保存されている。
 ※ウェールズ国立図書館(National Library of Wales)の公式サイトから、[Digital Mirror]→[Manuscripts]をたどれば、この本の手稿を見ることが出来る(2009年6月現在)。

タリエシン
 タリエシン(534?-599?)は6世紀末に活躍したバルズで、宮廷詩人らを束ねる主席バルズの地位にいたと信じられている。恐らくその語りぶりは、まるで目の前にその人物や情景が現れるような、真に迫ったものであっただろう。

 バルズは現実(=史実)と虚構(=作り話)を同一のレベルに配し、巧みに織り交ぜた詩を創り、人々の前で吟ずることを生業とした。その詩の登場人物は、生前の身分を問わず、押しなべて虚虚実実の世界の住人となり、また、詩の世界の住人となることで、死後もその世界で生き続けた。そしてバルズが詩を吟じる度に、まさに生前の姿で現れたことだろう。

 そのバルズの長にあった彼の伝記は、『タリエシン伝』(Hanes Taliesin)として9、10世紀より語り継がれてきた。これはレディ・シャーロット・ゲスト(Lady Sharlotto Guest)版『マビノギオン』1 で読むことができる。その話は、まさに現実と虚構が同一視された、虚虚実実の世界だ。また冒頭に出てくるタリエシンの転身の様子は、ケルトの輪廻転生観を知る上でも、貴重な資料である2 。また彼の名は、『マビノギオン』の別の話「リールの娘ブランウェン」にも登場する。

 『タリエシンの本』の「アンヌンの略奪品」3 は、タリエシン自身の体験を書いたものだとも言われる。即ち、虚虚実実の世界を詠った詩人は、自らその世界の住人となったのだ。即ち語られる者が、永遠に語り継がれる立場になる。それはタリエシンが王侯貴族や英雄と、同等のレベルで語られるにたる人物であったことの証明である。

 語る者が語られる者になる。現実が虚構になる。そして虚構の世界の住人達は、バルズ達の真に迫った語りによって、現実世界にその姿を現す。この時、現実と虚構の境界線が曖昧になる。過去と現在は同一次元に列せられる。これこそがウェールズ伝説の醍醐味だ。そしてその過去と現在の同居こそが、「自然と伝説が息づく大地」と呼ばれる、ウェールズそのものなのである。

 なおタリエシンは、生まれ故郷のスラングンヴェリン(Llangynfelyn)で死んだとされる。彼の名にちなんで名づけられた丘、トレ=タリエシン(Tre-Taliesin)で眠っているといわれている。

註:1. 『マビノギオン』は編者・翻訳者によって収録話数が異なる。レディ・シャーロット・ゲスト(Lady Sharlotto Guest)版はタリエシンの話も含み全12話となっているが、グイン・ジョーンズ(Gwyn Jones)氏とトマス・ジョーンズ(Thomas Jones)氏により編集・翻訳された版には、この話が含まれていない。
  2. 輪廻転生に関しては「ウェールズに渡ったケルト人 ケルトの思想:2.輪廻転生思想」参照。
  3. 「アンヌンの略奪品」に関しては「ウェールズに渡ったケルト人 ケルトの思想:3.異界」を参照。
リーゼルッハの白本
 『リーゼルッハの白本』(White Book of Rhydderch)(Llyfr gwyn Rhydderch)は、1300?-1325? に書き留められた。本の名は、原本の表紙の色と、この写本の所有者リーゼルッハ・アブ・エヴァン・スロイド(Rhydderch ab Ieuan Llwyd)に由来している。この写本には5人分の筆跡が鑑定されており、少なくとも5人の写本者が関ったことが推測されている。

 もともとは1冊の写本だったが、現在残っているのは2巻に分けられている。ここには初期のウェールズの詩ばかりでなく、最も古いウェールズ語の散文も収録している。

 2巻はそれぞれペニアースMS4(Peniarth MS 4)、ペニアースMS5(Peniarth MS 5)と呼ばれる。ペニアースMS4が、実際には原本の後半となるのだが、ここには、中世ウェールズの物語りが綴られている。ここには『ヘルゲストの赤本』にも収録され、後にレディ・シャーロット・ゲストが英語に翻訳した、「マビノギの4つの枝」が収録されている。

 もうひとつの巻ペニアースMS5には、宗教的な散文が含まれているが、これはラテン語からの翻訳がほとんどである。

 現在、この本はウェールズ国立図書館に保存されている。
 ※ウェールズ国立図書館(National Library of Wales)の公式サイトから、[Digital Mirror]→[Manuscripts]をたどれば、この本の手稿を見ることが出来る(2006年1月現在)。

ヘルゲストの赤本
 『ヘルゲストの赤本』(Red Book of Hergest)(Llyfr coch Hergest)は、1375?-1425?に 書き留められた最も重要な中世ウェールズ写本のひとつである。それというのもこの写本には、1400年以前のウェールズ文学の全てが収録されているのである。

 この写本は、ホプキン・アプ・トマス・アブエイニオン(Hopcyn ap Tomas ab Einion)のために編纂されたといわれている。書名の由来は表紙の赤革(後にモロッコ革を使用し再製本されている)と、この本が編纂されたハーフォードシャー(Herefordshire)のハージェスト邸宅(Plas Hergest)にある。

 『マビノギオン』のもととなったウェールズ語の散文の他にも、歴史書、ロマンス、トライアドと呼ばれる3題詩、宮廷詩人の詩などが収められている。

 現在は、Jesus College Oxfordで保存されている。

註・・・ ロマンスとは11世紀に生まれ、中世に流行った文学様式。ロマンス語(ラテン語に起源をもつ言葉で、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、ルーマニア語などが含まれる)で書かれたため、こう呼ばれる。中世騎士物語とも訳される。
マビノギオン
 ウェールズの伝説として最も有名なものは、『マビノギオン』(Mabinogion)だろう。これは、1300?-1325? に書き留められた『リーゼルッハの白本』(White Book of Rhydderch)と、1375?-1425?に 書き留められた『ヘルゲストの赤本』(Red Book of Hergest)に基づいて、レディ・シャーロット・ゲスト(Lady Sharlotto Guest)が1838-48年に英訳した本である(註:完訳は1877年)。それまでは埋もれがちだったウェールズの伝説が、彼女の偉業によって、世に広く知られるようになり、また、ウェールズ復興運動へとつながったのは注目に値する。

 イングランド人のシャーロットは、ウェールズ人のジョン・ゲストと結婚し、ウェールズへと移り住んだことで、ウェールズの文化に大変深い興味を持った。幼い頃から中世のロマンスを好んだ彼女は、幅広い知識と長年の研究をいかし、拡張高い英語でウェールズの伝承文学を甦らせた。この英訳からウェールズの古典文学への関心が高まり、ウェールズ語がウェールズ愛国心の象徴として捉えられるようになったのである。

 『マビノギオン』は、全部で11の話からなり、その話は、「マビノギの4つの枝」「4つの独立した話」「3つのロマンス」と、3つのグループに分けられている。そのひとつ、「マビノギの4つの枝」を赤本からシャーロットが英語へと翻訳した際に、誤ってつけたタイトルがマビノギオンなのである。マビノギ(mabinogi)とは、それ自体が単数形ならば、ウェールズ語で「古代ウェールズの物語」を意味するが、ここでは、息子という意味のマブ(mab)の複数形として使われている。つまり、「息子たちの4話」なのだが、彼女は誤ってマビノギの複数形であるマビノギオンをタイトルにあてるのが妥当だと考えたのである。
   だがシャーロットを責められはしない。グイーン・ジョーンズによれば、当時、ウェールズの学者の間では、タイトルのマビノギをマブの複数形と考えるのが一般的だったのである。むしろシャーロットの翻訳が、当時の人々のみならず、後世に与えた影響の大きさを考えれば、この誤訳など些細なものだ。彼女の功績は、称えられるべきものなのである。

 11の話のうち、前半6つがウェールズの歴史やケルトの神々の話だ。後半5話が、後に『アーサー王伝説』のもととなった。前者では、ウェールズの歴史が描かれている。6話は、ローマ支配時代のウェールズや、ローマ軍撤退後にブリテン島に様々な民族が移住してきたことを語り、また、「リールの娘ブランウェン」では海を挟んだ隣国アイルランドの王国と関係を描きもする。しかし、ここでは史実のみが語られているのではない。そこには魔法、巨人、死者を甦らせる大釡など、超自然的な力が混在している。これらの話は長い間、バルズたちによって語り継がれているうちに、虚構と現実が渾然としてしまったのだ。しかしながら歴史と作り話が同次元のレベルで語られているのが、『マビノギオン』なのであり、また、それが『マビノギオン』の魅力のひとつとなっている。


第2話「リールの娘ブランウェン」に登場する王ベンディケイド・ヴラン
(2004年8月ハーレフ城にて撮影)

第4話「マソヌウイの息子マース」の舞台ともなるキンヴァエル川(Cynfael)
川にかかる橋を渡り先に進むと滝(右写真)に出る。
(2005年9月撮影)
     ※「ケンヴァエル」と記す場合もあるが、
     ここではウェールズ語の発音に近い
「キンヴァエル」と記した。

 後半5話は、アーサー王と彼に忠誠を誓う騎士たちの武勇伝と恋物語(ロマンス)を描く。ウェールズの歴史よりも、騎士のあり方や戦い、冒険談に話が割かれているのが、前半6話との違うところだ。ここでも魔法や怪物などが登場するが、これらは全て騎士に試練を課し、また、誉れや誇りを際立たせるための道具として使用されているようだ。

 また、アイルランドのク・ホリン伝説のように、一人の英雄の生涯を描いた物語がないのも、『マビノギオン』の特徴である。加えて、アイルランドの英雄は半神半人であるが、しかし、『マビノギオン』で主人公として活躍する騎士たちは、誰もが普通の人間である。それにも関らず、この5話がアイルランド伝説と同じく、「目的の出現」→「試練」→「獲得」という英雄憚のパターンを踏んでいるのは面白い事実だ。
 グイーン・ジョーンズは、「3つのロマンス」がアーサー王を扱いながら、アーサー王伝説に重きを置いていないことを指摘している(“Introduction”, The Mabinogion, tranlated by Gwyn Jones and Thomas Jones, (Everyman Library, 1949), p. xxv)。事実、『マビノギオン』には伝説の剣エクスカリバーも、魔術師マーリンも登場しない。

 なお、『マビノギオン』のシャーロット・ゲストによる英訳は出版されているが、Ken Collinson氏のサイトケルトの薄明(Celtic Twilight)のサイトで読むことも出来る。

 現在ではグイン・ジョーンズ(Gwyn Jones)氏とトマス・ジョーンズ(Thomas Jones)氏による英語訳本や、日本語訳の本も出ている。

  註・・・ タリエシンの話も含む版は全12話となる。

ウェールズ民話
 同じケルト民族のアイルランドとは異なり、ウェールズでは民話を語り継ぐという習慣が20世紀初頭において、既に失われていた。このことは、1907年に刊行されたThe Welsh Fairy Bookの著者W. ジェンキン・トマス(w. Jenkyn Thomas)が、その序文で明らかにしている。

 しかしながら、The Welsh Fairy Bookの編纂は、トマス自身が南ウェールズの学校で教えていた時に、ウェールズ民謡への子供たちからの需要が大きかったことに端を発している。この現象は、この少し前に『マビノギオン』全集の刊行により、ウェールズのケルト文化に注目が集まり、引いてはそれがウェールズ愛国心の炎を燃え上げらせるのに一役買ったことと、無関係ではあるまい。そのような周囲――大人――の盛り上がりに、敏感な子供たちが反応したと推測できる。

 自国の古い文化を知ることは、自分のアイデンティティの原点を知ることにもなる。イングランドの文化に、特に統合以来翻弄され、侵食されつつあったウェールズは、19世には、ひとつの国としてのアイデンティティを失いかけていた。

 また同時に、産業革命による急速な変革についていけないものもいた。そのようなものたちの中には、犯罪に走るものもいた。精神的な揺らぎから、精神疾患へと追いつめられるものもいた。

 しかしウェールズの人々は自分たち民族の起源を、古い伝説や民話から知ることで、他国(特にイングランド)との違いを知り、国としてのアイデンティティを持ち直したのだ。そのアイデンティティ探求と確立は、子々孫々まで受け継がれ、民話を欲していた小学生の子供たちの世代になることで、実を結び始めた。それは未だに完全には成し遂げられていないが、その思いが子々孫々まで受け継がれることは確かだ。

 現在残っているウェールズの民話の多くは、どれも中世以降に書かれたものばかりだ。理由は、ケルト人が文字で記すことを嫌い、その全てが語りを職業とする、いわばプロの吟遊詩人たちの暗誦に委ねられたためと思われる。そのため、アーサー王の物語に登場する魔術師マーリンの幼少時代が語られる、ウェールズの赤い龍にまつわる話や、有名な「悪魔の橋」の話なども、中世以降に記録されたものだ。

ウェールズ民話・龍と蛇
 ウェールズ民話では、龍と蛇は同族、もしくは、少なくとも深い関連のある“生き物”として扱われている。対外的にも有名な龍にまつわる話は、国旗に描かれた赤い龍の由来ともなったといわれる大魔術師マーリンの幼少時代の逸話だろう。その他にもウェールズには龍にまつわる話が残っている。

 *Gwiber
 “Gwiber”とは、現在の英語ではviperと訳される。その意味するところは、ヨーロッパクサリヘビ、もしくは、毒蛇である。

 しかし1861年のBrython誌には、次のようにある――「もし偶然、蛇が人間の女性の母乳を飲めば、それはgwiberとなる」。そしてBrython誌曰く、ウェールズ民話ではgwiberとは「龍」もしくは「羽の生えた大蛇」を意味する。

 つまり蛇が人の母乳を飲む機会というのは、万に一つほどの割合だ。だがそれが何らかの偶然により成就した場合、蛇は超自然的な力を得、龍もしくは羽の生えた大蛇になるというわけだ。古来より万に一つの確立で偉業を達成したものだけが、魔力や不思議な力を得るという話は多く伝わる。このgwiberにまつわるもその例の一つとしてみることができよう。

ウェールズ民話・妖精――「素晴らしい家族」
 ケルトで妖精というと、アイルランドを思い浮かべる方が多いかもしれない。しかしながら、ウェールズにも妖精にまつわる話は数多く残っている。特に北部の民話は、妖精にまつわる話の宝庫だともいわれる。

 妖精は地下に王国を作り、普段はそこに棲んでいる。しかしながら時折、その姿をこの世に現す。この時、川や湖が現世への通り道となる。従って、地下や水は妖精譚によく出てくる。実際、地下に眠る財宝を守る妖精の話や、湖や川周辺での妖精の目撃談が数多く残されている(「ウェールズ民話・大地にまつわる話」や「ウェールズ民話・水にまつわる話」など参照のこと)。

 ウェールズでは、妖精は一般的にア・タルイス・テグ(Y Tylwyth Teg)として知られる。その意味するところは、「素晴らしい家族」(The Fair Family)である。

 この起源には諸説あるようだが、ひとつ、アングルシー島に伝わる話を紹介しておこう。イエス・キリストが生きていた頃の話だ。

 アングルシー島に、子沢山の母親がいた。その数、なんと20人。現在でもすごい数と言える。だが、出生率がものすごく低い時代であることを考慮すれば、驚異的な数だ。同時に多産は、家系繁栄の象徴でもあったことだろう。

 その母親の下を、キリストがある日、訪れようとする。そのことを知った母親は、自分に子供が20人もいることを恥じた。そして10人を隠してしまった。その隠された10人は、二度と戻ることがなかった。この10人がア・タルイス・テグ(素晴らしい家族)の祖先になったという。


アングルシー島(イメージ)
(撮影:2003年)

 キリストがウェールズを訪れた事実は無い。では、なぜこのような話が生まれたのか。ひとつの推測は、キリスト教と異教の間に生じる排他関係だ。

 一神教であるキリスト教にとって、土着宗教の神々は認められるものでない。そしてこの話に見られる多産からは、土着宗教の香りが強くかおる。つまり性の営みから生まれる多産=繁栄という公式を、土着宗教が推奨したことは容易に考えられる。

 他方、純潔を唱えるキリスト教にとって、過剰な子沢山は原罪にも映る。故に過剰に多産な家系は、戒めるべき存在だったのではないか。従って半分の10人だけが隠されたのだろう。

 この隠された10人が妖精になったというくだりは、アイルランド土着宗教の神々がキリスト教の到来により縮んで妖精なったという説や、チェンジリングを思い起こさせ、非常に興味深い。

ウェールズ民話・大地にまつわる話
 ウェールズでは、大地の下には、妖精の棲む場所があると信じられていた。そして多くの場合、そこには金塊や宝が眠っているようだ。そのような話をいくつか紹介しよう。

 「妖精の合言葉(The Fairy Password)」とは次のような話である。ダイと呼ばれる小作農がイニス・ゲイノン岩(Ynys Geinon Rock)で、小男が魔法の言葉を唱え、3、4トンはあろうかという重い岩の扉を開け、地下へとくぐっていくのを偶然目撃する。ダイが岩の傍でその言葉を真似て唱えると、果して、扉が開いた。

 ダイは地下へ降りて行った。そこには地下道が張り巡らされており、その地下道を通り、タン・アル・オゴヴの洞窟(Tan yr Ogof)やクレイグ・ア・ノス城(Craig y Nos Castle)など至るところに行くことができた。そこには妖精たちが住んでおり、また山のような金塊があった。それにもかかわらず、その妖精たちは近隣の農家からバターやチーズなどを盗んでは生活を立てていた。

 妖精たちはダイを最初はひどくからかいこそすれ、そのうちにダイを優しくもてなしはじめた。2年間、ダイはその地下で暮らした。地上に帰る際に、妖精たちはダイに帽子一杯の金貨を与えた。

 ダイは地上に戻ると、地主に自分が地下で過ごしたこと、そこには金塊が山のように積まれていたことなどを告げた。地主は地下に金塊の山があることを知ると、ダイから魔法の言葉を聞きだし、地下から金貨を地上に持ちだすことに成功した。だが地主の中で、欲がもたげた。再び、地主は地下道へと足を踏み入れたが、今度は妖精たちにつかまってしまった。地主は以後、地上へと戻ることはなかった。ダイはその地下の存在が恐ろしくなり、それから後生、魔法の呪文を誰にも教えずに、墓場までもっていった。

 次のような話もある。リーウエン(Rhiwen)に棲む農夫が、岩の間に落ちた羊を助けようとして、偶然、マルクリン・マウル湖(Marchlyn Mawr)の近くに洞窟を見つけた。そこには宝の山があり、素晴らしい武器が山のように眠っていた。農夫がその宝に手を伸ばした瞬間、頭上でごうごうたる音が響いた。そして洞窟は真っ暗になってしまった。何とか洞窟を抜けだした農夫が、湖のほうへと目をやると、驚いたことに湖の水は竜巻のようになり、農夫めがけて襲ってきた。

 良く見ると、その湖の真ん中には一艘の船が浮かんでいた。その船には三人の女性が乗っており、その船は農夫のほうへ迫って来た。農夫は恐怖に駆られたが、何とか逃げ出した。だがその後、農夫は体調を崩し、それは生涯、治ることがなかった。

 また次のような話しもある。カーディフ郊外にある有名な城、赤い城(Castell Coch)には、地下の通路がある。そこには金塊の山があるが、それは二羽の鷹に守られている。暗い地下道の中で見えるのは、眠らずに番をする鷹の炎のように燃える瞳だけだ。


森の中に佇む「赤い城」の地下には金塊が眠る・・・ 。
(撮影:2004年)

ウェールズ民話・妖精との誓約にまつわる話・1
 ウェールズには妖精との誓約を交わした話が残っている。そのひとつを紹介しよう。ベズゲラート(Beddgert)の近くの村Betws Garmonには、妖精を捕まえた若い農夫の話だ。

 ある夜の月下、アストラッド(Ystrad)の若い農夫が妖精らが躍っているのを目撃する。若き農夫は、その中の最も美しい妖精を捕まえる。若者はたちどころにその妖精に恋をし、結婚してくれるように頼む。だがその妖精から帰って来た唯一の答は、もし名前を言い当てることができたら、召使になりましょう、というものだった。

 農夫は思いつくかぎりの名前を挙げるが、全て外れ。そこでかつて妖精を捕まえた場所に赴き、身を隠し、他の妖精たちの話に耳を傾けた。するとその妖精のうちの1人が、「ああ、可愛そうなペネローペ(Penelope)!」と彼女の名を口にした。急いで若者は家に帰り、その名を彼女に告げる。彼女は約束通り、若き農夫に召使として仕えるようになった。

 するとその妖精の不思議な力のおかげか、牛は日に三回も乳を出すようになり、家畜たちは驚異的な速度で成長した。農地も広がり、1年後には5000エーカーもの土地が彼のものとなった。

 しかし妖精との仲は発展しなかった。それでも彼女との結婚をあきらめきれない農夫は、幾度となく求婚。そしてついに妖精が折れた。「鉄をもってぶたないこと」との誓約つきで、その若き農夫との結婚を承諾したのである。

 若き農夫と妖精はついに結ばれた。子宝にも恵まれ、二人は幸せな日々を送った。ところがある日、言うことを聞かぬポニーをクツワで叩こうとした時、悲劇が起きる。ポニーはクツワを避け、そのよけたクツワは今では妻となった妖精にあたった。農夫は「鉄」で妻をぶってしまったのである。誓約が破られた。その瞬間、彼女は消えた。彼女は仲間の妖精たちの所へと帰ったのである。

 農夫と妖精の間にできた子供らは、その後、子々孫々、そのアストラッド(Ystrad)の農地で暮らした。彼らはペネローペがなまってぺリングの人々(Pelling)と呼ばれるようになった。言い伝えによると、この辺りには19世紀まで妖精の血を継ぐという人々が住んでいたそうだ。

ウェールズ民話・妖精との誓約にまつわる話・2
 水にまつわる妖精との誓約の話もウェールズには残っている。「赤い湖の花嫁」とは、湖と妖精の誓約の両方にまたがる話である。

 スノードン山の森の中にある「赤い湖」(Llyn Coch / the Red Lake)である霧の深い日に釣りをしていた農夫が、霧が晴れた一瞬に湖の湖面に建つ家を見つける。だがこの家は数分のうちに掻き消えてしまった。

 農夫はその後、何度も湖を訪れるが二度とその家が現れることはなかった。しかしある時、連れていた馬に湖の水を飲ませていた時、偶然、水の下から覗く美しい女性(妖精)の顔を見つける。だがこの幻想も、瞬く間に消えてしまう。

 その翌日、農夫は再び林檎をもって湖を訪れる。果たして、湖の中から先の美しい妖精が現れ、林檎を乞うた。農夫は林檎がほしければ自分で取りに来たらどうだ、と妖精に誘いをかける。妖精が林檎に手を伸ばした瞬間、農夫は妖精を捕まえる。そこにその妖精の父親だと名乗る、白いあごひげを伸ばした老人が湖の中から現れた。

 その老人に農夫は、この妖精に一目惚れしたことをつげ、嫁にくれるように何度も何度も頼んだ。結果、老人は「土塊で殴らぬこと」との誓約付きで、娘である妖精を嫁に差し出した。そして二人は式を挙げ、幸せに暮らした。

 だがある日、妖精が自分を湖からさしい出した時に使ったような美味な林檎を食べたい、と、夫である農夫に所望した。夫は隣の家に出かけ、林檎とその苗をもらってきた。二人はその苗を植えようと、庭に穴を掘った。穴が完成しようという時、農夫が肩越しにシャベルで掬った土を投げ捨てた。その先に居たのは、嫁である妖精だった。土塊が当たった瞬間、「さよなら愛しきわが夫よ」と妖精は声を振り絞り、そして、湖の中へと帰って行った。

ウェールズ民話・水にまつわる話
 ウェールズは水資源が豊富だ。それだけに水に関する伝説・民話も多い。ウェールズの龍が水神であるとの説も残るぐらいだ。特に北ウェールズおよび西ウェールズには、湖や川が多く、ゆえに伝説も豊富である。「悪魔の橋」は、西ウェールズにある急流にかけられた橋にまつわる伝説だ。ウェールズに伝わる水に関する民話の中でも、最も有名なもののひとつである。

 *悪魔の橋
 ある時、マナックハ川が氾濫していた。年老いたメガンはその岸辺に立ち、対岸にいる自分の牛をどのようにして自分のいる側へと渡そうかと思案に暮れていた。そこに修道士の格好をした悪魔が現れる。悪魔は、メガンに川に橋を架けることを申し出る。ただしそれには、その労働の代価として、「最初に橋を渡った生き物をいただく」という条件がついていた。メガンはこれを承諾する。そして悪魔は川に橋を架ける。その橋を最初に渡るのが牛であろうと、彼女であろうと、悪魔には良い取引なのだ。

 だが橋が完成すると、メガンは橋の中央めがけ、パンをほうった。すると犬がそのパンをめがけて、かけよった――最初に橋を渡ったのはこの犬だった。悪魔は「このクソ犬め」と呟き、姿を消した。メガンは命が助かったばかりか、大事な牛も手放すことはなかったのだ。

 現在、マナックハ川の滝には三重の橋が架かっている。そのうち一番下の古い橋が、悪魔の橋だと伝えられている。


「悪魔の橋」の舞台となった「悪魔の橋の滝」(Devil's Bridge Waterfall>
(2004年8月撮影)

 *湖に関する話
 湖に関する話では、自然の力のすごさを間接的に語るものがある。たとえば「グレイスの井戸」(“Grace's Well”もしくは“Ffynnon Grassi”)では、妖精の井戸と呼ばれる井戸の蓋をグレイスがし忘れたばかりに、井戸から水が溢れグラスフリン湖(Glasfryn Lake)を作ったという。

 またジェラルド・オブ・ウェールズは、スランゴース湖(Llangorse Lake)に伝わる話を、12世紀に記した自身の見聞録に記録している。その伝説によると残酷で貪欲な王女が、求婚してきた男性に多くの富を持ってきたら願いをかなえると告げる。男は裕福な商人の命を奪うが、殺された商人の霊が激怒のあまり、嵐を起こし、その王国を湖の下に沈めてしまったという。


スランゴース湖(上写真)は実際には氷河期の終りにできたことが、
現在の研究では分かっている。
 写真中央に見える島は、人工の島。クラノッグ(Crannog)とよばれ、
少なくとも1000年以上前にアイルランドからの移住者が作ったとされる。
(2007年09月02日撮影)

 またバラ湖(Bala Lake)には、次のような話が残っている。丘の谷間に、残酷で不誠実な王子が治める裕福な王国があった。ある時、王子に最初の子供が生まれ、それを祝い、盛大なる宴が宮殿で開かれた。実は王子はその直前に「天罰が下るよ」という声を聞くが、一笑に付したのである。宴は夜中になっても続いた。夜もふけたころ、宴に呼ばれていたハープ奏者が「天罰が下るよ」との囁き声を耳にする。見れば、一羽の鳥が彼を宮殿の表へと誘っている。その鳥に導かれるままにハープ奏者は、丘の頂まで登る。そして朝があけてみると、谷間はひとつの穏やかな湖になっていたというのである。


バラ湖

 スノードニア山脈のカルネザイ山(Carneddau)にある“黒い湖”(Llyn Dulyn)。この湖はスノードン山の山頂よりも望めるために、人に良く知られる。しかしその表面積は、非常に小さい。33エーカー≒13万平方メートルである。一方で189メートルという水深を誇る。この水深ゆえに湖が暗く見え、その名がついたのだが、実にこの湖では妖精やゴブリンなどの目撃談が多い。

 また17世紀には、その湖に通ずる土手道があったそうだ。その土手道を夏至の前夜、ハロウィン、5月1日に訪れた人は、自分の住む地域で次に誰が死ぬかをみる事ができたという。


黒い湖(撮影:2005年9月3日)

 またこの土手道の先には「赤い祭壇」(Red Altar)の呼び名で知られる赤い岩がある。この岩の上から水を注げば、翌日は雨になると信じられていた。

 *水と異界
 水を抜けて異界を訪れる話は、たとえば日本では浦島太郎の話が残っている。同じようにアイルランドのケルトにも、水を介して異界を訪れる話が残っている。英雄オシアンの話などがそうだ。いずれも異界で過ごした数日が、現世界では数年の時に相当するという興味深い共通点がある。

 はたしてウェールズにも、似た話は残っている。「オウエン、求婚に行く」がそうだ。ある夜、オウエンが恋人に逢いに行こうとする。だが彼は道を誤り、カンヌッハ湖 (Llyn Cynnwch)に落ちてしまう。オウエンは泳ぐことができず、そのまま湖底まで沈んでいくが、驚くことに湖の底には緑と花が溢れる美しい国があった。オウエンはその国にある大邸宅で行われていた宴に加わり、1、2時間の間ではあったが非常に楽しい時を過ごす。

 しかしオウエンは恋人との約束があるので、地上へと帰る。帰ってみると、恋人が彼が死んでしまったと思い泣いていた。彼が湖底の国で1、2時間過ごした間に、地上では1カ月以上が経っていたのだ。

 *水と怪物
 コンウィ(Conwy)の辺りにはアヴァンク(Afanc)と呼ばれる怪物の話が残っている。その容姿は巨大なビーバーのようだというが、実際にウェールズには12世紀ごろまではビーバーが生息していた。ただし希少だったようで、その皮はハウエル・ザの法典で10シリングと規定されていた。この金額は、何と、ノロジカの皮の120倍以上の金額だ。

 そのアヴァンクは河を堰き止め、その溜まった水を氾濫させることで洪水を起こすと信じられていた。困った村人が力を合わせアヴァンクを鎖で縛る。そして二頭の雄牛にひかせ、スノードン山の青い湖に運んだ。アヴァンクはその後、青い湖を住処とし、春になると麓まで降りてきて再び河を氾濫させたという。

 これのらの民話は、ウェールズ人の都会嫌いを象徴するように、伝承や伝説は、そのほとんどが自然と密接な関係をもっているのは興味深い。神々や悪魔、巨人が自然の中に隠れ、人々はその自然の中に迷い、英雄や魔法使いが活躍するのが、ウェールズの伝説や民話である。

 *人魚
 これもコンウィに伝わる話である。

 秋も深まり、木枯らしが吹き荒れるころのこと。ある天候が荒れた日に、人魚が岸に打ち上げられた。人魚は自分の力では海に戻ることが出来ず、悲しそうに漁師たちに自分を海に戻してくれるように頼んだ。

 しかし漁師らはその願いを拒んだ。それというのも、漁師たちはこれまでに様々なものを海に奪われ、失っており、そのため、海の生き物を助けるつもりはなかったのである。なかんずく、人魚が海岸の石の上を這い、海へと戻ろうとすると、その様をあざけり、からかった。

 それでも何とか人魚は海にたどり着いた。打ち寄せる潮の流れにのり、引き潮とともに海へと帰っていった。その時、漁師らは顔面から落ちるように倒れた。それというのも、その時、人魚が町とその住民を呪ったからである。

 今でもコンウィでは、何か不運なことが起ると、人魚の呪いについて口にする人がいるという。

 *井戸・泉
 ウェールズで井戸や泉に関する伝説・民話は数多く存在する。そのうちのひとつが、聖なる井戸だ。聖なる井戸の多くは聖人に由来する。ウェールズで有名な聖人といえば守護聖人の聖デヴィッドの他、アングルシー島の先端ホーリーヘッドとなじみの深い聖カビ(St. Cybi)、アングルシー島東端に修道院を構えた聖セイリオル、そして聖バイノ(St. Beuno)である。彼らゆかりの井戸は、いたるところにある。

 その聖なる井戸の中でもおそらく一番有名なのは、北ウェールズはクルイド(Clwyd)の聖ウィニフレッドの聖なる井戸(Holy Well of St.Winifred)。この井戸のある町はこの井戸にちなみ、ホーリーウェル(Holywell)と呼ばれる。

 聖ウィニフレッドは、若く美しい女性だった。その彼女に、地元の首長の息子カラドックが岡惚れする。そして酔った勢いから、聖ウィニフレッドを襲う。しかし聖売りにフレッドから激しい抵抗にあったカラドックは、怒りのあまり、彼女の首を刎ねる。


聖ウィニフレッドの井戸(撮影:2011年8月6日)

 その様子を近くの教会から見ていた聖バイノが、そこに駆け寄る。聖バイノがカラドックを呪い殺し、聖ウィニフレッドの死体に目をやると、そこからは泉が噴き出していた。聖バイノは胴体と離れた首を拾い上げ、神に祈った後に、首を亡骸とつなげた。すると奇跡が起きた。聖ウィニフレッドが息を吹き返したのである。

 この湧き出た泉が、現在の聖ウィニフレッドの井戸となった。その井戸から、今でもこんこんと水が湧き、巡礼の地になっている。


聖ウィニフレッドの井戸・右の柱に囲まれた
エメラルドグリーンの水面が泉<クリックで拡大>
(撮影:2011年8月6日)


ウェールズ民話・悪魔にまつわる話
 北ウェールズでは19世紀中ごろまで、悪魔の存在が信じられていた。北ウェールズの家はその表面をしっくいで塗り固められたものが非常に多く見受けられるが、これも一説によると悪魔よけだという。


漆喰で塗り固められた家々。これも悪魔よけの名残なのだろうか・・・ ?
(撮影:2011年8月、レクサムにて)

 悪魔の使いは、トンボのような生き物だったと信じられている。また悪魔そのものも、大鴉や黒犬、黒い豚などに姿を変えることができたという。もちろん人間にも姿を変え、人々をだましたのだ。







ウェールズ?! カムリ!
写真と文章:Yoshifum! Nagata
(c)&(p) 2004-2018: Yoshifum! Nagata




主要参考文献
カエサル、『ガリア戦記』、國原吉之助訳、(株式会社講談社、1994)
『マビノギオン 中世ウェールズ幻想物語集』、中野節子訳、(JULA出版局、2000)
The Green Guide: Wales, (Michelin Travel Publications, 2001)
The Mabinogion, translated by Gwyn Jones and Thomas Jones, (Everyman's Library, 1949)
Hughes, Meirion and Wayne Evans, Rumours and Oddities from North Wales - A selection of Folklore, Myths and Ghost Stories, (Carreg Gwalch, 1986-1995)
Johnson, Dafydd, The Literature of Wales, (Cardiff University of Wales Press, 1994)
Jones, J. Graham, The History of Wales, (Cardiff University of Wales Press, 1990)
Matthews,Caitlin, Mabon and the Guardians of Great Britain, (Inner Traditions International, 2002)
Matthews, John, with additional material by Caitlin Matthews, Taliesin The Last Celtic Shaman, (Inner Traditions, 1991)
Owen,M. Trefor, The Customs and Traditions of Wales, (University of Wales Press, 1991)
Thomas, W. Jenkyn, The Welsh Fairy Book, (Frederick A. Stokes, CO., 1907)
Williams, Margaret, The Smallest House Cook Book, (Gwasg Carreg Gwalch, 1992)




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