ウェールズを感じる
――ウェールズから響く音楽1:ポピュラー・ミュージック――



■カレッグ・ラヴァール(Carreg Lafar) 歌/ウェールズ語
 93年、カーディフで結成。伝統的な音楽を演奏する、男女混合比3:2のバンドだ。結成時のメンバーは、ヒューアン・エヴァン・ジョーンズ(Rhian Evan Jones)(フィドル)、アントン・オーエン・ヒックス(Anton Owen Hicks)(Vo,Per & ウェルッシュ・バグパイプ)、ジェームス・ルーク(James Rourke)(flt)、サイモン・オシー(Simon O'Shea)(G)だったが、94年にリンダ・オーエン・ジョーンズ(Linda Owen Jones)(Vo)が加わった(左写真)。全員がウェールズ生まれだが、それぞれの育ってきた環境は様々だ。必ずしもウェールズの伝統音楽に傾倒していたわけではなく、メンバーの中には当初は役者志望であったり、オーケストラでヴァイオリンを弾いていたものもいる。
 Ysbryd y Werin(95年)でデビューし、96年夏のインターケルティック・フェスティヴァルでの熱演で、その名を知られるようになる。北アメリカで2週間にもおよぶツアーをするまでに、瞬く間に成長した。Hyn(97年)をリリース後、99年にオシーがヴィジュアル・アートに専念するために脱退。代りに、ギタリストのディラン・デイビスが参加。2002年にProfiadをリリース。現在もフェスティヴァルなどで成功を収めている。




[アルバム(選)]
Ysbryd y Werin (95) (sain / SCD 2102)
 彼らのデビュー・アルバムは、ウェールズ伝承歌らしい、マイナー調(短調)のミドル・テンポの曲で占められている。全10曲中7曲が伝承歌で、この手の音楽好きにはたまらないだろう。古くは18世紀の曲(8曲目の“Can Crwtyn Y Gwartheg”)まであり、選曲の幅広さに驚かされる。中で目立つのは、最後に収められた“Glan Mor Heli”という伝承歌。第1次世界大戦前の南ウェールズで書き留められたこの曲は、緩やかなテンポのメジャー調(長調)を持つ。のびやかに歌うリンダの声が、南ウェールズの海に響くようだ。なお、歌詞カードはないが、代りに曲の簡単な解説がウェールズ語と英語で併記されており、音楽を理解する上で非常に助かる。




[リンク]
 Carreg Lafar ... 公式サイト。英語とウェールズ語のバイリンガル・サイトになっている。mp3あり。




ウェールズ?! カムリ!
文章:Yoshifum! Nagata
(c)&(p) 2003-2013: Yoshifum! Nagata








「ウェールズを感じる――ウェールズから響く音楽――」へ。
サイト・トップはこちら。