随想もしくは雑記
――ウェールズに関する、あるいは、ウェールズに関係ない、筆者の雑念・2011年度版――



2011年12月31日(大晦日)
 さて今年も残りあとわずか。例年通り、やることは山積みである。だがそれでも、来年の正月は休めそうだ。

 そうは言うものの、まだ年賀状を作っていないが・・・ 。

 今年2011年は、本当にいろいろなことがあった。海外のメディアに日本が注目された年でもあった。その一方で、チェニジア、エジプト、リビアで革命・大規模改革が起こった。

 カダフィ大佐、金正日総書記の死亡は一時代の終わりを告げた。だが何といってもビン・ラディンのアメリカ軍による殺害は、特に世界のsecurity対策を一変させた9.11より10年という節目の時代に、ひとつの区切りをつけた。

 そのような中で、ひとつ強い印象を残した本がある。川上弘美の『神様2011』である。実にこの本、書こう書こうと思い、常に机の脇に用意しておいた。だがついぞ、書く機会がなかった。そこでこれを機に、書いてしまおう。

 本作品は、1993年に書かれたデビュー作『神様』が下敷きになっている。これを、2011年の3.11による原発事故を機に、周到にリミックスした作品だ。したがって『神様2011』は、あの原発事故を反映した世界になっている。そして講談社から出たその本は、前半にデビュー作『神様』を、後半に『神様2011』を配している。

 どちらも短編であり、文章は平易。だがそれが醸し出す空気は、詩情豊かで、他の追随を許さない。このふたつを読み比べてみると、いかに世界が変わってしまったかがわかる。と同時に、この世界とこれから付き合っていかねばならぬことが、如実に感じられる。生半端な覚悟ではつとまらない。

 さて2012年はどのような年になるか。皆様にとって、良い年でありますように。ちなみに今年購入したCDの総数は、(おそらく)111枚。おそらく、というおまけがつくが、記録上では何とぞろ目である。さて、私はこれから年賀状でも作るかな。

2011年12月30日(地下鉄記念日)
 @仕事の合間に、少しだけ大掃除の真似事をしてみる。エアコンのフィルターを掃除し、パソコン周辺を片付け、更に雑誌を少しだけ整理した。

 そしてパソコンの内部を掃除。いらないデータを削除。続いて、すぐ使わないデータを外付けハードディスクに移す。さて、これでデフラグをしよう。そうすれば、少しは軽快になるかな。

 Aその最中に、古い新聞のスクラップが出てきた。アマゾンでおなじみのkindleの原型に関する記事だ。タイトルが“衛星使い「電子書籍」”。時代を感じるね。ふとその記事の日付を確かめると、なんと1998年。今から10年以上前だ。

 そのような前から、電子書籍の企画はあったのだな。驚いた。インターネットではなく、通信衛星を使ってというところが現在と大きく異なるところだ。だがそれも、今のように記憶媒体が小型化・軽量化できるとは、誰も予測できていなかったからだろう。

 それにしても本当に数年前には考えられなかったことが、今では簡単に実現できるようになってきている。私なんぞ1年前に、現在の状況なんぞ想像できなかった。皆さんはいかがですか?

2011年12月29日(シャンソンの日)
 あまりにも雑多な5題。

 @円高。1ポンドは120円とさほど夏から変わらない。だが、1ドルは77円82銭。1ユーロにいたっては100円35銭。こりゃ一体、どうなることやら・・・ 。

 A一昨日、「ウェールズの忘れられた町・村を保存する」キャンペーンについて言及した。その一方で、ウェールズでは2万5千近くもの家が空き家になっているとか。このうち、6177軒が1年以上10年未満の間、誰も人が住んでおらず、103軒にいたっては10年以上、人が住んでいない。すごい話だが、住宅事情が切迫している(なんてもんじゃないか)の日本に比べれば、ある種、うらやましい話でもある・・・ 。

 B日本ではこの1年間、死刑が執行されなかった。これには賛否両論があると思う。しかし私は、良いことだと思いたい。死刑廃止とか、死刑是正とか、そういう論点を超えての意見である。お間違いなきように。

 C感の良い人が身近にいる。特にその人のすごいところは、他人のほしいものをずばり、当てるところだ。聴けば、以前、友人がほしがっていたが店頭からなくなってしまったものを、それとは知らずに手に入れ、プレゼントしたそうだ。相手が喜んだことは、言うまでもない。すごいね。あやかりたいね。

 Dケイト・ブッシュの新作が良い。その名も『雪のための50の言葉』。その音は、寒いこの時期にぴったりの音の風景だ。しかしその中に響く彼女の声が、時に暖かく、時に雪の結晶のように美しい。また以前のような、強迫観念的な過度な声のオーヴァーダビングもない。一音一音まで計算されつくしたかのような、静謐な美がそこにはある。この時期に聴いてこその音だ。すばらしい。

2011年12月27日(ピーターパンの日)
 @「ウェールズの忘れられた町・村を保存する」キャンペーンがAbandoned Communitiesで始まった。これは単にゴースト・タウンを保存するのではない。中世の史跡に始まり、急速に進んだ産業の衰退とその後の再開発などにより住民が退去を強いられた町、そしてダム開発により湖水に沈んだ町なども含まれる。

 例として、ケンヴィグ(Kenfig)の14世紀の史跡や、ポース・ア・ナント(Porth y Nant)の石切り場のコミュニティなどがあげられている。

 かなり以前より、南ウェールズのイメージのひとつとして退廃した村や、駆逐された廃棄物などがあげられてきたが、このように保存する方向で動くのは初めてのことだ(註:以前よりこれらの保存を唱える人は存在した)。中々面白い動きである。

 A最近、非常に気になるのが、サイトの表示速度。つい先頃まで快適だったインターネット・エクスプローラー7では、既に表示速度が非常に遅くなるサイトが多数出てきている。

 これらはGoogleが開発しているCromeなどを使えば、ストレスなく表示可能な場合が多い。だが有体に言えば、開発者らの強い意図を感じる。どの機械・プログラムでも同じように表示できるのではなく、ある一定の機能を使用しなければ利用が難しくなるように仕向け、ユーザーをそちらのほうに誘導する手口を使っているように思える。

 時代はユニヴァーサル志向に向かっているというのに、これでは時代と逆行しているとしか言いようがない。

2011年12月26日(ボクシングデー)
 先日、はまったのがファンキーなジャズ・ロック。しかも70年代初頭のもの。続けて昨日、今日にはまったのが、ベース・ソロイストの音楽。

 もともとベースをやっていた。それだけに、普通の人以上に低音に耳がいく。それも自然に。

 ではどのくらい低音を聞き分けられるかというと、昔のテレビやAMラジオでくっきりと低音が聞き分けられるほどである(普通の人には、テレビやAMラジオの低音を聞き分けるのは困難だ)。

 それだけに低音の良し悪しで、音楽の好みが分かれたりものするのだが、特にここ数日はそれが顕著。したがって安心して聴ける、ベース・ソロイストの音楽ばかり聴いているというわけ。

 その中でも、聴いたのがジェフ・バーリン。特にソロ・アルバムとしては処女作『チャンピオン』の「マザー・ロード」「20,000プレイヤーズ」「マラビ」は頭の中でぐるぐる回るほど。マーカス・ミラーやスタンリー・クラーク(この二人もこの二日、よく聴いた)のように派手な演出・演奏はないが、低音から高音域まで自在に行き来するベース・ソロは見事の一言。また次々と移り変わる調(もしくは和音)にあわせてインプロヴァイズする音の選択が、すばらしい。

 多くのベース奏者が5弦や6弦のベースなど多弦ベースを普通に手にする中、あえて4弦ベースを弾く姿勢もすばらしい。特にその4弦ベースを、「デキシー」や「クリントン・カントリー」などに代表される、クラシック・ギターのように弾く奏法は、4弦ベースの可能性を感じさせる。それと同時に、このような凄腕のプレイヤーは他にいないと感じさせる。音楽、テクニックともに唯一無二の存在だ。本当にすごい人だね。

2011年12月25日(クリスマス)
 失礼なメールをもらうなど(誰に話しても「それ、失礼!」というほど)、諸所懸念はあるが、今日はそのようなことを忘れよう。メリー・クリスマス!

2011年12月16日(電話創業の日)
 眠い。実に4時40分起床である。寒い。実に東京は最高気温11度、最低気温5度である。その相乗効果により、暖気に触れると眠りの底に落ちていく・・・ 。もちろん無意識に、である。

 久々に書くテーマが、こんなこととはね。もっとHappyなことを書きたいが。やれやれ、だ。

2011年12月11日(最後の王子スウェリンの最期の日
 1282年のこの日、ウェールズの“最後の王子”スウェリンがイングランド兵によって殺害された。キルメリ村の近く、イルヴォン川でのことだった。これにより、ウェールズは生粋の王子を失い、同時に、自治権も失った。

2011年12月10日(世界人権デー)
 冬将軍、到来。その中でも今日は、陽だまりが感じられる。ちょっと一息、かな。

 それにしても今日は、皆既月食だったらしい。言われるまで知らなかった。教えてもらった時に窓の外を見たのだが、驚いたことに、夜空が二分されている。

 下の方は厚い雲が覆っている。その雲は地上のライトに照らされ、何ともいえない色になっている。頭上はというと、雲ひとつない星空だ。東京だけに満天の星空とはいえないが、それでも、星明りが覗いている。このふたつのコントラストが、異様に感じた。

2011年12月01日(映画の日)
 師走である。その声を聴いた途端、東京は急激に冷え込んだ。前日との気温差、実にマイナス5度。晩秋から一気に冬到来である。急にコートなしでは、外を歩けなくなった。

 明日は更に冷え込む模様。天気予報によれば、さらに5度下がるという。私の周りにも寒さに弱い人間がいるが、明日は大変だろうな。かく言う私も寒さには弱い。防寒対策をしっかりとせねば。

2011年11月25日(女性に対する暴力廃絶のための国際デー)
 今日、はまった音楽3種。

 @武満徹の“秋”に関する曲。「ノヴェンバー・ステップス」はもとより、「秋庭歌」が良い。「秋庭歌」は武満が書いた、雅楽組曲『秋庭歌一具』のメインとなる曲。この静かなる、うちに秘めた力がすごい。特に伶楽舎による演奏がずば抜けてすばらしい。

 Aジャズ。特にセレニアス・モンクと、電化しつつあった時期のマイルス・デイヴィス。ともに不思議ながら独特のハーモニーが良い。

 Bデジタル音を前面に打ち出した即興演奏。これまでのヴォキャブラリーと想像を超えた展開に、デジタルのはっきりとした音が最高に良い。

 以上、すべてが仕事の行き帰りで聴いた音楽。このギャップに、我ながらクラクラする・・・ !

2011年11月21日(世界ハロー・デー)
 過日、料理の食べ比べをする機会があった。その料理だが、料理そのもののレベルは高い。何しろコース料理である。しかもホテルのレストランの料理だ。そうなれば、普通に出されれば、悪いわけがない。

 しかしふたつのコースを、一品ずつ比較するように出されれば、私と同行者の舌も突如、鑑定家のそれに早代わり。互いに情報を交換し合い、甲乙をつけていく。しかしそれも、料理の味がわかるのみならず、それを言葉として表現できる人でなければ務まらない。逆にそれができれば、非常に機知に富んだ会話も期待できる。やはり料理に興味がある人は良いね!

 だからというわけではないが、料理関連の映画を1本。『ジュリー&ジュリア』。2009年アメリカ映画。この話は二つの時間軸が、交錯しながら進む。

 時間軸のひとつは、第二次世界大戦後。この主人公ジュリア・チャイルドは、パリに夫と移り住んだばかり。そのパリで本場フランス料理の素晴らしさに目覚める。ジュリアはそれまで料理の経験がないにもかかわらず、一念発起して料理を学ぶ。そして友人らとともに紆余曲折。しかし一念岩をも徹す。8年間かけて、アメリカ人主婦向けのフランス料理のレシピ本を出版。

 もうひとつの時間軸は、現在のアメリカ。こちらの主人公はOLのジュリー。ジュリーは、夫の勧めから、1年間かけてジュリアのレシピ本の料理全てを再現することを決意。何でも途中で放り出してしまうジュリーは、その模様をブログで公開することで自分を駆り立てる。最初は母親しかみてくれなかったそのブログも、いつしか人気ブログとなり、ついに取材が舞い込むまでに・・・ 。

 ふたつの時間軸を交錯させながらも、全く異なる映像で観客を混乱させない作りはさすが。

 その一方で料理は次々と完成していくが、そのほとんどは画面に登場しない。料理を目で楽しめないのは、何とも残念だ。

2011年11月19日(一茶忌)
 @ふいに思いついたこと。筒井康隆の実験小説に、『残像に口紅を』がある。日本語の音が消えていくというものだが、実に音が消えると、その音を含む言葉が小説の中で使えなくなる。

 たとえば「め」という音が消えれば、「目を見る」とは書けない。「瞳を見る」と書くようになる。続けて「み」がなくなるとする。すると「見る」が書けない。そのため「瞳を注視する」などと書かねばならない。実に大変だ。

 これを英語でやったらどうなるか、と、考えた。英語は表音文字ではない。そのためアルファベットが消えていくことにする。すると“y”が消えれば、“I looked at his eye.”が書けない。“I looked at his organ of sight.”などと書くことになる。

 同時に“you”も使えない。まあ“Are u ready?”のように、“u”で代用可能だが。

 これだけならばまだいい。もし“e”が消えたとする。すると、規則変化動詞の過去形が使えなくなる。“s”だと大変だ。複数形のみならず、三人称単数の現在形まで使えなくなる。加えて“i”が消えたら・・・ 「私は(が)」が使えなくなる。すると1人称の文章から主語が消え、1人称の文章そのものが成立しなくなる。

 日本語はこの場合、主語など省略が可能だ。聴いた話では、ラテン語は格が確立されている。動詞の変化ですべての格をあらわすことができるらしい。これだと、主語は完全に省略できる。

 日本語もラテン語もすごいね・・・ !

 ABBC Walesは拠点をカーディフ郊外のスランダフ(Llandaf)におく。しかし機材の老朽化などの原因から、拠点を動かすことを考えているという。

 その選択肢は3つ。ひとつは現在のビルを改装すること。二つ目は、カーディフ内にこれから建てる新しいビル。最後はカーディフ内にある、現存のビル。

 いずれにしても現在のビルを売っても、不景気の影響から、赤字が生じるとのこと。大変だね。

2011年11月17日(国際学生の日)
 @先日、東京の気候の変動が激しいと、書いた。そしてここ数日で、一気に冷え込んだ。

 気象予報士は、毎日のように寒さ対策をとるようにと訴える。つい先頃まで活躍した薄い衣類すべては、クリーニング屋行きとなった。代わりに厚手の衣類が、箪笥の中を占める。

 今日は特に寒くなるので厚着を、と、気象予報士が朝のニュースで訴えていた。そこで不要かとも思ったが、ジャケットの下にセーターを着込んでいった。

 確かに外は、晩秋の趣だ。風が吹くと寒い。だが冬の寒さではない。その証拠に、朝でも空気が冷え切っていない。そのため風は冷たくとも、体の芯から冷えるということはない。セーターを着て歩いていたら、少しばかり汗ばんだ。

 似たような経験をした人が、知り合いにいる。先日冷え込んだ時のこと、気象予報士が寒さ対策を訴えていた。それを受けて知り合いがセーターを着ていったら、やはり電車の中で暑くなったと話していた。同じだな、と思った。まだ晩秋なのだ。冬の寒さではない。もう少し、秋を楽しもう。冬の厳寒なるさまは、それからでも良い。

 A昨日、ふいに車の中ではまったのがジョン・コルトレーン。それも「マイ・フェイヴァリット・シング」のライヴ演奏。ただし晩年のフリーではなく、『セフルレスネス』に収録された1963年のライヴ演奏のもの。名演&名曲だよね。

 そこで今日、はまったのは武満徹。ジャズから一転して現代音楽である。それも室内楽と、「ノヴェンバー・ステップス」を始めとする、一連の秋にまつわる曲。もちろん、聴く引き金となったキーワードは“晩秋”。四季の中でも特に秋を好んだ武満だが、秋にまつわる曲は秋に聴くと本当にしっくり来る。周囲の空気と響きあっている感すらある。すばらしいね。

 B実は、また禁句を強いていた。気づいておられて方もいるかと思う。もちろん「疲れた」「忙しい」である。今回は、それ関連の言葉も禁句とした。つまり「多忙」「疲労困憊」に始まり、「休みがない」「睡眠時間が・・・ 時間を切った」などの使用が、すべてご法度というわけ。やれやれ、だ。

 その結果は、ご覧のとおり。雑記の空きようを見ればお分かりになると思う。それでも、しかし、本人は疲労は感じている。だがそれがひどい疲労につながっていない。要因はある人のおかげ、というか、影響というか。要は一種の気の持ちようなのだ。この感じ、大切だよね。

2011年11月09日(ベルリンの壁崩壊の日)
 東京の話。ここ最近、気温の変化が激しい。先週は薄いジャケットでも大丈夫だった。むしろ、暑くて昼間などはジャケットは脱いでいた。

 一転して今週は冷え込んでいる。昨日は厚手のジャケットを着た。今日の夜、その厚手のジャケットにマフラーがほしくなった。加えて、この秋、初めてエアコンの暖房を入れた。どうなっているんだ・・・ って、もう11月なんだよね。今までの暖かな気温こそが異常だったのだ。秋らしくなってきた。さあ、行こう、秋の深みへ。武満徹の「11月の階段」が、本当に似合う季節になってきた。

2011年11月07日(鍋の日)
 ウェールズでは今年の10月1日より、スーパーなどで買い物した場合にこれまで無料で配られてきたビニール製のバッグ(いわゆるレジ袋)を、有料とする法案(条例)が施行されている。これに際し、レジ袋は最低5ペンスかかるようになった。

 この件関してカーディフ大学が行った調査によると、70%の人がこの法案に賛成しているという。更には各店舗で最大95%のレジ袋が削減できたという。

 興味深いのはその内容。スーパーマーケットのような大きな店では、削減率が高い。逆に食品のテイク・アウェイ専門店では、ほとんど減らないという。そりゃ、そうだろう。特に郊外にある大型店へは、多くの人が車で買い物に行く。従って、レジ袋はほとんど必要ない。だがテイク・アウェイ専門店にマイ・バッグを持参していくほど、用意周到な人はいないだろう。逆に言えば、それほど用意周到ならば、テイク・アウェイ専門店には行かないと思う!

2011年10月29日(ホームビデオ記念日)
 新聞の片隅に小さく出ていた記事より。イギリスおよびイギリス連邦で、王位の後継者を長子優先とすることを決定した。これは今月13日にキャメロン首相が、提案・法改正に向け着手していたものを受けた形となる。

 何をいまさら、と思われる方もいるかもしれない。しかし“長子”というところに注目してほしい。1701年に定められた王位継承法以来、これまで王位は、年長の男子がついでいた。つまり女子が3人続き、その後、男子が生まれた場合、この最年少の男子が王位を継承してきた。これを男女平等にしたのである。

 世界で男女平等に向けた動きは、相当以前から促進されている。21世紀も10年過ぎて、このような法改正が実現するとは、それこそ、何をいまさら、かもしれない。

 ここでふいに思い出したことがある。イギリスの国旗である。現在の国旗のデザインも1701年のイングランド、アイルランド、スコットランドの連合以来、使用されてきたものだ。先の王位継承方と同年から使われていることになる。

 実にイギリスの国旗は、この“3王国”の旗のデザインを組み合わせたものになっている。ここにウェールズが入っていない。それはウェールズが1536年の連合法以来、イングランドの一部であり、“王国”ではなく、Prince of Walesが治める“皇国”ゆえである。

 このウェールズの旗のデザインも入れた新しいイギリスの旗のデザインを作る、という話が出ていたが、あれはどうなったのかな・・・ ? 何をいまさら、といわず、実行してほしいな。

2011年10月27日(テディベアズ・デー)
 過日、誘われてライヴを観にいった。日本でライヴをちゃんと(?!)観にいくのは、相当久方ぶりのこと。数年ぶりかもしれない。しかも野外ライヴである。これも日本では、相当久しぶり。これは数年ぶりではすまない!

 観たのはチック・コリアのリターン・トゥ・フォーエヴァー。演奏が悪いわけがない。加えて開演は夕暮れ時。秋の空が暮れ行くにつれて、演奏も次第に過熱してくる。次第に暗くなる秋空の下、虫の鳴き声とともに楽しむフュージョン・サウンドは、最高だった。

 バンドの中でも際立っていたのが、スタンリー・クラークのベース。まさに超絶! と絶叫したくなるほど、すばらしいメロディを卓越したテクニックでつむぎ出していく。これが何ともベースでしか出せない音/フレーズで、感嘆しきり。

 告白すれば、スタンリー・クラークはCDは持っていたが、生演奏は初めて。加えて、これまでどうも好きになれなかった。相性が悪かったというべきか。そのテクニックが鼻についていたわけでもない。少々、生理的に受けつけない所があった。

 しかしこの夜、それは払拭された。クラークの演奏は、心底、すばらしいと思った。エレキ・ベースにせよ、アップライト・ベースにせよ(クラークがアップライト・ベースを生で弾くなんて!)、その卓越したテクニックと音楽性は唯一無二のもの。すばらしい。余談ながら一緒に行った人は、ライヴ終了後、クラークのCDを求めていた。それも納得。

 もっとも感嘆しているわりには、アンコールの曲がクラークの「スクール・デイズ」だったが、全く、気づかなかった・・・ 。やれやれ、だ。

 ライヴ終了後、面白い光景に出くわした。誰もが壁に向かって、写メを撮っているのである。

 何かと思えば、ライヴのセット・リスト(曲目)が張り出されていたのだ。セット・リストが、ライヴ終了後とはいえ、張り出されるのは珍しい。それを皆が写メを撮る様子は、少々滑稽に見えた・・・ 。各言う私も、一緒に行った人が撮ったセット・リストを、後で送ってもらったけどね。結局、同じ穴の狢だね。

2011年10月22日(平安遷都の日)
 昨日から今日にかけて頭の中で自動的に鳴っていた音楽。@ウェールズ民謡。カレッグ・ラヴァールの演奏だと思う。だがかなり曲解されているようだ。CDを聴いて確かめたが、それが何の曲かはわからない。も、もどかしい・・・ !

 Aピーター・ガブリエルの「イン・ユア・アイズ」。名曲だね。これはすぐにわかった。このようにすぐにわかると、何とも気持ちがよい。わからないと・・・ ああ、もどかしい!

2011年10月17日(貧困撲滅のための国際デー)
 今日、壊れたもの(もしくは、壊れていることが発覚したもの)。

 @車のCDプレイヤー。これまではCDプレイヤーのほうでかけるCDを“選んで”くれていた。入れたCDが気に入らないと、すぐに吐き出していた。CDプレイヤーが気に入ったCDのみをかけてくれていたのである。だが今日、退勤時にはまったくCDをかけなくなった。クリーニング用CDでさえも、である! 

 AUSBメモリー。ファイルを10数個、見事に破壊してくれた。使いすぎとの噂も・・・ 。

 Bノートパソコンのバッテリー。電源をオフにすると、まったく、充電しなくなった! これでは持ち運べない!!

 C自宅の冷蔵庫の製氷機。まったく氷を作らなくなった。水割りが飲めない・・・ !

 D私。たぶん、いや、きっと壊れている・・・ 。その証拠に15日(下)の雑記で「準決勝を勝てば」と書きながら、「4強に残っている」と書いている。「8強」ですよね。ああ、でも4強の夢ならず・・・ (ウェールズ、フランスに敗北)。

2011年10月15日(きのこの日)
 ちょっと(慢性的に?!)忙しい。そのため気づかなかったのだが、ウェールズが2011年ラグビー・ワールドカップで4強に残っている。当然といえば当然だが・・・ 今日行われる準決勝を勝てば決勝に進出である!! 相手はフランス。ウェールズ、がんばれ!!!

2011年10月05日(世界教師デー)
 日本人のCD作品をふたつ。ひとつ目はkashiwa daisukeの『5 Dec.』。大胆なデジタル・ビートにピアノやギターが載る。だがこの音がどうにも映像的なのだ。音を聴いているだけで、まるで映画のような場面が目の前に広がる。

 そして素晴らしいのが、この構成音が何をどうやっても日本人でしか出せない音だということ。和的と言っているのではない。日本的なデジタルの音なのだ。この音を言葉で上手く表現ができない。それがもどかしいことこの上ない。だが傑作であることは間違いない。実際にお手にとって、その音を聴いてみてほしい。その音にはまること請け合いだ。

 ふたつ目。平本正宏の『TOKYO Nude』。ドキッとするタイトルだ。だがその音は、実にまじめ。収録された曲はどれも東京でフィールドレコーディングされた音から、加工されて作られている。フィールドレコーディングが暴く「丸裸な」東京の姿は、実に饒舌。意外な音の連続に驚かされる。これもまた傑作である。

2011年09月30日(世界翻訳の日)
 @暑さ寒さも彼岸まで、とは日本の諺のひとつ。昔の人の知恵だ。本当に彼岸を過ぎて以来、これまでの暑さが緩和された。特に湿気。これがなくなった。あれだけ湿気でむしむしと暑かったのに、信じられない。だがおかげで過ごしやすくなった。

 A先日、貸衣装屋を見る機会があった。驚いた。最近は見本をアルバムやカタログではなく、i padで見るんだな。これだとパソコンより数段扱いが楽な上に、画面も奇麗だ。しかも表示速度が速いので、短時間で様々な衣装を見ることができる。すごいな。

 B車のCDデッキの調子が悪い。特にCD-R。デッキにCD-Rを入れると、すぐに吐きだす。少しくらい頑張れ。それにしても今時、CD-RがかからないCDデッキでは、使い物にならない。やれやれ、だ。

2011年09月26日(台風襲来の日)
 誤字/誤変換訂正。09月17日分。×室内証明→○室内照明。09月24日分。×キャンセルせざるおえなかった→○キャンセルせざるをえなかった。

 以上、ご指摘ありがとうございました。疲れて/憑かれて/突かれているのかな? ああ、恥ずかしい。

2011年09月24日(南洲忌)
 先日の日本列島台風直撃後、一気に涼しくなった。それでも日中はまだ暑さは残る。だが湿気がない分、かなり過ごしやすい。

 その台風では、被害にあわれた方には謹んでお見舞い申し上げます。また都内でも交通機関がストップした。そのため、足止めを食った人も多いだろう。

 かく言う私もその一人。駅で4時間、待つことになった。仕事の予定も、残念ながらキャンセルせざるおえなかった。その後の予定も立っていない。

 加えて聞いた話では、品川駅では電車開通が22時を過ぎたとか。23時を過ぎてもホームに入ることができない人であふれ返ったそうだ。

 天災とはいえ、何とかならないものかな。しかし天災を見越して予定を立てることは、不可能だ。起こった時の対処方法を、複数確保しておくべきか。それも難しいか。情報入手方法として、スマートフォンを入手しておくのも、一つの手だと聞いた。確かにそうかもしれない。

2011年09月19日(苗字の日)
 つい2、3日前に、蝉の声を聞いた。しかもツクツク法師とミンミンゼミを一度に。都内某所(23区内)のことである。先日も蝉のことを書いたが、一体、どうなっているんだ?! 湿気を伴った暑さも、和らいできたとはいえ、まだまだおさまる気配もない。温暖化の影響だろうか? それとも・・・ ?

2011年09月17日(キュートな日,キュートナーの日)
 @最近、特に東京における夜間照明が気になる。明るすぎるのだ。それは街路灯や室内証明を問わない。場合によっては、昼間よりも明るいほど、煌々と照っている。ここまで夜に明るくする必要があるのだろうか? 甚だ疑問だ。

 A今日、ものすごく聴きたくなって聴いたのが、ピーター・ガブリエルと後期(末期?!)ジョン・コルトレーン。でも、共通点がわからない。唯一共通項を上げるとすると、ベースの音が良いことかな。

2011年09月16日(オゾン層保護のための国際デー)
 今日はそれほどでもないのだが、連日、メール・ラッシュだったりする。最近では珍しい。できる限り返事を書いている。だが、それでも後手後手に回ってしまうものもある。返事が行かない方、ごめんなさい。

 それに加えて、最近、外出の用事が増えた。また、コンパクト・デジタル・カメラを使用する機会も多い。そしてやらねばならぬことも山積みになり・・・ 。

2011年09月12日(宇宙の日)
 過日観たDVD(映画)より1本。『The 4th Kind』。2009年アメリカ映画。

 タイトルの“The 4th Kind”とは「第四種接近遭遇」とのこと(らしい)。それが意味するところは、地球外生命体(エイリアン)による誘拐である。

 観る前は、テレビ・シリーズの『Xファイル』のような娯楽SF映画かと思った。だが、かなりいい意味で裏切られた。

 実際にアラスカで起きたとされる事件の“被害者”と面談を繰り返すことで、自らもその深みにはまってしまった心理学者タイラー博士が主演し、事件について語る。映画はその様子と、実際に治療中に録画された映像、そしてミラ・ジョヴォヴィッチら俳優陣が演じる“再現映像”とで構成される。

 全てをねつ造と見るか。それとも真実の告発と見るか。その全ては見る者にゆだねられている。監督はどちらの肩も持っていない。この姿勢が、何とも良い。

2011年09月11日(公衆電話の日)
 この日から10年前、アメリカで大事件が起こされた。この日から半年前、日本で大惨事が起こった。ともにその衝撃は大きすぎた。人の手に余るものだった。あまりにも多すぎる犠牲を払い、あの日、世界では全てが変わった。

 2001年アメリカ同時多発テロから10年。2011年東日本大震災から半年。今日という日は、一つの区切りであると思う。

 一つの区切りであることは、同時に、一つの始まりでもある。劇的な変化はないかもしれない。ただ昨日までの日常が、続くだけかもしれない。それでも区切りをつけることは必要だ。そしてその区切りをいくつもつけていくことで、人は進んでいることを確認できる。望むと臨まざると、時は一方的に進んでいく。その時の中で、人も進まねばならない。

 東日本大震災から2週間経った時、新聞のある言葉に目がとまった。そこには「被災地では時が止まる」とあった。これはアメリカ同時多発テロのグラウンド・ゼロでも一緒だった。だが否応なしに時は進む。戻りはしない。辛くとも、鈍くとも、早くとも、時は進む。ニューヨークでは人はその中でひとつひとつ瓦礫を、課題を片付け、復興へ向けて進んだ。そしてアメリカは復興した。日本も必ずや復興できる。

 そんな今日、嬉しいニュースが舞い込んできた。ヴェネチア国際映画祭で、日本の映画2本が賞を受賞したというのだ。園子温監督の『ヒミズ』と塚本晋也監督の『KOTOKO』である。ともに東日本大震災の被災地を取り入れ、描いている。この短期間で、よくぞ、と思う。日本人は強い。そしてたくましい。そう感じさせるニュースだった。

2011年09月09日(重陽の節句)
 @9月を過ぎたが、未だ東京では蝉が鳴いている。大半は、ツクツク法師だ。夏の終わりを告げる蝉である。しかし昨日は、ミンミンゼミの声を聴いた。・・・ ミンミンゼミは、夏を告げる蝉である。季候、どうにかなってしまったんじゃないか?!

 Aメール・ラッシュが続く。それとは無関係だが、なぜか非常に喜ばしい。

2011年09月05日(石炭の日)
 @昼間、よくコーヒーを飲んでいる。なのでたまに驚かれるのだが、朝は紅茶ばかり飲んでいる。実に茶葉を3種類揃えておいて、その日、好きなものを選んで淹れている。特に消費量が多いのが、7月から9月。朝飲むばかりでなく、アイスティーも作るからだ。倍の勢いで茶葉が減っていく。

 ちなみにアイスティーは、水出しで淹れる。好きな茶葉を選び、ティーバックを作る。それを専用のポットに入れ、水で満たし、冷蔵庫に入れる。この作業を夜のうちにやっておけば、翌日の昼には飲める。冷蔵庫で冷やしておいたアイスティーは、氷が不要。従って氷が溶けて、紅茶が薄まることもない。これが何よりも良い。

 Aイギリス政府の計画によれば、イングランドとウェールズであわせて675ものの鉄道駅のチケットオフィスの閉鎖が計画されている。そのうちウェールズでは23のチケットオフィスが閉鎖される予定だという。

 原因は、現在の経済不況。しかし、それにしても、今回の閉鎖でイングランドとウェールズを合わせて1000人以上もの人が職を失うことになる。何とかならんのかな。

 その一方で、5億ポンドをかけた新たな路線開発計画が、浮上してきた。それはロンドンのヒースロー空港からウェールズまでを直接に結ぶ路線である! これが実現すれば、30分以上も時間を短縮できるとのこと。

 現在、ウェールズとヒースローを直接に結ぶ路線はない。それどころかヒースロー空港には、空港からロンドン中心部のパディントンまでつなぐ直行便を除けば、ブリットレイルの駅はない。ウェールズのカーディフに向かうならば、そのパディントンから列車を使うしかない。

 もしヒースロー空港から直接、ウェールズへ入ることができ、逆にウェールズから直接ヒースロー空港に入るようになれば、利便性が非常に増す(※現在、カーディフ発の高速バスでならば可能である)。早く実現しないかな。

2011年09月04日(富士山測候所記念日)
 ここ数日、頭の中で鳴っている音楽。

 @ピンク・フロイドの「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール(パート2)」。しかも“We don't need education!”と、子供の合唱が入る箇所。ピンク・フロイド自体、ほとんど聴かない。なぜに? もしかして授業が始まるのが嫌なのかな・・・ ?

 Aデヴィッド・ボウイの「スロー・バーン」と「エヴリワン・セズ・ハイ」。これは何となく思い当たる節がある。最近、急にクイーンとのデュエットで名曲中の名曲「アンダー・プレッシャー」を再び聴きたくなり、ハード・ディスク・レコーダーに入れたのだ。しかし「アンダー・プレッシャー」は80年代頭。「スロー・バーン」と「エヴリワン・セズ・ハイ」は2002年。この時の差は・・・ ?

2011年08月30日(富士山測候所記念日)
 日本の街中で見た広告。

@“not end summer”。endは動詞? 形容詞? まさか名詞? はたして??

A“enjoy! autumn life”。これって、enjoy autumn!ってこと・・・ ? まさかenjoy autumn of your life!じゃないよね・・・ ?

 以前、アイルランドの駐車場で見た看板。

 “WARNING: Thieves At Work”(以下略)。貴重品を駐車中の車内に置くな、という注意を促す看板だ。「警告:泥棒が活動中」ってすごい表現だけど、言い得て妙だと思う・・・ !

2011年08月29日(文化財保護法施行記念日)
 ウェールズにミステリー発現・・・ ここ10年ほどの間に、ウェールズで家畜が切り刻まれるという暗澹たる事件が起こっている。たとえば2001年に北ウェールズのベズゲラートでは、楕円状の穴がおしりの骨に空いた羊が発見された。

 また2009年には顔の皮をはぎとられた4頭の羊が、発見されている。こちらは中部、ポウイズでのことだ。いずれの場合も死亡しているが、ここでは毎年15頭から20頭の羊が、跡形もなく消えているという。このような事例は、特にここ半年の間に増加しているらしい。

 さてその犯人だが、未だ捕まっていない。非営利組織の動物病理フィールド隊(Animal Pathology Field Unit)(APFU)によれば、カルト集団の仕業ではないとのこと。その仕業を彼らは“未知なる存在”、つまりエイリアンに帰している。彼らによればウェールズはアメリカと同じくらい、このような不可思議な現象が多いとか。果たして・・・ 。

2011年08月03日(学制発布記念日)
 自家製の梅干しを戴いた。ここしばらくの間、市販の梅干ししか食べたことがなかった。そのためだろう、最初はかなり塩辛く感じた。だが程なくして、その裏にある出汁の味が口の中に広がり始めた。これが何ともいえず、美味い。日本の伝統の味に、久方ぶりに舌鼓を打った。

2011年07月31日(蓄音機の日)
 メール・ラッシュ・・・ ! 加えて、その他のこともラッシュ! 特に成績締切・・・ ! メールに関しては、全く返事が書けていないです。ごめんなさい。

2011年07月30日(梅干の日)
 @先日、送られてきたWordとExcelのファイルが読めない、というので、試しに私のほうにメールで送ってもらった。案の定、2007のファイルである。私はそれを2003のファイルにダウングレードして送り返した。複数の人間でそのファイルを共用する場合、後継のソフトを使用してる人は互換性のない新しいファイル形式を使用すべきではないと思う。多くの人が読めるファイル形式で保存すべきだと思う。

 A昨日の朝、頭の中を回っていたのは、デヴィッド・ボウイの「ヤサシン」。悪名高き(?)『ロジャー』の中でも、異色の作品だ。・・・ しかし、なぜに? 特別好きな曲ではない。それどころか、ほとんど聴くことのない曲なのに。

 B以上、上記ふたつは昨日雑記に書こうと思っていたこと。しかし小松左京の訃報により、全ては吹き飛んだ。

2011年07月29日(白だしの日)
 巨星、堕つ。小松左京が28日、亡くなった。小松左京は日本SF界の創始者であり、同時に牽引者でもあった。同じ時期に活躍した星新一が想像力豊かにSFを紡いだのに対し、小松左京は綿密な計算のもと、SFを描いた。その成果は、当時13万円もした電卓からはじき出した計算を基づいて描いた、『日本沈没』などの諸作品にある。星新一が日本サイエンス・ファンタジーの先駆けであったとすれば、小松左京はまさに日本ハード・サイエンス・フィクションの先駆者であった。

 そしてこの二人が日本SFのまさに道を開き、その後に筒井康隆や眉村卓らが続くことになる。この一派に小説こそ残さなかったものの、初期の『ウルトラマン』に偉大なる貢献を果たした、大伴昌司がいたことも忘れられない。

 ここからは個人的な話。日本のSFを意識して読んだのは、小松左京の「地には平和を」という短編だった。短編ながら、その異様なまでに現実味を帯びた話に興奮した。他の作品をその日のうちに読みたくなったのも、無べなるかな。

 だが私がその短編を収録した文庫本を手にした時ですら、小松左京の本は入手困難だった。何軒か本屋を廻った。だが書店の書棚には、彼の本がなかった。カタログには載っていたが、書店にも生産元にも在庫がなかった。諦めるしかなかった。

 だが「読みたい」との欲求は残る。その欲求を抑えるために手に取ったのが、文庫本のカタログの隣に出ていた星新一だった。本のタイトルは『ようこそ地球さん』。これが星新一との出会いだった。これがなければ、星新一のほぼ全作品読破はあり得なかったと思う。さらに星新一の作品を通じ、筒井康隆の作品に出会うこともなかったと思う。そう思うと小松左京の死は感慨深い。ご冥福をお祈りする。

2011年07月23日(米騒動の日)
 過日、観た映画より1本。・・・ というより、映画館で映画を観るのは久方ぶりだったりする。観た映画は『ブラック・スワン』。アメリカ映画だ。以前から観たいと思っていたのだが、うまい具合に観ることができた。

 舞台はニューヨーク・シティ・バレエ団。それまでプリマ・バレリーナだった女性が引退を決める。そのため芸術監督のルロワは、次の公演である『白鳥の湖』の主役を務めるプリマ・バレリーナを、若い団員の中から新たなる選ぶ。複数いる有能な候補者の中でルロワが白羽の矢を立てたのは、ルロワが「白鳥は完璧」と評したニナだった。

 この『白鳥の湖』では、プリマ・バレリーナが白鳥<スワン>と黒鳥<ブラック・スワン>の両方を演じる。だが繊細で純潔な白鳥に対して、黒鳥は邪悪かつ淫猥ですらある。この両極端な役柄を、新たなるプリマ・バレリーナとなったニナは演じなければならない。練習に明け暮れるニナ。本番を前に、練習は加熱していく。だが白鳥の踊りは良いが、ニナは黒鳥のごとく踊ることができない。ついに芸術監督はニナに黒鳥になるべく、自ら官能に身を委ねるように命令する。

 もともと黒鳥の持つ邪悪さとは無縁のニナは、周りの期待と役柄へのプレッシャーの両方から押しつぶされていく。その抑圧から逃げるかのように、ある夜、ニナは酒をあおり、ドラッグをやる。そしてクラブで知り合った行きずりの男と戯れ、バレエ団でのライヴァルの女性と交わる。自らを解放したかのように思えたニナだったが、この頃から現実と幻想/幻覚が交錯するようになり・・・ 。

 と、ストーリーはこんな感じ。一言で言えば、“怖い”映画だった。特に後半の現実と幻覚の世界が交錯するあたりから、初日の舞台は観もの。監督はわざと「現実」と「幻覚」の分け目がわからぬように描いている。つまりこの映画では、他の映画とはことなり、「幻覚」を「幻覚」として特に映像で示唆しない。そのため主人公と同じ現実と幻覚の区別がつかぬ世界に、観客は放り込まれる。時々、現実の世界が導入されることで、それまで観ていた世界が幻覚だったことに気づかされるのだ。

 これは映画の中での現実描写が、生きているからこそできる手法だ。ニナに扮するナタリー・ポートマンの演技はもとより、バレエのレッスンの様子や、芸術監督も含めた団員の中での人間関係、はたまた過剰なまでにニナのバレエに愛情を注ぐ母親など、脇を固めるものの存在感によるところが大きいだろう。この現実味あふれる世界設定がなければ、幻覚は絵空事に見え、しらじらしく見えたと思う。

 ところでこの映画、鏡が非常に効果的に使われている。最初は本人と鏡に映った像のズレから始まり、それは次第にエスカレートしてくる。詳しくは書けないが、クライマックスでの鏡の使いかたも印象的だったな。

 余談ながら、観終わった後、一緒に観に行った人が鷲<ワシ>の像を見て「鴉<カラス>」と勘違いをした。映画の現実/幻覚の描写は、現実に影響を及ぼすほど強いらしい・・・ !!

2011年07月20日(月面着陸の日)
 珍しく旬な話。大学は今、試験真っ盛りである。故に学生は試験勉強&様々な意味での試験対策に追われる。こちらは試験作成、採点、成績つけ(※昨今、大学のほとんどは半期で成績/単位が出るセメスター<半期>制度を採用している)に追われる。

 ちなみに今日だけで試験を4つ。そして終わって即採点に入る。そうしたら10分ほど時間が“飛んだ”。何のことはない、全く意識をせず、ペンを持ったままの姿勢で寝ていた。・・・ 疲労のせいだ。やれやれ、だ。

2011年07月16日(虹の日)
 過日、観たDVDより1本。『噂のモーガン夫妻』。ヒュー・グラントとサラ・ジェシカ・パーカー主演の2009年アメリカ映画だ。

 別居を余儀なくされた、離婚の危機を迎えたセレブ夫婦(ヒュー・グラント、サラ・ジェシカ・パーカー)が、殺人事件を目撃し、犯人から追われる羽目に。そこで警察はふたりの安全のため、ワイオミングの田舎にふたり揃って送る。そこで待っていたのは、自然とおしどり夫婦の監視役。ふたりは再びひとつ屋根の下で暮らすうちに、ぶつかりあいながらも、互いの距離が再び縮まりはじめる。・・・

 よくあるサスペンスもののような設定だが、そこはマーク・ローレンス監督。大変上質なラブ・コメディに仕上げている。破局寸前の原因が夫の浮気としながらも、その裏にあるそれとは別の夫婦間の葛藤が徐々に明らかになるというストーリー運びも観る者を退屈させない。何よりも主役夫婦役を演じるヒュー・グラントと、サラ・ジェシカ・パーカーの演技が素晴らしい。近年のヒュー・グラント出演作の中では、最も良いのでは?!

2011年07月14日(ペリー上陸記念日)
 あまりにも暑いので、先日、ケヴィン・エアーズが聴きたくなった。それも“Once Upon a Ocean”のようなラテン系音楽を取り入れたものが良い。一連のレゲエも良いな。

 実にケヴィン・エアーズは、世間がワールド・ミュージックに傾倒する80年代より早く、70年代にラテン系の音楽を自らの音楽に取り込んでいた。それも自然に、だ。

 他の民族音楽の真似をする人は多くいる。エアーズはそれを完全に自分のスタイルとして消化し、自然の音楽として発している。これがすごい。

 あまりにも暑いので、超クールビズを始めた。軽くて心地よい。しかし外履きのサンダルは持っていない。そのため足元は仕事場では、普通の革靴だ。ちょっとアンバランスだが、仕方がないか。

 あまりにも暑いので、かき氷が食べたくなる。しかし、昨今ではあまり見かけない。同時に風鈴の音も懐かしくなる。しかし昨今ではあまり聞かれない。両者ともに日本の夏の風物詩だ。それがないというのは、残念でならない。

2011年07月12日(ラジオ本放送の日)
 今年はまだ蝉の声を聞かないな・・・ と思っていたら、昨日、聞いた。東京では梅雨も明けたし、もう夏だね。海が恋しいな。

2011年07月07日(七夕)
 ウェールズの話。カーディフにあるセント・デヴィッズ(St. David's)とは、総合ショッピングセンターだ。これが先ごろ公表されたイギリスの10大ショッピング・センターで、10位に入った。2008年度版のリストでは70位だったというから、大躍進である。おめでとう!

 ちなみにこのショッピングセンター、2009年10月のオープン以来約90の店舗が軒を連ねている。ここには中央図書館、マンション、John Lewis(デパート)らが加わっている。しかしながらこのショッピングセンターは現在発展途上中(!)で、完成すれば180もの店舗が軒を連ねる予定だ。また過去1年間の間に3600万人もの人が訪れたという。

 日本の話。今年の夏は節電が呼びかけられている。そのため、クーラー地獄はないだろう、と思っていた。しかしながらふたつのクーラー地獄が、今年は存在する。ひとつは例年通りの寒さ地獄。特にJRが目立つ。もうひとつは、大学の節電対策のため、全くクーラーが効かない教室がある。聴いているほうも地獄だろうが、喋っているほうも地獄である。毎年思うのだが、中間の“快適”はないのか。やれやれ、だ。

2011年07月06日(サラダ記念日)
 @フューネラル・フォー・ア・フレンドの『ウェルカム・ホーム・アルマゲドン』。これはやばいかも。完全にはまった。今日は、朝の出勤時、車でこればかりかけていた。もちろん、帰りも。しつこいことに、今も自宅で聴いている。

 Aイギリスの環境保護団体ナショナル・トラストが、寄付金を募っている。目的はスノードンにある614エーカーの農場スリンディ・イサヴ(Llyndy Isaf)購入のためだ。この土地には、近くでアーサーの騎士の一人であるオゥエイン(Owein)と巨人が争ったといわれるディナス湖(Llyn Dinas )も含まれる。

 ナショナル・トラストは100日間で750,000ポンドの基金を積み立てたが、購入には今年の暮れまでにあと250,000ポンド必要。もし年末までに1,000,000ポンドに達しなければ、地主の農夫は他へ売却するという。

 ナショナル・トラスト以外のものの手に入れば、観光開発の手が伸びるのは必至。ここは何ともスノードンの自然を守るためにも、ナショナル・トラストに頑張ってほしいところだ。

 B再び戻ってフューネラル・フォー・ア・フレンドの『ウェルカム・ホーム・アルマゲドン』。ここに収録された“Medicated”という曲に「82年に戻って・・・ 」という歌詞がある。これ、ひょっとしてフォークランド紛争のこと指すのだろうか? すると、これも以前の「ヒストリー」同様、サッチャリズムに関する歌なのだろうか? 彼らの歌詞では言葉が平易化され、同時に表現も平易化されるので歌詞だけでは決定打がないのだが・・・ 。

2011年06月30日(ハーフタイムデー)
 ウェールズの話。春ごろにお伝えした教師ら公的セクタを中心としたストライキ。現地時間の今日、24時間体制で行われている。

 ストライキ参加数は何十万人にも及ぶと伝えられている。その規模は、過去5年会で最大。彼らは、先ごろ政府が打ち出した年金改革や人員削減に反対している。

 このストライキのために、学校、法廷、役場が閉鎖され、公共の交通機関に混乱を引き起こしている。大変だ。

 日本の話。東京では節電対策のため、サマータイムを導入する企業、官庁が増えている。例えば都庁。始業時間を1時間早めた。

 中にはデータをとっているところもあるらしい。・・・ これって節電を名目とした、サマータイム導入に向けての実験?!

2011年06月28日(貿易記念日)
 珍しく立て続けに音楽の話題を3本。

 @昨日から今日にかけて、頭の中で自動的にかかった曲。1.フューネラル・フォー・ア・フレンドの“Old Hymns”。2.マニック・ストリート・プリーチャーズの「イエス」。3.タンゴ。

 1.はここ連日、よくCDで聴いている。それで覚えたわけ。2.は、突然。マニックスのこの曲が収録されているアルバム『ホーリー・バイブル』は、よほどのことがないと聴かない。ここに収められた音が、辛すぎるのだ。特にギター。この渇いた音は、どうにもやりきれない。この5曲目「苦悩に関する公文書」のベースの音など、特に殺伐として、本当にどう処理して良いのかわからない。それが頭の中で急にかかり始めた時は、大抵、疲れがひどい時だ。・・・ やれやれ、だ。

 3.は・・・ 曲名がわからない。だが、有名なアレです。ダッダッダッダー、ドダダ、ドッダーというリズムが、頭の中をぐるぐる廻る。

 A実はこのところ、ちょっと(どころか相当)心配していたことがあった。それがどうやら大丈夫そうだ、と、今日、わかり、少し安心した。このような心に、キース・ジャレットの『テスタメント』が良く響く。特にメロウな曲が良い。心の襞と襞の間に、すんなりとはまってくれる。

 Bフューネラル・フォー・ア・フレンドの新作『ウェルカム・ホーム・アルマゲドン』は快作だ。掛け値なく、素晴らしい。ことによると2011年のウェールズ・ロック/ポップスの最高傑作かも。ここ数日、こればっかり聴いている時がある。詳細は、こちらで。

2011年06月27日(演説の日)
 @最近の学生は今日ぐらいの気温(ちなみに気象庁発表によれば最高気温は27度)でも、クーラーを使用したがる。窓を開ければ涼しい風が入ってくる環境でも、だ。私にとって、少なからずカルチャーショックだ。

 Aブリテン島バルズ団の大ドルイド僧T・ジェームズ・ジョーンズは、現地時間の昨日、来年のロンドン・オリンピックでウェールズの選手はウェールズの国旗を掲げ、「女王陛下万歳」よりも国歌「わが父祖の国」を歌うべきだ、と提言した。

 そう、この問題は前回のオリンピックでも問題になった。ウェールズは「国」として政治的に認められていないため、オリンピックで国旗の掲揚ならびに国歌の斉唱は許されないのだ。国旗や国歌は、その民族のアイデンティティの象徴である。要と言っても良い。その表明が許されないのは、実に悲しい事実である。

  2011年06月25日(住宅デー)
 東京は寒暖の差が激しい。昨日、気温が30度を越した。そう思ったら、今日は最低気温が20度。そのおかげも手伝ってか、非常に疲れる。今日は、久方ぶりに肩で息をしていた。やれやれ、だ。

 過日、観た映画(DVD)より1本。『Dr. パルナサスの鏡』。ロンドンを舞台にした、2009年の映画。監督はテリー・ギリアムだ。

 本作は、主役のトニーを演じるヒース・レジャーが映画完成前に死去し、ジョニー・デップらが残りのシーンを演じたことで話題にもなった。実は、単なるCGを多用したファンタジーかと軽視していた。だがこれがなかなかどうして、トニーが経営する慈善事業の裏(臓器密売)なども絡め、見応えのある気骨たくましい作品だった。CGの作画も、夢の世界を描くのに相応しいクオリティを持っている。おススメ。

2011年06月22日(日韓条約調印記念日)
 ウェールズの話。ウェールズにはカーディフ空港がある。ただし数年前に独自路線の運航はやめてしまった。その代り現在は、他の航空会社により各国に飛行機が飛んでいる。残念ながら日本からは直行便がない。日本から向かう場合、フランスのシャルル・ドゴール空港か、オランダで乗り換える必要がある。

 そしてここに来て、別のウェールズ空港に注目が集まった。それはケレディゴンにあるアベルポルス西ウェールズ空港(West Wales Airport at Aberporth)だ。この空港で「無人飛行機」の実験飛行が開始されることが決まった。7月28日から開始の予定だ。無人飛行機の実験はイギリス全土で初の試みとなる。

 無人飛行と言えばアメリカの軍用偵察機グローバルホークが有名だ。先日の福島の原発事故の際にも、活躍した。だが西ウェールズ空港の常務取締役によれば、軍用の利用のみならず、将来的には旅客機としての商用利用も考慮に入れているとのこと。

 実現すればすごい話だ。将来、ウェールズに行くのに無人飛行機に乗って・・・ なんて日が来るかもしれない。

 個人的な話。疲れがひどい・・・ 肉体的にも。精神的にも。

2011年06月20日(ペパーミントの日)
 ウェールズの話。ウェールズで16歳の愛くるしい女の子が、話題になっている。彼女の名はレイチェル・ライアン(Rachel Ryan)。その職業は「葬儀屋」――何と、イギリスで一番若い葬儀屋だそうだ。何でも彼女が初めて他人の死体に触れたのは、13歳の時。父親の仕事を手伝い始めた時だ。流石に最初は躊躇したらしい。でもすぐに「全く普通のことのように思えたし、私は何ともなかったわ」とのこと。

 以来、主に事務的な仕事を手伝ってきた彼女は、今、正式に葬儀屋になったとのこと。現在、彼女はBBC3のドキュメンタリー・フィルムの取材を受けている最中だとか。彼女がテレビのスクリーンを通じて死体とともに微笑みかけるのもそう遠くないか?!

 個人的なこと。かなり疲れている。だが心は不思議と軽い。すると体まで軽く感じてくる。しかし実態は・・・ やれやれ、だ。だが心が軽いおかげで、非常に楽だ。こんな時もあるものだな。

2011年06月11日(傘の日)
 昨日、雑記を書いた後のこと。資料映像のコンバートをメインのパソコンにさせた。すると2回、ハードディスク・クラッシュ。・・・ まただ。デフラグを使ってハードディスクの状態を分析させてみる。するとボロボロ。DATAが散らばっているだけでなく、断片化されたものまで沢山ある。

 確かにメインのパソコンは一番酷使している。でも、先週、ウィルスチェックも含め、一連のメンテナンスをしたばかりなのにな。この夏、乗りきれるだろうか。それとも夏前に何とかしなければならないか。やれやれ、だ。

 ちなみに「傘の日」は日本の記念日。ウェールズでは、日本とは違って、傘はほとんど売ってないものね。しかも向こうの人が使うのは、ポンチョやヤッケだし。

2011年06月10日(時の記念日)
 @先週、予告通り休んだ。もっとも大学は週に5日、授業があるが。つまり大学は平常通りで、大学以外の仕事が休み。それでもだいぶ違う。そして今週からは平常通り。今日に至るまでに、異様に疲れた。休みの反動か。それとも寒暖の差が激しい気候が原因か。それとも、その両方か。

 A過日、観た映画より1本。『17際の肖像』。2009年イギリス映画だ。

 舞台は60年代ロンドン。主人公のジェニーは、パリに憧れつつ、ロンドン郊外の自宅から高校に通う16歳。

 彼女は雨の降る下校時に、30歳の男性デヴィッドと知り合う。デヴィッドはジェニーをロンドン中心部の華やかな世界に連れ出し、二人の中は急接近。ジェニーの両親も、洗練されたデヴィッドに好感を持つばかりか、上流階級や大学社会につながりがあるデヴィッドを気に入ってしまう。いつしか二人は親公認の仲となる。だがデヴィッドには秘密があり、それはひとつではなかった・・・ 。

 イギリス映画とは思えないほど垢ぬけた映像に、ロンドンの魅力を再発見できる映画だ。緩急をつけたストーリーの展開も良く、観客を飽きさせない。イギリス人らしい皮肉もピリッと効いている。おススメ。

 B再びキース・ジャレットのソロ・ピアノにはまる。特に今日は『ダーク・インターヴァル』が良い。東京はサントリーホールでの録音だ。これが演奏はもとより、実に音響ともども素晴らしい。生で聴きたかったな。

2011年06月07日(母親大会記念日)
 @今日はマニック・ストリート・プリーチャーズにはまる。「1984」「モーターサイクル・エンプティネス」は私にとって定番だが、「ゴールド・アゲインスト・ソウル」にまですんなりと入っていけるとは思わなかった。意外だ。

 A去る6月5日、スランデュノ出身の作曲家・プロデューサーのゴードン・ロレンツ(Gordon Lorenz)が急死した。彼は実に30年間の間に、850曲以上の曲の録音に携わった。中でも有名な曲は、エリザベス女王の80歳の誕生日を祝った“There's No One Quite Like Grandma”だろう。この曲は彼のペンによるが、1980年12月27日より2週間チャートにとどまった。そしてその年に最も売れたシングルとなった。

 またロレンツは、当時12歳だったシャルロット・チャーチを世に知らしめたことでも知られる。ご冥福をお祈りする。

 B先日の選挙結果を受け、今日、新しいウェールズ議会が開設される。これは第4期となる。この開会式にはエリザベス女王が参加、花を添える。ちなみにチャールズ皇太子らも参加するそうだ。

 なお開会式では、イギリス国歌(God Save The Queen)とともに、ウェールズの国歌「わが父祖の国」も演奏される。ついにウェールズの国歌もイギリス国歌に並んだか!

2011年06月06日(楽器の日)
 @今日はなぜか朝からロックづいている。でも車で出勤途中に聴いたのは、ダヴィズ・イワン(現ウェールズ党党首にして、フォーク・シンガー。詳しくはこちら)。この人、ある意味、最もロックな人かも。そう思った瞬間に頭を過ったのは、ウェールズでのロック=『丘陵地帯』の音楽、フォーク&ヒップホップ=北の音楽、との考え方。しかしこれだとジ・アラームが説明できないか。うむ、残念。

 A先日、内閣不信任案が国会審議中に提出された。提出者曰く、「現在の管総理大臣は復興を遅らせている云々」。ちょっと待て。不信任案を提出した時点で、全ての審議は止まる。つまり不信任案を提出することは復興を遅らせることを意味する。一体、日本の政治家は何をやっているんだ? 与野党が一致団結せずとも、協力すべき時では? 本当に恥ずかしい。

 B日本の政治家が自分たちの利権のみを求めて、震災の被害者救済を止めた直後の5日、イギリスはロンドンのウェストミンスター寺院で、東日本大震災の被害者に向けて追悼のミサが行われた。極南とも言える地から、無償の愛を送ってくれるイギリスの人々に感謝せずにはいられない。そこで読まれた宮沢賢司の詩「雨ニモ負ケズ・・・ 」は、非常に力強く堂内響いた。

 C先日、車を運転中の時のこと。緊急車両のサイレンが聞こえた。道路の脇によけ、通過を待っていると、何とやって来た車両は東電の車両。「一体、何が起こったのだ?!」と思うと同時に、予想は悪い方向へ。しかし大したことはなかったみたいだが。時期が時期だけに、驚いた。

 Dロックづいている、と、@で書きながらも、武満を偶然聴いた瞬間、モードは全て武満に。特に今日はオーケストラ曲が心に響く。「弦楽のためのレクイエム」と「カトレーン」の弦楽には、体全体を包まれるような錯覚を覚えた。

 以上、相変わらず、徒然なるままに・・・ 。

2011年06月02日(横浜港開港記念日)
 今日はなぜか武満。朝、出勤時から武満ばかりを聴く。退勤時も、そう。「風の馬」にはじまり、ラストは「閉じた眼」。間には「弦楽のためのレクイエム」は勿論のこと、合唱曲や「エア」、「夢見る雨」、「雨の樹」「雨の樹素描」などなど。我ながら渋い選曲だ。

 それにしても、武満トーンとも呼ばれる、武満独特の音の美しさに心が洗われる。同時に、癒されもする。浄化作用と癒しの作用の両方を、武満の音は持っている。

 それにしても、なぜ急に武満なのか。実はここしばらく、武満を聴くことができなかった。その反動かな。

2011年05月30日(文化財保護法公布記念日)
 一昨日、R.S.トマスについて講演をした。カムリ学会の大会でのこと。実はこれ、私にとってひとつのクライマックスだった。何ともありがたいことに、大学で教える以外に複数の別個の仕事が、去年の夏(前?)からひっきりなしに続いていたのである。ご好評をいただいている、今年の3月に出版した『Hillary Clinton Online』もそのひとつ。

 実に一連の仕事にひとつひとつ形をつけ、そしてこの講演がその最後となったというわけだ。おかげで体はボロボロ。だが妙に心は軽い。ひとつの達成感があるのだ。というわけで、少し休みますね。大学のほうは休めないけれど、少しばかり骨休み!

2011年05月26日(ル・マンの日)
 @イギリスでインターネットに関する調査が国の調査機関であるNational Statisticsで行われた。それによれば、イングランドではインターネットの経験がない人は全体の16.9%。それに対し、スコットランドは19.1%。ウェールズはスコットランドをわずかに上回り、19.5%。約5人に1人がインターネットの経験がない計算になる。

 ではウェールズが一番高かったか、というと、そうでもない。これより上がいる。北アイルランドの28.6%だ。しかしながら北アイルランドは政治のみならず、様々な状況が不安定だった。このような背景を考えれば、インターネットの普及率が低いのも仕方がないと思う。それでも私が2006年に北アイルランドに行った時は、全て宿はインターネットで予約したけれどね。

 しかし、ウェールズは・・・ ? もしかして羊にインターネットを教えたら、イギリスで一番になるかも?!

 A電車内ではここ数日、ピアノばかり聴いている。それも全てジャズ・ピアノのソロ。そう。珍しく先日の状況がまだ続いているのだ。ついでに言うと、ここ数日で一番頭の中で鳴っていたのはマニックス。しかも“Motercycle Emptiness”、“Cardiff Afterlife”、“The Love of Richard Nixon”の3曲がパッチワークされてぐるぐると廻る・・・ 。

 そして気づけば溜息をしている。それが肩を使った息に変わり、気づくと独り言・・・ 大丈夫か、私?

2011年05月23日(世界亀の日)
 @昨日、ハードディスクのメンテナンス中にハードディスク・クラッシュ・・・ 都合、3回目・・・ 頑張れ。

 A昨日、今日と頭の中を駆け巡るのは、マニックスの「ザ・ラヴ・オブ・リチャード・ニクソン」。しかも“The World is getting older...”(「世界は年老いつつある・・・ 」)という部分。確かに、世界は晩年に向かっているのかもしれないけれどね・・・ 。

 それにしてもなぜ、この部分? なぜここのところ急にマニックス? 何か新しい動きでもあるのか?

 B先日、ポップなどを挟む小さい台を購入した。喫茶店などで見かける、あれだ。直径2センチほどの円形で、透明のもの。ここに日替わりで絵葉書を挟み、デスクトップ・パソコンの横に置いている。外付けハード・ディスクやらルーターなどで殺風景な箇所が、少しは見栄えがよくなった。

 ちなみに今日は、サルバドール・ダリによる「ピエタ」。晩年のダリの作品は、宗教色と人の心にある原風景が重なり、シュールレアリズム一色の過激なエネルギーを持った作品群とは異なった落ちついた様相がある。特にこの絵は心が落ち着く。

2011年05月21日(対話と発展のための世界文化多様性デー)
 24時間のうちに、2回ハードディスク・クラッシュ。クラッシュしたのは、メインのパソコンである。作業中のDATAは消えた。まあこれは良い。幸いにもハードディスク内部のDATAは無事だった。一安心。しかし、それにしても酷使しすぎか・・・ ハードディスクも、私も。やれやれ、だ。

2011年05月19日(ボクシングの日)
 ここ最近、ピアノの音が耳にこの上なく心地よい。特にピアノ独奏。それもジャズ・ピアニストによるものが良い。そこで様々なジャズ・ピアニストのピアノ独奏アルバムを漁るようにして、聴いている。先日(14日)あんなことを書いたが、ビル・エヴァンスのピアノ独奏“Here's That Rainy Day”のイントロを聴くだけで、うるうるっとくる。

 その中で発見だったのが、Yaron HermanのPiano Solo Variations (2009年)。自作曲に交じり、ガーシュインの「サマータイム」やスティングの「フラジャイル」などのカヴァー曲が入る。その中でも素晴らしいのが、フォーレの「リベラ・ミ」。低音を活かした演奏で、聴いていてその世界に容易くは行ってしまう。まさにお勧め。

2011年05月17日(世界電気通信および情報社会の日)
 @今朝乗った満員電車が一切の空調を切っていた。乗り込むと、車内は熱をもっている。それまで掻いていなかった汗が噴き出る。クーラーは必要ないが、送風ぐらいは必要では。またなぜか誰も窓をあけようとはしない。開かない設計になっているのだろうか? 節電の影響だと思うが、少々やりすぎでは。

 A今日、無性にマニック・ストリート・プリーチャーズが聴きたくなった。はて?と思いきや、マニックスのTシャツを着ていた。だからかな。それともひどく疲れているせいか。後者のような気もする。やれやれ、だ。

 Bイギリスのエリザベス2世女王がアイルランド共和国を現地時間の5月17日、4日間の滞在予定で訪問する。

 イギリスの王族がアイルランド共和国に足を踏み入れるのは、独立以来初めてのこと。これは北アイルランド紛争がついに終結を迎え、かの地に平和が戻ったためだ。

 そもそもアイルランド紛争の発端は、イングランドの王族にある。ヘンリー8世がアイルランド王を兼ね、その娘エリザベス1世がアイルランド支配を強化。そしてエリザベス1世の後を継いだジェームズ1世(ジェームズ6世スコットランド王)が、スコットランドの長老会派(プロテスタント)住民を、反抗勢力の強大だったアルスター(現在の北アイルランド)に送り込む。これが先ごろまで続いた、カトリック(=アイルランド系住民)とプロテスタント(=イギリス系住民)の紛争の火種となる。

 その紛争も2007年5月8日に北アイルランド政府が発足したことで、終結をみた。このエリザベス2世の訪問は、平和の次のステップとなる。このままかの地に平和が続いてほしいと願う。

 余談ながらエリザベス2世女王がアイルランドを後にした3日後、今度はアメリカのバラク・フセイン・オバマ大統領がアイルランドを訪問する。何とオバマ大統領の祖先の一人は、アイルランド出身だとか。アイルランド人はイングランドからの圧政や大規模飢饉などのために、数多くがアメリカをはじめ新天地に渡った。ケネディ元大統領の家族もその移民の中の一人だ。しかし、オバマまでそうとはね・・・ 。

2011年05月14日(種痘記念日)
 ここ数日、キース・ジャレットのピアノ独奏にはまる。今の私の心に、ぴったりとはまるのだ。彼のピアノは音の技巧の面から言えばジャズもクラシックも凌駕しつつ、それが、アヴァンギャルトにはなっていない。素晴らしい。だが今の私の心には、この技巧面を超えて訴えてくるものがある。

 彼のピアノ独奏は相当以前から好きだった。だが今回のはまり方はすごい。これまでに例をみないものだ。出勤時、退勤時に聴いて、更に自宅でも聴く。我ながら驚くね。

 ちなみに他に好きなピアノの独奏は、ビル・エヴァンス。あの甘い独特のトーンがたまらない。でも今は、エヴァンスの場合、ボブ・ブルックマイヤーとのツイン・ピアノによるカルテットのほうが好み。

 片や精神の淵から湧きあがってくる音。片や感傷的な甘さと緊張感が、絶妙のバランスでブレンドされた音。全く対照的だ。だがそれは、逆説的には、どちらもが個人のアイデンティティに根ざした音が体現されているということ。どちらかに甲乙をつけるという性質のものではない。

 ところで全く別の話だが、昨日は13日の金曜日だった。この日はいつも、湖の周辺で猟奇殺人が起こる。

 今朝の新聞やインターネットのニュースサイトで確認する限りでは、幸いにも未だ被害報告はなされていない。しかしながら今回も被害が甚大なものになることは、容易に想像できる。正体も分かっている殺人鬼を野放しにしておくとは、この国のみならず世界、特に先進国の政治家はいったい何をやっているのか・・・ (もちろん、冗談です。あまりの忙しさに現実逃避中・・・ 。やれやれ、だ)。

2011年05月08日(サイト開設記念日)
 5日の雑記に書いた「総選挙」は、正確には「ウェールズ議会総選挙」でした。言葉が足りずに、すみません。そのウェールズ議会の総選挙の結果だが、わがウェールズ党(Plaid Cymru)は最悪の結果を迎えてしまった。獲得議席数は11席。2003年の12議席という1999年に議会開設以来最小議席数を、下回ったのだ。

 その一方でこの選挙を勝ったのは労働党だ。獲得議席数は30議席。しかしながらこの数は、過半数より1議席足りない。また保守党は議席数を伸ばしたとはいえ、獲得議席数は14議席。さて、ここでひとつ問題がある。もし労働党の政策に、全野党が反対したら? 答は労働党が過半数をとれないということになる。

 さて、そうすると労働党が確実に過半数を取るためには、どこかの党と連立を組まねばならなくなる。・・・ ウェールズ議会初の連立与党誕生なるか?! さあ、面白くなってきたぞ。

2011年05月07日(博士の日)
 今朝、頭の中で鳴っていたのはマニックスの“Everlasting”。この曲、なぜかタイトルが“Every Thing Must Go”だと長い間思っていた。“Everything Must Go”はそれ自体、きちんと覚えているのにね(不案内な方のために書いておくと、マニック・ストリート・プリーチャーズには“Everlasting”と“Everything Must Go”という有名な2曲がそれぞれ存在する)。しかも“Every Thing”じゃなくて“Everything”だってば。大丈夫か、私?

2011年05月05日(こどもの日)
 @先ほどアメリカ軍に殺傷されたビンラディンだが、その死体は水葬されたとのこと。なるほど、巡礼地を作らせないわけか。考えたね。

 A総選挙を迎えているイギリス。だが先ごろ、労働党の候補者が隣家の庭にあったウェールズ党(Plaid Cymru)のプラカードを「目障りだ」と引っこ抜いてしまったことが判明。ウェールズ党も労働党に敵にされるとは、この総選挙の結果が楽しみだ!

 B人間はある特定の状態で極限まで陥ると、その状態をわざわざ口にしなくなる。

 たとえば怒ってどなっているうちはいい。黙し、目が座ったらその人物は要注意。危険だ。

 さて私はというと、忙しさが極度に達している。このゴールデン・ウィークはついに休みなし。全く嫌になる。だが極度に忙しいと自覚するのが嫌なので、口に出しておく。忙しい、忙しい・・・ 。

2011年05月02日(緑茶の日)
 9.11が終わった。――日本時間で2日正午過ぎ、ニュース速報が入った。最初は震災か原発か、と思った。だが意に反して、ウサマ・ビンラディンが捕まったというニュースだった。アメリカ軍はビンラーディンの潜伏先を突き止め、ヘリ数基のみで急襲したという。結果、死体ではあったが、ウサマ・ビンラディンを捕らえた。

 長かった。ニューヨークの世界貿易センタービルにハイジャックした飛行機ごと突っ込むという、これまでの常識を覆し、あまつさえその後の世界観すらも変えてしまった9.11。あれから今年で10年になる。未だムスリムに対する偏見や、ホームグロウン・テロなど問題は残る。しかしこれで一区切りだ。

 ところで先の震災を称して、一部の報道機関では3.11と呼ぶ。3.11は自然災害が引き起こした惨劇だが、これも日本のみならず世界を変えた。この3.11が終わるのは、いつだろうか。

2011年05月01日(メーデー)
 もう毎年恒例で嫌になる。今年もゴールデンウィークは仕事し続けである。ほぼ缶詰状態。既に午前3時を過ぎているが、夕食も風呂もまだである。それでも特に今年は先々の予定が詰まっていることもあり、少々憔悴も感じている。でも1日ぐらい休みがほしいな。やれやれだ。

2011年04月30日(図書館記念日)
 先日、テフロン加工のフライパンを初めて買った。予想に反して、使いづらくて仕方がない。油は転がるし、食材には火が通りすぎる。確かに焦げ付かないので手入れは簡単。だが本当にこんなので、美味い料理が作れるのかね。

 やっぱり普通の鉄製のフライパンが良い。熱したフライパンに、油を落とす。そして油が鍋肌にじわっと広がり、なじんでいく。これがたまらない。こちらのほうが、断然良い料理ができそうだけど。

2011年04月26日(リメンバー・チェルノブイリ・デー)
 @やっぱり寝ないと駄目だな、と思うようになった。特に朝。眠くて仕方がない。歳のせいかな。とりあえず、日に2時間じゃ少ないか。3時間は寝るようにしよう。

 A先日、偶然つけたテレビ番組で、コメンテイターが現職の日本の総理大臣を表して「何をやってもダメなやつは駄目なんだ」という内容を叫んでいた。

 確かに現総理の震災と原発に対する対応は十分なものではない。それがもとで多くの避難民を出し、不便を強いているのも事実だ。しかしながらそれをテレビで、解決策も提示せずに、ただ罵倒するのはどうか。

 この元検事で現弁護士という経歴のコメンテイターは、以前にもテレビで見たことがあるが、そのたびに叫んでいた。弱い犬ほどよく吠えるとの例えは、本当だな。

 Bウェールズの学校が、来月初めに夏学期(※日本の3学期にあたる)を時期尚早に終える可能性が出てきた。これは教師・講師協会が年金問題をきっかけに、ストライキを行うことを決定したため。今月20日の時点のニュースなので、ことによると現時点には団体交渉で解決しているかもしれないが、何とか無事に済ませてほしい。

2011年04月25日(DNAの日)
 先の雑記を書いて、早10日。実は結構忙しかったり。その中で思うことを・・・ 。

 東京では4月に入ってから、計画停電の見送りが決定した。暫定的ではあるが、期間は6月まで。その中で節電の努力が個人・自治体など、規模を問わず行われている。

 目に見える節電の努力は、特に夜に現れているようだ。具体的には看板やネオンサインの自粛、または街灯を間引いて点灯させる、などである。おかげで東京の夜は、本来の“暗さ”を取り戻しつつある。

 東京の夜の明るさは、これまでは異常なほどだった。煌々と照らしだされた道路は、ライトアップをしているのかと思うほど。幹線道路などでは車のヘッドライトは不要とも言える明るさ。だがヨーロッパに行けば、それがどれほど異常なことかがわかると思う。イギリスをはじめヨーロッパ諸国では、現在の日本の夜ほどの明るさだ。つまり、これくらいで丁度良い。

 もちろん、明るさは犯罪の抑止にもつながる。だから一概には“暗くせよ”とは言えない。だがかつて日本の夜が安全だったのは、様々な人の目が実際にあったことも忘れてはいけない。夜回り、寝ずの派出所、庭につながれた犬・・・ これらのうちほとんど全てが今はない。再考の必要があるのではないだろうか。

 ただ、これらの節電に全く賛同しない人は困ったものだ。また、過剰に反応している人も困る。某大学の教師を例に、その一例を挙げよう。

 この先生、節電を周囲の先生に呼びかける。事務に対して頻繁に「無駄な」電気を申告する。学長に直訴もする。ここまでは良い。何とその先生、教室の電気を「無駄」と判断。授業は全ての電灯を消して行う。本人曰く「学生たちも協力的で・・・ 」。たぶん、学生は反論されるのが怖くて言えないだけだと思う。ちなみにこの先生、学長が「学生の目が悪くなるから、教室の電気はつけてくれ」と言ってもどこ吹く風。やれやれ、だ。

2011年04月15日(象供養の日)
 @今日、仕事中(授業中)に頭の中で鳴っていたのは、バッハの『マタイ受難曲』。もちろんその一節だが、何故に・・・ ??

 A言語の専門家リサ・ジョーンズによれば、ウェールズ語が生き延びていくための中心的な役割を果たすのは、「ウェールズ語を自ら学び始めた英語話者の両親」であるという。これは両親の学ぶ姿が子供の見本になる、という理由からではない。

 現在、多くの子供たちが学校でウェールズ語を習っている。しかし校外でウェールズ語を使うものがいなければ、ウェールズ語は「学校のもの」になる恐れがある。だが家族や友人が学校の外で喋っているのを聞けば、自分たちも喋るようになる、と氏はいう。

 このような理由からジョーンズ氏は、全小学校にウェールズ語に通じた人間を常駐させる必要があると呼びかける。これは勿論、ウェールズ語を学ぼうとする親を助けるためだ。

 そして学校や地域の行事に合わせてウェールズ語を学ぶことで、生きたウェールズ語を習得できる。これが引いては地域を活性化させ、ウェールズ語そのものを守ることにつながるという。もし成功すれば、本当に素晴らしいと思う。

2011年04月14日(オレンジデー)
 @まあ、都知事選の結果には絶句。他に目立った候補者がいなかったのも事実。とはいえ、なぜにあの人を信じるかな。当選した翌日(当日?)には、もう今回の災害のことなど語らず、東京へオリンピックを招致することを口にし始めたらしいじゃないか。しかも4期連続だぞ。これじゃ独裁だ。

 A昨日、頭の中を流れていたのはデビッド・ボウイの「アウトサイド」。今流れているのは、グラハム・セントラル・ステーションの「POW」。この合間に流れる音がある。それはロバート・フリップ・アンド・リーグ・オブ・クラフティ・ギタリスツのあのハーモニー。最高だね?!

 B過日、観た映画(DVD)より1本。『H(エイチ)』。韓国映画。服役中のシリアル・キラーの模倣犯が現れる。それを追う警察を尻目に、次々と殺人は行われ・・・ という内容。服役中のシリアル・キラーとの監獄での面会や、登場人物の刑事が悲しい過去もつなど、金字塔『羊たちの沈黙』を彷彿させるところもある。だが韓国の社会背景や韓国人のステレオタイプ的な人物像などを巧みに映画に盛り込み、非常にオリジナルティが高い。そればかりか、最後のどんでん返しにはやられた。そこに辿りつくまでの伏線も素晴らしい。

2011年04月10日(婦人参政記念日)
 @“枝る”という言葉が、ネット上で流行っているらしい。もちろん造語で、動詞。語源は枝野官房長官。意味は(1) 寝る間も惜しんで働く、(2) 上司に恵まれず必要以上の努力を強いられる。震災以後の枝野官房長官の努力を評価した言葉だと思う。流行り言葉はあまり感心しない私だが、これだけは実に上手い表現だと思った。今年の流行語大賞になるかな。

 Aウェールズはカーディフ出身の作家、クレイグ・トーマス(Craig Thomas)が4月4日に亡くなったことが、昨日、報じられた。死因は肺炎。68歳だった。

 クレイグ・トーマスは1976年に小説家としてデビュー。1977年の2作目『ファイアフォックス』がヒットし、人気作家の仲間入りをする。この『ファイアフォックス』はクリント・イーストウッドが主演・監督を務め、映画化された。

 この作品以外にも、数多くの小説を発表している。その一方でウェールズ関係の人脈も大切にし、行動にも加わったという。ご冥福をお祈りする。

 Bさて、今日、日本の東京では新たなる都知事を決める、選挙の投票日である。現職の石原都知事はかの震災を表して、「大震災は天罰だ」と3月14日に声高に語った。震災からわずか3日後のことだ。

 流石に後に訂正・謝罪したらしい。だが人の本音は、非日常にこそ現れる。現在、被災した人々は、想像を絶する苦悩・苦痛を強いられている。国ばかりか、ヴォランティアらは全力をあげて救済に取り組んでいるが、それでもまだ足りない。この状況を離れた地から天罰と呼ぶとは、どのような神経なのだろう? 彼に審判が下るかどうかは、都民にかかっていると言っても過言ではないかもしれない。

2011年04月07日(世界保健デー)
 日本人サウンドデザイナーmergrimのCD『Invisible Landscape ... 』(2011年)が素晴らしい。音の基本は、無機質な音のループ。そこに幻想的なメロディが混ざり、更に細かいサンプリングやフレーズが織り込まれる。まさに音のタペストリーが、聴いている目の前で編まれていく。曲ごとに表情を変えるドラムの音も良い。おススメである。

2011年04月05日(小笠原返還記念日)
 ウェールズの南西に位置する海岸は、実に風光明媚である。そのひとつ、テンビーの浜辺が、イギリスの海岸トップ10に選ばれた。おめでとう!!

 それとは全く関係のない話。震災以後、ガソリンが一時期、東京でも入手困難になった。震災直後から1週間は、売るガソリンがないために店を閉めていたガソリン・スタンドがほとんどだった。

 だがようやくここに来て、多くのガソリン・スタンドが営業を再開している。だが1リットル150円という高さ。数か月前には1リットル127円ぐらいだった。かなりの値上がりだ。しかし、これも手に入るだけ良いとしよう。イギリスでは1リットルは約1ポンドなのだから(註:2007年の値段)!

2011年04月03日(日本橋開通記念日)
 ウェールズより3本。

 @過去10年間に及ぶ、ウェールズにおけるUFO目撃地が、公表された。それも警察による発表・・・ ということから、“公式発表”になるのだろうか。ご興味のある方は、このGoogle mapsのリンクをたどってください。

 A現在、景気低迷中のイギリス。その中で経済成長を遂げた10大都市が発表された。ウェールズからは、何と、スゥオンジーとニューポートがランクイン。実にスゥオンジーは2位、ニューポートは9位となっている。

 後者はもともと工業都市だ。その中心にあった炭鉱閉鎖後、いわゆるIT産業などが招かれ、工場を開いた。ポスト炭鉱世代の若き詩人らの、激しい攻撃の的になった都市でもあると同時に、90年代にステレオフォニックスなど若きバンドの登竜門となったクラブTJ'sなどがあることでも知られる。地元にとっては複雑な心境かもしれない。だが時が流れる以上、昔のままでいられないものもある。この経済成長を、受け入れよう。

 Bフィーダー自身のサイトを通じ、ネット配信のシングル“Side By Side”を発表した。この曲は、次のアルバムからの先行シングル・カットの位置づけになる。

 だがなぜこの時期に、1曲のみのシングルを発表したのか? サイトを訪れてみてほしい。そこには、先日、東日本を襲った津波の映像を伴ったプロモーショナル・ビデオが見て取れる。そう、この“Side by Side”はチャリティ・ソングだ。この収益は全額がイギリス赤十字社を通じ、津波の被災地に寄付される。

 フィーダーには、日本人ベーシスト、タカ・ヒロセが在籍している。彼は20代前半に日本を離れているが、今回の津波の生の映像をメディアを通じてみて、非常にショックを受けたという。彼は2週間後に日本を訪れる予定だという。

 その彼曰く「メディアはリビアと原発の状況に注目している。だが3週間以上経つのに、(被災地の)人々が生活のために戦い続けていることを、世間の人は忘れているんだ。15000人以上の人が行方不明になっている。全く信じられない。日本のような国では、人々は全てを持っていた――それは自分たちが必要にする以上のものであったのだけれど――だが今、そこで人々は全てを失ってしまった。」。最後の言葉が、非常に重い。

2011年03月30日(マフィアの日)
 @電波時計をひとつ、サブの時計として所有している。これは自動的に標準電波を受信し、正確な時間を保てるというもの。常に時間は正しいはずだが、昨日、ふいに気づいたら10分も遅れている。加えて手動で電波を受信させても、その誤差が治らない。結局、手動で調整した。それにしても、なぜ? 震災の影響で磁場も狂ったのか?

 加えて、実に震災以来、部屋のステレオのタイマー機能がうまく作動しない。当初は計画停電の影響かと思ったが、どうもそうではないようだ。困ったな。

 A過日、観た映画(DVD)から1本。『4ヶ月、3週、2日』この映画は、社会主義下のルーマニアを舞台にした非常に硬派な作品だ。

 物語が展開される豪華なホテルのロビーや、主人公の家庭パーティで象徴されるように、表面上は裕福な社会。だがそこを少しでも離れれば、街燈すら暗い街の姿に象徴される闇をもった社会が存在する。いわゆる社会主義の光と影が、法律で禁止された中絶を行おうとする若い女性と、その友人であり主人公の女性の姿を通じて描かれる。

 主人公が受ける解決しようもない不条理な暴力や、それにすら気づかぬ主人公のボーイフレンドなど、監督が私たちに投げかける問題はどれも重たく、そして、解決のしようもない。ラストのシーンで、中絶を終えたばかりの友人が、ホテルのレストランで食事をする。その姿に、このような社会でも生き抜こうとする女性の強さが描かれているように思える。お勧め。

2011年03月29日(八百屋お七の日)
 @今日、朝から頭の中で鳴っていたのは、デヴィッド・ボウイの「フェイム」。何でだろう? 思い当たるフシがない。名声(※fameは「名声」「高名」の意味)と同じ響きの大学には行ってはいるけどね。もしかして・・・ アナグラムならぬ、日本語による言い換え?? だとしたら、私の脳もすごいな(笑)。

 Aもう前のことになるが、受験の最中に携帯電話のインターネット機能を使ったカンニングで逮捕者が出た。以来、断続的ではあるが、毎日新聞の読者投稿欄にこの事件に関する投書が掲載されている。

 投稿の内容は、ふたつに大別できる。大学側が警察に出した被害届を“やりすぎ”とする意見がひとつ。もうひとつは、カンニング許すまじ、とする意見。しかしちょっとここで考えてほしい。もしこのせいで、自分が失格となったら? もしこれが、金銭の絡んだ組織的な犯行だったら? 見せしめになってしまう危険性はあるが、被害届の提出はあながち行きすぎとは言えないと思う。

2011年03月28日(スリーマイル島の日)
 計画停電は地区ごとにグループ分けされ、そのグループに従って実施されてきた。今日、そのグループが細分化された(らしい)。おかげでどのグループに属すのかがわからなくなり、戸惑っている。そして戸惑ったまま、今日1日が過ぎた。やれやれ、だ。

 ところで東京の市街地の夜は、かなり暗くなっている。これまで夜遅くまで開けていた店のほとんどが、閉店時間を早めたり、看板などの照明を落としているためだ。政府による節電の呼び掛けが効果を発揮しているということなのだろう。

 しかし、私にはこのくらいの暗さが丁度良い。実際にイギリスやアイルランドの夜は、この程度の暗さか、ことによると、もっと暗かったのではないだろうか。電力がフルに供給されるようになっても、このくらいの暗さでいてくれないかな。

2011年03月27日(さくらの日)
 @明けても暮れても、メール・ラッシュ・・・ 。

 A過日、観た映画(DVD)より1本。『ガンモ』。1997年公開のアメリカ映画。

 一般公開時に劇場で観て、最近、DVDで二度目の鑑賞。

 竜巻が襲ったアメリカはオハイオ州郊外の町が舞台。ストーリーらしいストーリーはなく、無気力で、すぐ暴力に訴える町の人々の様子を断片的に描く。その合間合間に、様々な性癖を差別的に描いた映像や、動物愛護団体に提訴されそうな映像が挟まれる。

 全体に淡々とした描写だ。その映像からは、監督の町の人々への愛情も憎悪も見てとれない。むしろ過疎化した住宅地と、無気力で自堕落な人々を描くことで、暑く、乾いて殺伐とした町の姿が浮かび上がる。かなりパンキッシュ。

 10年以上経っての再鑑賞だけあって、注目する個所などはかなり違う。だが、この「パンキッシュ」という感想だけは変わらない。

 万人に薦められる映画ではない。また、メジャーな映画で満ち足りている人には、観てもらいたくない映画だ。

 BOba Masahiro作のCD『Still Life』(2011年)が面白い。ミニマル・ミュージックやアンビエント・ミュージックと、ジャズをかけ合わせた内容。双方音楽がもつ浮遊感を、抜群のセンスで結びつけている。BGMにも、作品鑑賞にも耐えうる内容だ。中でも、サティの「ジムノペディ」を再解釈した「Iceberg Dance」は、数多い「ジムノペディ」へのオマージュ作品の中でも白眉の出来。

 以上、徒然なるままに・・・ 。

2011年03月23日(世界気象デー)
 あれからあと2日で2週間が経過する。余震はまだ続く。しかも時折、震度5の余震が報道される。異例のことだ。今回の震災の大きさが、ここからも知れる。その爪痕をくっきりと残しつつも、徐々に日常生活への回帰が見て取れる。徒然なるままに、この間に感じたこと/考えたことを列挙してみよう。

 普段、ほとんどテレビは見ない。しかし震災から1週間は、テレビをつけっぱなしにしていた。次々と明らかになる震災の被害や、福島原発での事故への対応に、仕事をしていても目が釘づけになる。

 そのテレビも、東京では徐々に平常に戻りつつある。まず民法放送でCMが開始された。次にバラエティが放映された。深夜の報道番組が、通常の深夜番組に戻った。そしてそれまで画面の一部を覆っていた災害情報の字幕が、緊急時以外、現れなくなった。それでも時折鳴る、地震警報にはドキッとする。

 発電所が津波と巨大地震にやられた。それにより電力供給力が、需要を下回るようになった。そのため、計画停電が開始された。3時間ごとに一定の区域を停電させることで、全体への電力の供給を維持する。不便なのは確かだが、電力に頼り切っている我々の生活では仕方のないことだろう。それ以上に被災地では、未だに電力が通じていないところもある。

 この計画停電の際には、交差点の信号も消える。そこでは車両は一時停止・・・ と思いきや、そのような規則はないらしい。そのためか事故が発生している。先日、私自身も車で信号の消えた交差点に差し掛かった。警官が交通整理をしている交差点は、まだ良い。だが警官もおらず、日が暮れた後の信号が消えた交差点は、非常に危険だ。直進ですら困難を極める。前方のみならず、左右の安全が車をある程度まで交差点に進入しないうちは、全く見えないからだ。

 日本は、ご存じの通り信号が多い。異様なまでの数だ。その数、外国人が驚くほど。故に先のような交差点は、ひとつの停電区域内に数多く存在することになる。そこで提案。日本もヨーロッパに倣い、交差点を廃止しよう。その代り、ラウンドアバウトを導入するのだ。これならば、基本的に信号が不要である。従って電力も相当節約できる。

 政府は計画停電導入の一方で、節電を叫ぶ。多くの人がこれに従っていると思う。また営業時間が長かったスーパーなどでは、意図的に閉店時間を早めるなどの対処をしている。深夜営業の店なども、営業を自粛しているのだろうか。とにかく、そのためか夜が非常に静かだ。夜がふけるにつれて、帰宅者の足音も、車の音も街から消える。静寂と言っても良い。この静けさは、貴重だ。

 日中、街中を歩くと気づくことがある。それは車の少なさだ。自分で車を運転して出てみると、更に感じる。特にバイクが少ない。先の計画停電による信号のない交差点のせいもあるだろう。だがもっと大きな原因は、ガソリン不足ではないか。実際にここ数年の間に、ガソリン・スタンドはかなりの勢いで減った。それに追い打ちをかけるように、今回の震災が製油所を襲った。またそこからガソリンを運ぶ陸路も絶たれた。従ってガソリンの十分な供給が出来ない。そのため営業を(一時的に)中止しているガソリンスタンドがほとんどのようだ。

 東京は日常に戻ったようでも、それは綻びのある日常だ。その綻びからは、非日常が今でもこぼれ落ちてくる。まさに震災から数日内にテレビを通じて見た光景は、非日常のそれだった。

 非常時には非常時の対処があるの――映画『パプリカ』の中のセリフである。非常に良いセリフだと思う。特にこのような時には、強く思う。

 何度かこの雑記で、私の頭の中で自然と鳴る音楽について書いてきた。震災からしばらくは、実に、鳴らなかった。数日して突如鳴り始めたのは、ジェネシスの「ミュージカル・ボックス」。普段はこの曲、というよりも、ジェネシスは『幻惑のブロードウェイ』以外、全く聴かない。もちろん、ふいに思い出すこともない。つまり私にとってこれが非常時、言い換えれば、非日常の音楽だったのだ。成程ね。特に中間部の演奏のみになる箇所は、私にとって非日常なのだ。気になる方は、聴いてみてください。できれば、ライブ演奏を。あちらの世界が覗けます。

 ということで、非日常を隠しながらも、日常生活に戻った。今朝の毎日新聞の朝刊9面に、「テレビを消し 仕事に戻ろう」と題された文章が載った。まさにそう思う。被災地は復興を。出来る人は、ヴォランティアを。報道に注意を払ないながらも、決して過剰な対応をとらぬように。

 こうして被害の少なかった所から日常を取り戻していくのも、復興支援の一環と考える。被害の少ない所から立ち直らなければ、被害の大きかった所は頼るところを失う。実際に埼玉では、3万人近い避難者を受け入れつつ、日常生活を取り戻しつつある。というわけで、長くなったが、幣サイトもぼちぼち日常に戻ります。既に実生活は、日常に戻っていたのですがね。以前以上のメール・ラッシュは続くし。もちろん、日常に戻っても、非日常がほころびてくる可能性はあるけれど・・・ 。

2011年03月18日(金曜日)
 TGIF ―― +A! TGIFとは、Thank God It's Fridayの略。週末が来た嬉しさを現した言葉だ。通常、会社などで使われる。金曜日が来て、仕事が終われば、あとは休み。それの嬉しさを現した言葉だ。

 しかしながら、今回ほどこの言葉が心の中に響くことはない――。先週の金曜日、ご存じの通り、太平洋側の関東と東北をふたつの大震災と、津波が襲った。

 東京も巨大な一撃の後、何時間にも渡り揺れ続けた。天変地異かと思われる中、テレビはこの世のものとは思えぬ映像を中継し続けた。亡くなられた方とご遺族の方々には、本当に心の底からお悔やみを申し上げる。

 その未曾有の恐怖の中から、生き延びた人々もいる。避難所暮らしを余儀なくされた方々には、本当に頑張ってほしいと思う。それでも私たちは生き延びたのだ。

 TGIF――「神よ、ありがとう、金曜日だ」。私は今日、ここに+Aを付け加える。つまり+Again。神よ、ありがとう、金曜日が再び訪れた――我々は1週間生き延びた。これからも、生き延びる。頑張ろう。

2011年03月15日
 あの地震から5日が経過しようとしている。かの地震も、東日本大震災と名づけられたようだ。

 時間を追うごとに、地震の被害が明らかになる。死者行方不明者の数が、増える。亡くなられた方々とご遺族の皆様には、深くお悔やみ申し上げます。東北の被災地で生き延びた方々、心中お察しします。気を落とさないでください。

 余震に関しても、未だ予断を許さない状況だ。気象庁発表によれば、18日までの間に震度5以上の余震が発生する確率は40%。昨日までは80%だった。かなり確率は下がった。しかし東京でも、日に何回も体に感じる余震がある。皆様、くれぐれもお気をつけて。

 ここ2日ほど非常に静かな夜を迎えている。特に日付変更線を越えると、静寂といっても良いほどだ。普通では考えられないほどの静けさ。周囲の家から音が消えたばかりか、道路を通る車両もほとんどない。この余震に夜中に襲われた時の用心か、それとも節電(後述)のためか。

 この余震だが、テレビによればこれまでに200回近くを数えるという。これは尋常ではない数だ。それも原因のひとつなのかもしれないが、予断を許さないのが福島第1原発の事故である。

 事故の状況は、日々、悪化する。3号機原子炉の水素爆発にはじまり、原子炉の被害が次々と拡大していく。二次災害、三次災害も予想される。

 東京も被災地だ。しかし、かの地ほどでもない。地震当日の電車の運休、電力不足からくる、計画停電(発電所への地震の被害による電力供給不足のために、地区ごとに一定時間停電させ、全体的な電気供給を可能にする方法)とそこからくる電車の運休、物流の滞りから起こる一部食料品の不足が、確かに都民の生活に影響を与えている。だが、かの地の惨劇に比べれば、乗りきれぬほどの困難でもあるまい。頑張ろう!!

 ―― ―― ――

 上の文章を記してから、数時間が経った。そのような折、22:30ごろに地震が襲った。震源は山梨県東部(静岡沖との説もある)。震度6強を富士宮市で、震度5強を富士五湖周辺で記録した。東京も震度3〜4だ。だんだんと震源が拡散している。皆さん、本当にお気をつけて。

2011年03月13日
 現在、14日午前0時45分。だが書き始めたのは13日なので、13日の日付にしておこう。

 あの地震から2日が経過した。相次ぐ余震、津波、そして、原発とで未だに東日本は惨劇から抜け出せていない。

 この二日間で多くのことが変わった。あの地震のマグニチュードは、8.8から9.0へと変更された。12日夕方には津波警報も解除された。だが阪神ア淡路大震災級の余震が襲ってくる可能性は、この3日間で70%。死者数は増え、未だ行方不明者数多数。あの大地震は、かなりの爪痕と恐怖、不安を人々に残している。東北地方の被災者の方々には、深い哀悼をささげる。

 その中で、東京は奇跡的にも水道、電気などのライフラインが損傷を受けなかった。地震の襲った翌日には、都内の電車はほぼ運行を始めた。スーパーも一部の食品が品薄なのを除けば、我々の胃袋を満たすものは売っている。

 だがその一方で、夜が静かになった。普段と比べて、格段に沈静を保っている。いつ襲ってくるかわからない余震へ備え、誰もが早く就寝しているのだろうか。

2011年03月11日
 現在、18:54。少し落ち着いたので、書いておこう。

 本日15時過ぎ、巨大ともいえる地震が日本を襲った。宮城沖と茨城沖が震源らしい。マグニチュード8.8。私の住む東京でも、かなりの揺れが襲った。少なくともこれまでに経験したことのないほどの揺れだ。

 丁度、原稿の下書きを終えたところだった。どうしても今日中にやっておきたい用事を済ませるために、外出の準備をしようと立ちあがったところだった。そこに巨大な揺れが襲ってきた。

 部屋の中のもの、特に箪笥や棚の上にあったCDやらDVD、資料などが、崩れて落ちてきた。部屋中、足の踏み場もない。最初の揺れが治まった直後、部屋の外が白く輝いた。どうも雲が晴れたのか、太陽光が強さを増したようだ。不気味だった。

 その後、余震が何度も続く。18時過ぎまで、常に揺れているように錯覚をしたほど。何とか現在に至るまで、怪我はなし。部屋の中で、特に壊れたものはないようだ。停電もなし。家の周囲も、大丈夫のようだ。車も無事。

 デスクトップのパソコン周辺は、崩れた資料で足の踏み場もない。ラップトップ・パソコンを何とか手繰り寄せる。そして時折、そのラップトップ・パソコンを使って情報を集める。無線LANの環境を整えておいて、良かった。これもそのパソコンを使って書き、無線LANを使ってアップロードをしている。

 揺れが始まった途端に、とっさにつけたTVはそのまま流しっぱなし。津波と火災、そしてその被害がすごい。液状化現象や地割れも起こっている。公共の交通機関は、そのほとんどが運転を見合わせている。帰宅難民が多く出ているようだ。友人、知人が心配で仕方ない。とにかく、皆さん、気をつけて!! 

2011年03月06日(世界一周記念日)
 実は多忙を極めている。信じられないでしょうが。大学がないので、日がな一日、部屋に張り付いている。外界との接触は、電話かメール、そしてインターネット・・・ 。しかも連日、メール・ラッシュだったりする。返事が書けてない&遅くなっている方々、申し訳ないです。

2011年03月01日(聖デヴィッドの日)
 今日はウェールズの守護聖人、聖デヴィッドの日。かの地は祝福とウェールズ語に溢れていることでしょう! ここではこの聖デヴィッドの辞世の言葉を紹介しよう。

気高き兄弟に姉妹よ、喜びたまえ、汝らの信念と信仰を守りたまえ。そして私から聴いた、私が見せてきた、小さなことをなせ。そしてさようなら、汝らの品行が、この世でしっかりしたものでありますように。それというのも私たちは二度とこの世で会うことはないだろうから。
 この言葉のうち、「小さなことをなせ」(Do the littel things / Gwnewch y pethau bychain mewn bywyd)がウェールズの標語のひとつにもなっている。日本語で「小さなことからコツコツと」という諺があるが、それに近いかな。いずれにせよ、聖デヴィッドの日、おめでとう! Happy St.David's Day! Dydd Gŵyl Dewi Sant hapus!!

2011年02月28日(エッセイ記念日)
 前回の雑記が「鉄道ストの日」だったが、南ウェールズを起点とする鉄道Arriva Trainsが現地時間の昨日と今日、二日続けてストライキを行っている。何しろこの鉄道会社の路線には、首都のカーディフを含む。南ウェールズの人に多大なる不便をかけたのは、想像に難くない。実際に900もの列車の便が間引かれたとか。やれやれ、だ。

 話変わって、ウェールズ出身の女優キャサリン・ゼタ=ジョーンズがその功績をたたえられて、CBEに叙せられた。おめでとう!

 CBEは大英帝国勲章のひとつだ。この勲章は5段階にわかれているが、CBEは上から3番目にあたる。日本だと紫綬褒章が近いかな。

 ただ、残念なことがひとつ。それはバッキンガム宮殿でCBEをチャールズ皇太子から直接受け取ったこと。つまりキャサリン・ゼタ=ジョーンズはウェールズ人であるにも関わらず、イングランドのウェールズ支配の最たる象徴、プリンス・オブ・ウェールズから叙されたのである! ・・・ と、冗談はともかく、本当に残念なのは、彼女が叙されてから数時間後にパパラッチの1人と彼女がもみ合いになったこと。キャサリン・ゼタ=ジョーンズによれば、このパパラッチは彼女を殴ったらしい。

 パパラッチが利己のためだけに、他人に対してあらゆる種類の暴力を振るうことは、問題になっている。まともな報道者が多くいるだけに、このような極僅かの人間にその名誉がけがされるのは、非常に残念だ。

 一方変わって、ウェールズ“生まれ”のイングランド人俳優クリスチャン・ベイル(Christian Bale)がオスカー賞を勝ち得た。おめでとう!!

 クリスチャン・ベイルは『ザ・ファイター』(The Fighter)の、麻薬中毒のボクシング・トレイナーを演じた。その演技が認められ、本人としては初めてのアカデミー賞の助演男優賞を勝ち得た。

 クリスチャン・ベイルは過去に『マシニスト』(2004年)で主演。その際、1年間眠れぬ男を演じるために、30キロ減量し、迫真の演技をみせた。今回は15キロ減量し、髪を抜き、歯並びまで変えたと伝えられる。この演技に対するひたむきな姿が、最大限に評価されたのだと思う。素晴らしい!!

 そして寝てないと言えば・・・ 私?! いや、寝てますよ、最近は。少なくとも3時間は寝てます。それにしても今日は朝から電話ラッシュにメール・ラッシュ。その間、パソコンもフル回転。大丈夫かね、どちらも・・・ 。

2011年02月24日(鉄道ストの日)
 @今日、東京は急に暖かくなった。暖かくなったとはいえ、未だコートは必要だが。冬の冷たい空気ではなくなったのは確かだ。春も近いのかな。非常に寂しい気がする。

 A最近、気になった日本語の表示。「予約不要」→実際には、予約を受け付けていない。「予約できます」→実際には予約制。前者は某交通機関のサイトで、後者は医者のサイトで、それぞれにみた。言葉は正しく使いましょうね。

2011年02月22日(猫の日)
 過日観た映画(DVD)より1本。『私は猫ストーカー』。2009年日本映画。短期間で撮影された映画だが、なかなかどうして“今”の日本の下町を感じさせる良い映画だ。

 この映画の人の主人公は、女性イラストレーター。彼女は、暇があれば町に住む猫たちを追いかける。彼女を中心に、話は展開される。

 だが映画の真の主人公は、猫たちだ。実際にこの映画は、話の大筋だけを決めておいて、あとは猫(谷中、根津、千駄木等に生息する実在の猫)の姿を追って撮影されたという。このことが、逆に下町の風景・風情をフィルムに収めることを成功させた。

 普段の生活では気にも留めないような小道の風景が、妙にリアリスティックでありながら、同時にファンタジックでもある。そして何よりも、自然な猫の姿を画面を通じて楽しめるのが最高に良い。DVDをかければ、すぐにこの猫たちに会える。

 ・・・ 結局、それか(笑)。ま、猫の日だけに。

2011年02月16日(天気図記念日)
 武満徹の音楽は、ドミニク・ヴィスのような例外はあるにしても、日本人にしか“表現できない”と思っていた。西洋のリズムでは、“鳴らない”のだ。Paul CrossleyのToru Takemitsu Comple Works for Solo Pianoは、それを覆してくれる快作だ。武満の曲が本当に“鳴っている”。ピアニスト本人が、生前の武満と親交があったからかもしれないが、武満特有の音が“表現”されている。素晴らしい。

2011年02月13日(苗字制定記念日)
 嫌だな。あっという間に時間が過ぎる。いつの間にやら2月半ばだ。特に2月は28日と短い。余計に早く感じる。

ちなみにこの苗字制定記念日というのは日本の話。1875年に時の明治政府が、全ての国民に苗字を持つことを義務付けたことに由来する。

 ウェールズにもかつて、苗字はなかった。その代りapという言葉を使い、「〜の息子の・・・ 」と名乗ることがあった。

 たとえばLlywelyn ap Madogといえば、「Madogの息子のLlywelyn」というわけ。つまりウェールズ語のapは、イングランドの-sonやスコットランドのMc-、アイルランドのMac-に相当する。

 現在は使用されることがなくなったが、その名残は一部、まだ残っている。たとえばPrytherchのウェールズ語名はPrydderch。これはAp Rydderchが訛ったもの。そうするとR.S.Thomasが描いたキャラクターのIago Prytherchは、Rydderchの息子のIagoということになる。中々面白いね。

2011年02月11日(建国記念の日)
 毎週、最低1回は何らかの締め切りがある。それを矢継ぎ早にこなしていく。それだけで、時間があっという間に経過する。メールもラッシュ状態。だが、メール様様だ。メールがなければ、全て電話と手紙、そして宅急便で対応することになる。それを全てこなすための手間を想像するとそれだけで気を失いそうになる。

 ところで2日ほど前から天気予報で、今日から東京でも雪になると言っていた。当時の日中の気温(10度近く)を考えれば、それは想像だにできないことだ。しかし予報は的中。低気圧の動きなどが正確に読めるようになったためだと思う。すごいな。

 そこで思い出したのが、ウェールズに泊まった時の話。その日夕方、私はフェリーに乗るためにリバプールまで行かねばならなかった。だが、雲が厚い。どうも雨になりそうな気配だ。そのことを宿の主に話した。すると主は雲を指し「ほらあの速度で雲が動いているだろう。あの速度で動いているうちは、雨は降ってこないよ。北でも大丈夫。心配するな」。本当にその通りになった。自然を相手に生きる彼らは、雲の動きで本当に天候を予想するのだ。素晴らしい。

2011年02月04日(西の日)
 誰か突っ込みをいれてくれ。いや、もう直したが、昨日は“節分”なのだから、02月03日なのだよな。今日の夜になるまで、別の日付で書いていたことに、全く気づかなかった。疲れもここまで来ると、全く、すごい。

 ちなみに今日は、ナイン・インチ・ネイルズにトゥールにマリリン・マンソン(!!)。特にナイン・インチ・ネイルズの『ウィズ・ティース』は良い。激しい「ユー・ノウ・ホワット・ユー・アー? 」や「コレクター」は言わずもがなだが、ラストのピアノの反復するリズムが非常に心地よい「ライト・ウェア・イット・ビロングス」には心ゆすぶられる。

2011年02月03日(節分)
 1月31日付の雑記に書いた「ムーン・イン・ジューン」の呪縛から、漸く、逃れることができた。代わりに頭の中で鳴り始めたのは、フリー・ジャズ。だが何の曲だか、わからない。どうやら、晩年のジョン・コルトレーンではないようだ。だがとにかく、けたたましい。

 そこで実際にステレオで聴き始めたのが、ペーター・ブロッツマン(Peter Brötzmann)のNIPPLES。1969年の作品で、LP時代のA面にセクステットの演奏が、B面にカルテットの即興演奏が収められている。特にセクステットのほうは、ブロッツマンとエヴァン・パーカーのツイン・テナー・サックスの応酬だけあって、なかなかの迫力だ

 しかしながら、この音楽が“優しく”感じてしまう。続いて聴いた続編のMORE NIPPLESもそう。

 これが意味するところは、一定限度の疲労を突き抜けてしまったというわけね。極度の疲労に、神経が鈍感になってくれたのだ。麻酔薬的効果かな。なるほど、普通に肩で息をしているわけだ。やれやれ、だ。

 ちなみに今日が節分だと知ったのは、22時過ぎのことである。やれやれ、だ。

2011年01月31日(防災農地の日)
 このところ、頭の中をぐるぐると回っている曲がある。ソフト・マシーンの「ムーン・イン・ジューン(6月の月)」だ。この曲、正直に言って、長い間好きになれなかった。後半の時間調整と思しき即興演奏が主だった理由だが、同時に全体を覆うくぐもった音が苦手だった。また、ヴォーカルを取るロバート・ワイアットの高い声が苦手だったということもある。

 しかし、それが先日、リマスター版のCDを買って、急変した。何しろ音が良いのである。長年積った埃を、全て払い落し、更に磨きあげた感じ。以来、この曲の評価が私の中で変わった。各段と上がったのだ。音の違いって、すごいね。

 しかしだからと言って、ずっと頭の中で回り続けられても困る。それにしても昔の曲がかかるのは・・・ 疲れている、というわけか。やれやれ、だ。

2011年01月30日(孝明天皇祭)
 実はここのところ、多忙を極めている。だがそこに、某事務課が横やりを入れてくる。ここは人を人とも思わないが、自分たちはミスを連発。そのミスで私の仕事ができなくなる。だが彼らは最終的に、自分らのミスを人にカヴァーさせるために無理難題を押しつけてくる。全く阿呆らしい。そこでこちらのやることはやり、あとは無視することにした。そして、ずっと他の仕事(複数)に集中している。もちろん今日も仕事。やれやれだ。

 ところでここのところ、ウェールズで話題を集めている動物がいる。それは、「ピューマかパンサーのような大きなネコ科の動物」。ペンブルックシャー(Pembrokeshire)で目撃された。目撃者のペンブロックシャー州護衛官によれば、水曜日(26日)午後に細いレーンを車で通っていた際に、その車の前をかの動物は悠然と横切っていったという。

 体格はジャーマン・シェファードよりも大きく、がっしりとしており、毛皮は滑らかで茶色の斑点があったという。この動物の目撃証言はこれまでにもあるが、正体不明とのこと。ウェールズにUMA出現か?! ・・・ というところで私は現実逃避?! やれやれ、だ。

2011年01月19日(明惠忌)
 @ミシェランの100周年記念ガイドが公表された。ウェールズではこれまで4つのレストランがそれぞれ星ひとつを獲得していた。その4つが無事、今回も星を獲得。おめでとう!

 ちなみにその4つのレストランとは、アベルガヴェニーのThe Walnut Tree、スランドリスロ(Llandrillo)のTyddyn Llan、 マッキンスレス(Machynlleth)のYnyshir Hall、そしてホワイトブルック(Whitebrook)のThe Crownである。ご興味のある方は、現地を訪れた際に立ち寄ってみては。

 A最近、ちょっと頭にくること。それは電車で角席に座っていると、その角にあるパイプなどに勢いよく背中などを預ける人がいること。その勢いが余って、私の頭などに当たってもどこ吹く風。一体、どういう人間なんだ?? 

2011年01月18日(振袖火事の日)
 最近、葉を落とした樹が、非常に美しく感じる。枯れ木ではない。冬になって葉を全て落した樹だ。これが美しい。特に冬の過酷な青空の下、まるで天に届けとでもいうように、その丸裸となった枝を上へ伸ばす様に、内包する力強さと異様なまでの美を感じる。

2011年01月15日(小正月)
 二日続けて音楽の話を。今日、朝から頭の中で鳴っていたのが、どうやらフォーレの『レクイエム』の中の「我を許したまえ」(Libera Me)らしい。

 “らしい”というのは、その一節だけが極度にデルフォメされて、繰り返し繰り返し鳴っていたから。あまりにもデルフォメされていたので、最初はたまさか「我を許したまえ」とは思わず、何枚もCDを聴くはめになった。ここまでデルフォメされているのは、珍しい。もしかすると、夢が現実をデルフォメするように、無意識にその一節をデルフォメしていたのかも。

 で、その合間に、耳をリセットするために聴いたのがマイルス・ディヴスの「だから何?」(So What)。この有名な曲、何で邦題をカタカナにしたのかな。日本語にしたほうが、マイルスらしさが伝わるように思うのだけれど。

 で、現在、明けて午前3時過ぎ。まだ仕事の最中である。もちろん風呂も夕食もまだ。

 結局その後、アート・ブレイキーやらチャールス・ミンガスを経て、今はショスタコーヴィッチの交響曲第4番。選曲はともかく、この時間は何だ。やれやれ、だ。

2011年01月14日(どんどん焼き)
 昨日、電車を乗る時のこと。ふいにドビュッシーの「海」と、ラヴェルの「ボレロ」が聴きたくなった。

 ドビュッシーの「海」に関しては、思い当たる節がある。その前日に、ゴッホと浮世絵についてほんの少し、読んだからだ。1905年の出版された「海」の楽譜の表紙には、葛飾北斎の浮世絵が採用されていた。そこでいつもこの曲を聴くと、いつも「海」→「浮世絵」→「ゴッホ」の連想を起こす。今回は、この逆の連想が働いたというわけ。

 逆に「ボレロ」に関しては、思い当たる節がない。ただこの曲を無性に聴きたくなる時は、いつも過度に疲れている。なるほど。そういうことか。やれやれ、だ。

2011年01月10日(成人の日)
 Q:昨今のウェールズで最も届け出が出されなかった犯罪は何か? 
 A:憎悪犯罪。

 この「憎悪犯罪」("hate crime")という聞き慣れぬ言葉は、辞書(『リーダーズ』)によれば「人種、宗教、信条などの違いに由来する憎悪感情が動機となって相手に危害を加えたり、相手の市民権を脅かしたりする犯罪」とのこと。つまり、差別などが原因で生じる犯罪ということらしい。実にこの「憎悪犯罪」は、去年だけで2000件近くも報告されている。

 ウェールズでこの手の差別や犯罪が多発しているとは、夢にも思わなかった。いや、そういえば、地図に出ていないだけで、「〜ストリートは・・・ 人が多く住んでいる」といった話は、ウェールズの都市部を旅している間に幾度となく耳にしたものだ。

 だがこの手の犯罪の被害者は、泣き寝入りしてしまう場合が多いという。カーディフとヴェイル・オブ・グラモーガンに拠点を置く人種平等主義政策(Race Equality First)によれば、最大で90%もの犠牲者が届け出をしていないということだ。つまり先の2000件という数字は、この犯罪の氷山の一角ということ。

 言葉の問題や報復を恐れるなどして被害届けを出さないということは、十分に考えられる。しかし、それでも、もともとこのような差別犯罪がウェールズでも起きていることが非常に悲しい。ウェールズへ移民してきた人々と、ウェールズの詩人の詩を同等に並べた詩集<Gŵyl y Blaidd / The Festival of the Wolf に去年、深い感銘を受けた(2010年05月20日の雑記参照のこと)のだけにその思いはなおさらだ。

 私の記憶だと、イギリス・アイルランドを旅した中で最も差別を受けなかったのが、ウェールズだったのだがな。

2011年01月06日(エピファニー)
 今日、はまったもの。ビル・エヴァンス。ビル・エヴァンスはウェールズ系アメリカ人ジャズ・ピアニスト。彼のピアノにはどうにも癖がある(その癖が素晴らしいのだが)。そのため集中的に聴く時期と、全く効かない時期にわかれてしまう。何気なくかけた彼のピアノに、今日はピンときたというわけ。

 昨日、はまったもの。武満徹。しかも珍しいことに、「カシオペア」という“独奏打楽器とオーケストラのための”コンチェルトである。武満フリークの私だが、この曲にはまったのは昨日が初めて。これまでに聴かなかったわけではない。ただ昨日、この曲の打楽器の奥深さにピンときたというわけ。一瞬だが、スピーカーから打楽器が飛び出てくるような錯覚すらうけた。

 一昨日、はまったもの。キング・クリムゾンの1969年のライヴ。いや、こりゃすごい。

 その前々日、はまった・・・ わけではないが、久方ぶりの休暇を利用して試みたこと。それは、『スターウォーズ』エピソード1からエピソード3(註:所謂アナキン・スカイウォーカー・サーガ)の連続鑑賞! しかも2と3の間には、きちんと『クローンウォーズ(後編)』を挟んでの鑑賞。映画の中でも戦争だったが、鑑賞する側も長時間との“戦争”状態で挑んだ。さすがに疲れたが、それでも、ラストのオビ=ワンとアナキンの戦いには釘づけになった。すごいね。

 その前日、はまったわけではないが勤しんだのが年賀状書き(下の雑記の通り)。この状態で行うと、年賀状書きも重労働に感じるね。やれやれ、だ。

2011年01月02日(初夢)
 昨日、初日の出を拝んでから寝て数時間後、起きた。すると、まず、ものすごい疲労感が感じられた。かなり仕事を詰め込んだ結果だ。とりあえず、元旦は休み。ほっと一息したのも束の間。年賀状が既に何通も届いている。

 とりあえず年賀状は、例年通り3種類。2つは年賀はがき用。もうひとつはメール用。それぞれ、デザインが異なる。このうち、年賀はがき用のは昨日のうちに印刷を済ませておいた。そこで住所やらメッセージやらを1枚1枚手書きで書いていく。これに2時間半以上。

 次にメール用年賀状。これは海外の友人にも一斉に宛てるので、先の2種類とデザインが大幅に異なる。具体的には、日本的な要素をかなり含む。しかしながら全く用意していなかったので、いちから制作。ようやく完成し、BCCで送ってから気がついた。この状態だと年賀はがきで出した人よりも、早くついてしまうのだね。年賀はがきの方々、着くまでもうしばらくご辛抱のほどを。

 このように新年早々バタバタしているが、ウェールズは先の寒波が大きな影響を市民の生活に与えているらしい。いくつかニュースを集めてみた。

 まずウェールズでは、先の寒波の影響で水道管が破裂。南から北までこの寒さの中で水が出ないという事態に陥ったが、水道局職員の昼夜を問わない賢明なる努力の結果、その大部分は元に戻った。しかしながら西ウェールズのカーマーゼンシャーでは昨日までに300近い世帯が、まだ水道が通っていない。

 加えて豚インフルエンザが、再び猛威をふるい始めている。レクサムの男性が一人、豚インフルエンザのために死亡したのではないかと考えられている。

 これは寒波とは関係ないが、ガソリンの値段がまた値上がりするらしい。現在、ガソリンはこれまでで最も高い価格となっている。だがこれに1リットルにつき0.76pの税金が上乗せされる。さらにVAT(付加価値税)がこれまでの17.5%から20%に値上げ。これにより、1リットルにつき3.5ペンス値上がりする模様。やれやれだ。

 一方で明るいニュースも。カーディフのアマチュア・ランナー、25年以上もカーディフのヒンズー教コミュニティのために働き続けてきた女性、そして、40年間教職に奉職した教師(現在は引退)に、それぞれ大英帝国勲章(前者二人はMBE、後者はCBE)が与えられることが決定した。おめでとう!

2011年01月01日(元旦)
 去年から今年にかけて、年を跨いで聴いたのは、武満徹の「弦楽のためのレクイエム」。今年初めて聴いたのは、武満徹の「エア」。今、武満の「系図―若い人たちのための音楽詩―を聴いている。

 最初に車が通ったのは、0時12分。去年よりやや遅い。だがその後、連続して車が通行した。

 今年も星空だ。東京にしては、夜空が奇麗である。

 比較的静かな新年の幕開けだ。私は、ものすごい勢いでキーボードを打ち、パソコンを稼働させているが。

 今年が良い年でありますように。皆様、本年もよろしくどうぞお願いいたします。





文章:Yoshifum! Nagata
(c)&(p) 2011: Yoshifum! Nagata






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