ウェールズを感じる
――ウェールズから響く音楽1:ポピュラー・ミュージック――



■DUFFY(Duffy) 歌/ウェールズ語&英語
 まだ春の声も聴かれぬ2月。たった1枚のシングルでイギリスをわかせたウェールズ人女性がいた。2008年2月、新星のごとく現れたウェールズ出身の女性シンガー。その名はDUFFY。実にポピュラー音楽部門のミュージック・チャートで、ウェールズの女性シンガーが1位を飾ったのは、25年ぶりのことである。

 DUFFY(本名:Aimee Anne Duffy)は、1984年6月23日、北ウェールズはグイニッズの海岸沿いの村ネヴィン(Nefyn)で、双子の姉妹の妹として生まれる。彼女らの上には姉がひとりおり、したがって3人姉妹の末っ子として生まれたことになる。

 彼女はウェールズ語を第1言語として、英語を第2言語として、ネヴィンの豊かな自然の中で育った。父親がビデオ・テープに録画していた60年代の音楽番組Ready, Steady, GO!を通じ、音楽に親しむようになったのもこの頃だ。

 田舎の平和に思えた生活も、しかしながら彼女が10歳の時、両親の離婚により破られる。彼女は母親と姉妹、そして、母親の新しいパートナーとともに、南西ウェールズのペンブルークシャーに移り住む。その新しい家では、自分らのほかに4人の義理の兄弟と姉妹、そして、叔父もあわせた10人所帯での生活となった。DUFFYは「プライバシーもなければお金も十分になかったわ」と、当時を振り返っている。

 彼女はそのような環境の下、チェスターの短大まで進学する。クラブで週に1回の割合で歌を歌うようになったのは、この頃である。短大の3年コースのうちの2年を終えたところで中途退学。2004年には、ウェールズ語の3曲入りEP("Dim Dealltwriaeth"、"Hedfan Angel"、"Cariad Dwi'n Unig"の3曲)を録音。この時、芸名を苗字のDUFFYとする。

 DUFFYが幸運だったのは、丁度このころ、イギリスの大手レコード・レーベルであるラフ・トレードの創始者でもあったジャネット・リーに、その歌の才能を認められたことである。彼女を通じDUFFYは元スエードのバーナード・バトラーを紹介され、二人はDUFFYのデビュー・シングルとなる"Rockferry"(ダウンロード:2007年11月19日、イギリス国内発売:2007年12月3日)をリリース。2枚目のシングル"Mercy"(ダウンロード:2008年2月11日、シングル発売:2008年2月25日)は、ダウンロードのみの売り上げでイギリスのシングル・チャートの1位を飾る。



 2008年3月3日、DUFFYはA&Mレコードより、待望のアルバムRockferry (2008年)をリリース。これがアルバム・デビューとなる。このアルバムは世界中でヒットし、2008年上半期だけで225万枚を売り上げた。日本盤は本国盤の発売より遅れること半年、2008年9月24日のリリースとなる。2008年9月上旬までに売り上げが世界中で300万枚になったといわれるだけに、この時期に来て日本盤の発売はDuffyブームに更に拍車をかけることは予想に難くない。そして2008年12月に、グラミー賞の2008年度最優秀レコード賞(record of the year)にノミネートされたことが発表された。賞の発表そのものは、2009年02月08日となる。なお、その賞の発表も終わった2009年3月には、来日公演を予定している。



[アルバム(選)]
Rockferry (2008) (A&M Records / 175642-3)
 懐かしくもどこか新しい音。DUFFYのデビュー・アルバムを一言で言い表せば、そういうことになる。ここにあるのは2000年代のポピュラー音楽や、最先端の音楽とは無縁の世界だ。まるで60年代か50年代にタイム・スリップしたかのようだ――DUFFYが最初に音楽を経験した、父親の古いヴィデオ・テープに録画された60年代の音楽を思い起こさせる。ここでの主役はDUFFYの、ロカビリーを歌う純粋な歌声だ。近年の楽曲では珍しいほど大胆に小手先の技を排除し、どの曲でも彼女の声と歌のメロディが中心に据えられている。それが新鮮で印象的でもある。「スタンド・バイ・ミー」を再吟味したような(もちろんオリジナル曲だが)"Mercy"が1位を飾ったことは、2008年のイギリス・チャートの動向を占うようで、ある意味面白い。なお本アルバムは全編英語で歌われている。日本盤の発売は2008年9月24日。





[リンク]
 Duffy ... オフィシャル英語サイト。オーディオ・サンプル、ビデオなどがある。
 Duffy ... Universal Music Japan内にある日本語オフィシャル・サイト。オーディオ・サンプル、ビデオなどがある。

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ウェールズ?! カムリ!
文章:Yoshifum! Nagata
(c)&(p) 2009: Yoshifum! Nagata








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