随想もしくは雑記
――ウェールズに関する、あるいは、ウェールズに関係ない、筆者の雑念・2013年度版――



2013年12月31日(大晦日)
 今年もあと10分。いろいろと、ありすぎた。目の下に深く隈が刻まれるほど憔悴した、鏡に映った自分の姿に驚きもした。時はもう、戻らないのだろうな。変化を常に求めてきた私が、このざまか。

 残り3分。武満徹の「弦楽のためのレクイエム」をかける。指揮は、当然、小澤だ。あと2分。この曲が、年跨ぎの曲になるな。明けたら、「系図(Family Tree)」を聴こうか。あと1分。皆様、良いお年をお迎えください。

2013年12月30日(地下鉄記念日)
 @ここ数日、やや平穏な日々を送っている。だが気づけば、また手が切れている。ストレスもひどい。

 A過日、観た映画(DVD)より1本。『セヴン・デイズ・イン・ハバナ』2012年フランス・スペイン。ベニチオ・デル・トロ、ギャスパー・ノエなど7人の監督が、スペインでの1週間を描いたオムニバス映画。月曜日から始まり最後の日曜日まで、「ハバナを舞台」以外に共通項のないストーリーが展開される。ひとつのストーリーが短いため、中には説明不足と思われるストーリーもあるが、逆にその連鎖がハバナ独特の雰囲気を感じさせてくれる。その結果、ハバナに行った気分になってしまうから不思議だ。暑い夏に観たい映画だ。

2013年12月24日(クリスマス・イヴ)
 Nadolig Llawen - Merry Christmas - メリー・クリスマス! 

 ウェールズでは、ホーリーは永遠の生命の象徴である。ゆえにクリスマスの日に家に飾ったという。

2013年12月23日(天皇誕生日)
 昨日今日とマイク・オールドフィールドの『チューブラーベルズ2』が、無性に聴きたくなる。鐘の音が、クリスマスを連想させるのかな。それにしてもこの『2』は、同シリーズの中でも傑作だと思う。

 70年代に制作した『チューブラーベルズ』を、自ら90年代のテクノロジーで甦らせた『2』は、自らの青春時代へのオマージュでもあるわけだが、そのテクノロジーを駆使した音、ハーモニー、リズムのどれをとっても完璧。そして加えて素晴らしいのが、ステレオ空間の広がりである。この広がりと音こそ、90年代のデジタル録音技術があって初めて制作可能となったと思う。今現在、70年代の作品を5.1サラウンドへミックスするのが流行になっているが、この作品こそサラウンドで聴くべきだと思う。それほどの音と、ステレオの広がりがある。

 それにしても20日近くも書いてなかったのだね。書けなかったのが事実だが。原因はストレス。特にひどくなっている。上の文章はようやく書いたが、それにしても、ひどいね。

2013年12月04日(E.T.の日)
 仕事柄、曜日毎に毎日、異なる職場へ向かう。そして毎日、違った人と会う。今、この状況に大変救われている。ストレス以上のものを抱え込み、それでも何とか仕事ができているのは、このおかげだ。それでも、やはり、独りになる時がある。それが辛い。一気にストレスが襲いかかる。そしてそれを、反芻してしまう。その循環の中で、文章が書けなくなる。

 故に音楽も、実は非常に限られたジャンルしか聴けていない。その中で、今日、届いたばかりの渡辺香津美『スピニング・グローブ』を聴いた。御歳60歳を迎えた渡辺香津美(g)を中心とした、ジェフ・バーリン(b)、ヴァージル・ドナティ(dr)のトリオ。その年齢からは想像できない、ほとばしるエネルギーに心が震えた。そして、ジェフのペンによる「Owed to Joy」を聴いていたら、涙が出て来た。心底、美しい曲だと思う。年末近くになって突然現れた、今年を代表する傑作だと思う。

2013年11月22日(いい夫婦の日)
 カーディフ国際空港で、全身スキャナーが導入される運びとなった。旅客は全身スキャナーか、個別に検査を受けるか選択可能になるという。この全身スキャナーはカーディフのみならず、ブリストルやリヴァプールの空港でも導入されるという。テロリストにハイジャックされるよりましだ。それにも関わらず、プライヴァシーを問題にする人間、いるのだろうな。

2013年11月21日(世界ハロー・デー)
 ものすごいストレスに襲われる。体の痛み。食欲の減退。時間があっという間に過ぎ去る。時間の感覚がない。そして文章が書けなくなる。茫然自失。

2013年11月16日(国際寛容デー)
 @先ほどやや大きめの地震があった。震源は千葉。東京および近郊の震度は3から4。このところ、思い出したように地震が襲ってくる。怖いね。何もなければ良いけれど。

 A呼吸がおかしい。仕事疲れのみならず、ストレス過多によるものだろう。何とか体を動かす。だが、やはり、遅い。いつの間にか時が過ぎ去る。まるで自分だけスローモーションに、時の流れの中を彷徨っているみたいに。

2013年11月13日(うるしの日)
 @東京および近郊は、急激に気温が冷え込んだ。しかもここ2、3日の間にだ。今日、明日は、11月を飛び越して、12月の気温らしい。1か月前には、夏日に近かったというのに。この急激な天候の変化により、季節感が一気に狂う。夏から一足飛びに冬へ足を踏み入れたみたいだ。残暑さがひどすぎた反動だろうか。紅葉も一気に進む。しかしこの紅は、目に良い。

 Aここの所、スピーカーの前に座り、音楽を聴くようにしている。そうは言っても、長い時間は無理だ。短ければ10分。少し長めの曲だと、1曲聴けない。それでも良いから、スピーカーの前に座るようにしている。これがうまくいけば、ストレスを少しだけでも緩和してくれる。気づけば、息も普通に戻る、こともある。

2013年11月09日(119番の日)
 過日観た映画(DVD)より1本。『それでも、愛してる』。2009年アメリカ。ジュディ・フォスター監督・主演作品。フォスターの旦那役で、うつ病に悩む会社の経営者を演じるもうひとりの主役は、メル・ギブソンだ。

 ウォルターはうつ病を発病。病は重度に発展し、ウォルターは働けなくなる。だが偶然拾ったビーバーのぬいぐるみを左手にはめ、自分の思っていることをそのぬいぐるみに代弁させるようになると、症状がなくなる。仕事にも戻り、新たに作った玩具はヒット。一方でウォルターのビーバーへの依存度は高くなり、ビーバーがウォルターを支配し始めるようになる・・・ 。

 ジュディ・フォスターの献身的な愛から焦点をはずすと、これは一人の男が狂っていく物語りだということがわかる。恐ろしいのは、狂いつつある状態に、本人が気づかないことだ。結婚記念日にビーバーをはめたまま食事に行き、テレビからのインタビューでもビーバーを離さないウォルターの姿を通して、精神を病みつつもそれに全く気づかない男の悲劇が描かれる。最後にウォルターがとった行動を見ていると、「それしかないのか」という思いと、「(良くなるばかりか)ここまで病んでしまったのか」との思いが交錯する。

2013年11月08日(世界都市計画の日)
 時間ばかりが過ぎていく。またおかしな息をし始めた。

2013年11月05日(津波防災の日)
 故ケヴィン・エアーズの晩年のインタビューで、最近はどうしているか、と訊かれ、起きたら市場まで買い物に行き、そこで良い魚を買い、帰宅してから調理して食べるんだ、と、答える場面がある。なんてことがない受け答えかもしれないが、実に自然体で、人(ひと)本来の在り方のようにさえ思えてくる。

 その日手に入れた新鮮な食材を、その日のうちに料理する。新鮮であることが、何よりの調味料であろう。そして自然に感謝しながら、食べる。最高だろう。だがその一方で、そのような自然な生き方を、忘れている人は多いように思う。

2013年11月02日(全聖人と死者の日)
 @普段、会っている人にはわからないだろうが、このところ特にストレスのふり幅が大きい。端的にいうと、ひどい状況と軽い状況を何度も移行する。むしろ、ひどい状況のほうが多いかも。周囲には関係のないことだから、そのそぶりを見せはしないが、何しろ、モノを書くのが非常に時間がかかるようになってしまった。遅筆を超えているかも。

 A過日観た映画(DVD)より1本。『TIME/タイム』。2011年アメリカ。近未来を舞台にしたSF。人々は25歳で成長が止まり、その後は左腕に埋め込まれた“時計”が表示する時間だけ生きられる。

 富裕層はその時間を金で買うことで長生きをする。一方で貧困層は、明日にもその時間が尽きることを恐れながら、日々の労働から得た賃金で時間を買うことで生きながらえる。当然、貧富の差は広がり、生活の場も分かれる。その貧民層を、富裕層のある男が訪れる。その男から100年という時間を譲り受けた貧困層の青年ウィルは、その時間を使い、富裕層の住む世界へと活動の場を移し…。

 “時間”を買うという、ありそうでなかった着想に基づいた世界観は、『1984』に代表される近未来社会とはやや異なった趣きの、新たなる支配社会を作り上げた。まずそれに喝采を送る。

 映画はテンポよく進み、あれよあれよという間にストーリーが展開していく。その一方でSFとしては予定調和が多く、奇抜な仕掛けに惑わされることないので、安心して物語を追っていける。欲を言えば、物語にふたひねりぐらいの仕掛けがほしかったところ。十分、楽しめるけどね。

2013年10月29日(モルの日)
 いつの間にやら、寒くなった。薄いものとはいえ、上着が手放せない。2週間前は、まだ暑かったのに。半袖でも過ごせたが、今では長袖が必須。季節の移り変わりが、激しいね。こうして秋が深まっていくのだろう。

 それにしてもあの暑い夏が、いつまでも続くのかと思われたが、確実に季節は変わるのだね。そういえば明後日はハロウィンだ。ハロウィンは冬至を告げる儀式でもあるわけだしね。秋も深まるわけだ。不変のものはないのだろうか。

2013年10月23日(モルの日)
 もう完璧に駄目だね。お釈迦かな。

2013年10月19日(TOEICの日)
 今回のハード・ディスク・クラッシュは、本当にひどい。未だに不安定だ。フォルダやファイルを開くのに、時間が異常なほどかかるときがある。そればかりか、動いていたパソコンが、突然、止まる。今、こうやって連続して文章が書けるのが、不思議なくらいだ。私のストレスもすごいが、こいつの深刻さはものすごい。

2013年10月14日(体育の日)
 書けるうちに書いておこうと思う。私自身、過度のストレスに悩まされているが、ついにメインのパソコンがクラッシュした。いつになく、深刻なクラッシュだ。

 デフラグも、チェック・ディスクも駄目。ソフト・モードで立ちがることすら、最後には稀なものとなった。それでも1週間近くかけ、何とか復旧した。だが、非常に不安定だ。いつ完全に動かなくなっても、おかしくない状態だ。まるで自分を見ているかのようだ。

2013年10月10日(世界メンタルヘルス・デー)
 @今日10月10日は元体育の日にして、晴れの特異日。特異日とは、ある特定の気象が起こる確率が高い日のことをいう。晴れの特異日とは、晴れの確立が非常に高い日である。

 さて台風が近づく中どうなるかと思っていたら、台風は日本海側にそれた。そして今日は朝から晴れ。流石だ。・・・ と思っていたら、夜半近くになって雨が降り始めた。珍しいね。

 A私自身相当まいっているが、パソコンの調子も突然、悪くなった。特にここ数日、すこぶる悪い。最悪なときは、起動しない。途中で止まってしまう。ソフト・モードも駄目。今はシステムをロールバック(システムの復元)をして、何とかごまかしている。だが、これでは仕事にならない。まいった。

2013年10月06日(役所改革の日)
 @デヴィッド・ボウイのプロモーショナル・ビデオ(PV)は楽しい。そして、時に、美しい。ピーター・ガブリエルのPVは意味深い。そしてマニックスは・・・ 底抜けに楽しい。その一方で、他のどんなPVよりも、考えさせられる。

 A手が痛い。右手の掌が、執拗に痛む。過剰なまでのストレスに、体が反応しているのだ。

2013年10月05日(世界教師デー)
 昨日、今日は、先日から一転して寒い。最高気温20度。これは、前日比マイナス7度だそうだ。高地や北のほうからは、既に紅葉の声が聞こえはじめた。こうやって秋は深まっていくのだろう。今が辛いから、つい、先ばかり見てしまう。

 そういえば秋のイメージは、ヨーロッパと日本ではかなり異なるように思う。ヨーロッパで秋といえば収穫祭だ。収穫祭は、収穫を神に感謝する祭りだ。それと同時に、暗く、長い冬を迎える前の楽しみであった。春から続いた長い労働と、死をイメージさせる冬との間にある、発散の時期でもあるのだ。

 一方、日本にも収穫祭はある。新嘗祭などがそうだ。だが日本の秋は、紅葉とより深く結びついているように思う。赤や黄色に色づいた山間の静けさ。その枝葉を揺るがす、木枯らし。その毅然とした寒さ。日本の秋は、これらのイメージと深く結びついている。

2013年09月27日(世界観光の日)
 @秋だね。急に半袖でいるのが、寒く感じるようになった。秋だね。

 ADVDでミュージカル『レント』を観た。ニューヨークのイーストビレッジの元倉庫ビルに<不法に>滞在する若者らの姿を描いた群像劇だ。彼らの職業は様々だが、ゲイであったり、HIVを患い死の恐怖に直面しているものもいるなど、いわゆる社会的マイノリティでもある。そのエンディングの場面で彼らは“No day but today”と歌う。この訳が「あるのは今日という日だけ」。名訳だと思う。

 B右の掌が痛む。見れば、治った筈の傷がまた出ている。ストレスだ。過度のストレスがかかると、この古傷が復活する。何とかならんのかな。

2013年09月16日(敬老の日)
 暑いながらも、湿気を感じなくなった日々に、秋だなぁと思っていたら、昨日から今日にかけて台風の襲来。特にこの台風は、稀なほど大きかった。窓を叩く風の音も、強い。

 多くの大学は休講した。今日は祝日だが、最近では、授業回数確保のために祝日でも授業をやる大学が多いのだ。だがその一方で、千葉にある某大学ではAO入試を実施したそうだ。地方から泊りがけで来ている受験生がいるから、仕方がなかったのだろう。

 実はストレスがひどく、そのため、しばらくものを書くということができなかった。ようやく、少しながら、書くことができるようになったので、久々にキーボードを叩いてみた次第。

2013年08月04日(箸の日)
 過日、観た映画(DVD)より1本。『私が、生きる肌』。2011年スペイン。ペドロ・アルモドバル監督・脚本。劇場で見逃した1本だ。

 主人公である形成外科医のロベルは、人工皮膚の開発の権威。最愛の妻を交通事故がもとで亡くして以来、完璧なる人工皮膚の製作に取り組んでいる。だがその裏で、ロベルは一人の人間を自宅に軟禁。その人物に製作中の人工皮膚を移植し、亡き妻そっくりの“代理”を作り出そうとしていた・・・ 。

 「軟禁した人間から亡き妻の代わりを、最先端医学を駆使し作り出す」。・・・ それだけでも、マッド・サイエンティストを彷彿とさせる。

 だが彼の狂気はこれに留まらない。狂気が狂気の連鎖を生み、モラルはいとも簡単にその前に崩れる。ここがすごい。

 [ここからネタばれ]映画では、物語の途中で時間軸が突然過去に飛ぶ。そこでロベルが軟禁した人物の正体が明らかになるのだが、その時、身の毛がよだった。空恐ろしい。更にロベルがその出来上がった妻を愛す様は・・・ おぞましい。狂気の沙汰だ。だがこの映画は、その狂気を平然と描いている。それが素晴らしい。傑作以上。

2013年08月03日(学制発布記念日)
 @先日、ノートを買いに文房具屋に行った。するとあるひとつのコーナーにあるノーと全てが、方眼の桝目になっている。しかも細かい。見ていただけで、めまいがしてきた。こんなノート、本当に使う人がいるのか? 

 A今日は何てストレスがひどいんだ。どうしたら良い? 静養が一番か。

2013年08月02日(カレーうどんの日)
 @書こうと思ってかけなかったこと(1)。電子ブックといえば、恐らく世界で最も有名なのがKindleであろう。そのKindleは、ウェールズ語の本がサポートしていない。これに対し、ウェールズ語の本をサポートするようにとの嘆願書が計画された。それに対し、2000人以上の署名が集まった。今年の4月のことである。だが、未だにウェールズ語のサポートがなされていない。

 A書こうと思ってかけなかったこと(2)。ウェールズで風変わりなDJが誕生し、話題を集めている。本名、ミック・ケリー。苗字が、ステレオフォニックスのケリー・ジョーンズの名前と同名ゆえに注目を集めている、のではない。DJ名はエクレクティックミック(Ecklecticmick)。この奇妙な名前が話題を集めている、のではない。前職がペンキ職人だったことが話題を集めている、わけではない。

 エクレクティックミックの音楽スタイルが、1920年代から30年代風の曲を、現代のエレクトロニクスを駆使したビートで蘇らせたことは、話題を集めているひとつの理由である。しかしながら話題を集めている最大の理由は、エクレクティックミックが65歳であるという事実。もちろん、DJの経験などない。

 そのエクレクティックミックがダンスフロアの若者を熱狂させている。すごいね。

 B家の近くの駅を降りる。潮の香りがする。それだけで、ストレスが若干ではあるが癒される。

2013年07月28日(世界肝炎デー)
 @ここ数日、湿気がすごい。暑さも相当なものだ。だが、湿気はそれを上回る。まるで暑い空気の層を一枚、身にまとっているかのようだ。それだけでかなり体力を奪われる。きついね。

 A今年は蝉の声を聞かないな、と思っていたら、急に窓の外で鳴きはじめた。これが今年最初かな。だとすると相当遅い。それとも、これまで聴いてはいたが、耳に入ってこなかったのか。その可能性が高いな。

2013年07月26日(日光の日)
 @今朝、通勤で電車に乗ったら、ものすごく空いていた。何かと思えば、もう小・中・高(学校)は既に夏休みなのだな。未だに授業か授業内試験をしているのは、大学だけか。最高学府だというのにな。それもこれも、某文部科学省のご指導の賜物である。・・・ つまり、ゆとり教育のつけを払え、というわけか。

 A先日誕生した、ウィリアム王子とキャサリン妃のご子息の名前が決まった。その名もジョージ・アレクサンダー・ルイス(George Alexander Louis)。通常、プリンス・ジョージ・オブ・ケンブリッジで呼ばれるとのこと。

 このジョージ、後にウィリアムが王になれば、プリンス・オブ・ウェールズを継ぐ権利が発生する。そして後には、王位を継承することとなる。王座につけば、イギリスではジョージを名乗る王は7人目となる。

 ちなみにジョージとは「農夫」もしくは「土工」を意味する。また2011年に生まれた新生児に与えられた名前として、上位12位に輝く名前だ。

 なおイギリスではブックメーカーによる賭けが盛んだが、このジョージという名前は一番人気だったそうだ。後の国王の名前までも賭けの対象にするとはね。すごいな。

 Bストレスが積もる。何とかしたい。

2013年07月23日(米騒動の日)
 イングランドのウィリアム王子の妻キャサリン妃が、22日16時(現地時間:日本時間は23日0時)、男児を出産した。イギリス中が祝福ムードに包まれているという。おめでとう。

2013年07月22日(著作権制度の日)
 @昨日の選挙結果、一体何だったのだろうと思う。喉もと過ぎれば熱さ忘れる、という諺があるが、喉元すら過ぎていないのにこの結果は・・・ 。

 またイギリスやアメリカでは二大政党が存在する。その力が拮抗している故に、その時の政策等を有権者が判断し、投票することができる。だが今回の選挙で、二大政党が日本には存在しないということも明白になった。これでは事実上、一党独裁政治だ。結果的に数年前の状況に戻っただけではないか。

 A職場で一緒になる方より、ローズマリーをいただいた。家の庭で育てているそうだ。乾燥していない、生のローズマリーをはじめて手にした。実にものすごく香りがよい。その香りに過度のストレスが、若干、緩和された。

2013年07月19日(国際司法の日)
 @先週の暑さから一転、今週は過ごしやすい。湿気はある。だが、気温が先週ほど上がってない。そのためだろう、空気が暖まっていないようだ。今日のように昼間は日差しが強くとも、日が翳り始めると涼しく感ずる日もある。ありがたい。

 一方でこの気温でも、公共の交通機関によっては強烈な冷房を利かせるところもある。特にかつて渋谷を基点としていた某私鉄は、ひどい。凍えるほどだ。事実、この路線では上着を着込んでいる人を良く見かける。ありがた迷惑だ。

 Aイギリスは大酒のみ、しかも酔って騒ぐ、いわゆる“binge drinker”で有名だ。ウェールズもその例に漏れない・・・ というか、先導しているといったほうが正しいだろうか。ともかく“binge drinker”は、かねてよりイギリス全土で社会問題になっている。

 そこに救世主が現れた。カーディフのアルコール治療センターだ。当センターは昨年の10月より試用運営されている。カーディフの病院では“binge drinker”で担ぎ込まれる患者の数が減っているというが、これはこのセンターのおかげだという。

 そこで更なる案が提出された。もしこの案が実行されることになれば、“binge drinker”の様子は録画されることになるという。このビデオは、後に本人に見せ、反省材料に使われるという。

 Bここ数日、頭の中で鳴っているのがマイク・オールドフィールドの『アマロック』に「クライシス」。更にスーパー・ファーリー・アニマルズの「リング・アラウンド・ザ・ワールド」。一時は、全くならなかった。ストレスがこれまでに無くひどいのだ。それがまた鳴り始めた。更にひどくなっているのだろう。ちなみにスーパー・ファーリー・アニマルズの同名のアルバムの裏ジャケットには、樹で出来た暗いトンネルを一人のキャラクターが歩く姿が描かれている。成程ね。

2013年07月17日(国際司法の日)
 @日本では、例年より随分と早い梅雨明けを向え、既に10日近くが経つ。梅雨明けが早いということは、その分、夏も長いということらしい。今更ながら、身にしみて感じている。特に感じるのが、パソコン。ハードディスクがものすごい熱を発する。先日は、ついにパソコン使用中に電源が落ちた。ハードディスクの加熱が原因だ。そのため現在は、パソコン専用に1台ファンを使用している。

 A先日、体調を崩したことで、周囲に要らぬ心配をかけてしまった。そのためストレスがないように振舞うことにした。しかし、辛いことには代りない。そのように振舞っているせいか、最近では特に一日の中でストレスの振り幅が広い。特に辛いのが、夜。そして帰宅時。このふたつが最も辛い。

2013年07月08日(中国茶の日)
 東京および近郊では、梅雨が明けた。例年よりも格段と早い梅雨明けだ。するとどうだ、突然、猛暑となった。昨日、今日と気温35度の猛暑日を記録。その暑さに加えて、湿気がまとわりつく。

 特に今日は湿気がひどい。まるで空気がよどんでいるようだ。しかし嬉しいこともある。帰宅時に最寄り駅で降りたら、潮の香りがした。空気中の湿気が近くの海の蒸発したばかりの大気を含み、それが香りを運んでくるのだ。ストレスがひどい中、潮の香りを嗅ぎ、少し嬉しくなった。

2013年07月02日(一年の折り返しの日)
 @帰宅する。ジェフ・バーリンの1stソロアルバム『チャンピオン』のジャケットが、目に留める。何をさておき、このCDをかける。懐かしい。高校生から大学生の時に、良く聴いた。

 ジェフ・バーリンは、ベース・ギターをまるでエレキ・ギターのように(いや、それ以上に)扱う、超絶技巧派ベーシスト。たった4本の低音弦から繰り出されるその音は、驚くほど豊かだ。

 当時はそのテクニックばかり耳が行った。故にそれをまねようと、一生懸命、コピーした。だが今聴くと、その豊かな表現力に改めて驚かされる。ベースを弾いているとは思えないほどの超絶技巧を、これ見よがしに前面に押し出すのではなく、それを鑑賞レベルに耐えうるほどの音楽にまで昇華している。これが何よりもすごい。

 Aチャールズ皇太子、つまり、プリンス・オブ・ウェールズと、その妻でありコーンウォール公爵夫人のカミラが、ウェールズを訪れている。夏の旅行だそうだ。報道写真が出ていたので、もしや・・・ と思い注意深く見ると、友人を発見した。それだけで何とも嬉しくなった。ストレスが、軽くなる。

 B帰宅前に、近所のスーパーに寄る。今日は蛸の日だそうだ。正確に言うと、今日は半夏生(はんげしょう)の初日。その日、関西では蛸を食べる習慣があるという。そこで予定にはなかった、蛸の刺身を買う。ストレスで弱った体に、少しでも精をつけねば。つらいが、季節のものを味わうと、それだけで気分が少し軽くなる。

2013年06月30日(ハーフタイムデー)
 @昨日、何とか近くの海まで行った。寄せては返す波の音に、一時、時を忘れる。やはり海は良い。少しばかり、癒される。帰宅してみると、腕が焼けていた。そうか。もうそのような時期か。時とは確実に経つものなのだな。

 Aここ数日、昔撮影したウェールズの写真を見ていた。やはりウェールズは自然が良い。行きたいな。そしてウェールズの自然に触れたい。最後に行ってから丁度2年。随分と長く行ってなかったような気がする。行きたいな。行けるといいな。しかしウェールズまでの距離が、遠くなったように感ずる。

2013年06月29日(聖ペテロと聖パウロの祝日)
 @随分以前に、伊東篤宏のプロジェクトであるオプトラムを紹介したと思う。このプロジェクトは、蛍光灯を楽器として操る伊東と、ドラムの進揚一郎による即興演奏デュオだ。このプロジェクトの2作目となる『recorded 2』をリリースした。CDショップのリスニングで聴いただけだが、それだけでも素晴らしさが伝わる作品だ。しかし残念なことに今の私には、この素晴らしい音楽に対抗するだけの体力がない。

 Aストレスが積もり積もる。そしてついに、体を壊した。しかも、この時期に。

2013年06月22日(日韓条約調印記念日)
 過日観た映画(DVD)より1本。『クロッシング』。2008年韓国。「脱北」という非常に重たいテーマを、ドラマティックに描いた作品。

 実際の脱北者がスタッフとして協力したという。その甲斐あってか、リアリティがある。撮影は実際の脱北ルートを使用し、極秘裏に行われたという。主人公の少年の末路はもとより、その主人公の友人で、父親が当局の取締りを受けたために、裕福だった暮らしから一転、道端で食べ物を拾うようになる少女の末路など痛ましい。その一方で、ともすれば感傷的なBGMが多く挿入されるなど、一般の人でも楽しめる作品になっている。

2013年06月21日(夏至)
 @本日6月21日は、夏至。イギリス屈指の古代遺跡ストーンヘンジに、この夏至を祝いに2万人もの人が詰め掛けた。かつてこの日、ストーンヘンジではドルイド僧が儀式を行っていたと考えられている。そのため毎年、ストーンヘンジでは人々が集まって夏至を祝う。しかし今年は、少しばかり違った意味合いも持つ。

 それというのも、来週の月曜日(6月24日)より、ストーンヘンジの脇を通る道路が封鎖されるからだ。

 この封鎖は道路整備と拡張が目的。この工事が完成すると、これまで普段は通ることができなかったストーンヘンジの中心を通ることができるようになる。さらには1.5マイル離れた場所に、新たなるヴィジターセンターが開かれる予定だ。

 ALARというロボットをご存知だろうか。これは“Lethal autonomous robotics”の略で、それが意味するところは「死を招く自律型ロボット」。つまり戦争用殺戮ロボットだ。

 現在、そのロボットを開発しているのは70カ国以上にも登っているといわれる。これに対し「止めることが出来なくなる」前に規制を、と、ウェールズ下院議員のニア・グリフィス(Nia Griffith)が強く訴えた。

 B以上、ふたつの文章を書いて思った。キレが悪い。しかし、どうにもならない。考えが浮かんでこないのだ。つらいな。

2013年06月15日(生姜の日)
 @今、ウェールズのペット業界で注目を集めているのが、“cat nav”。GPS機能がついた、猫専用追跡装置だ。BBCがこの装置とビデオ記録装置を使い、猫の「知られざる生活」を木曜日に放送したところ、特に注目が集まったようだ。G-PAWS GPSと呼ばれる装置は、未だ発売開始前ながら予約が殺到。Amazon.co.ukでは、350%も一気に予約が増加したという。

 Aラグビーのウェールズ代表と日本代表による試合が、今日、行われた。13度の対戦になる今回の戦いでは、ウェールズ代表が初黒星を記録。残念だ。

 B普段からのストレス(仕事ではない)に加え、外部より過度のストレスを喰らう。一時的に、何も心が感じなくなる。つらい。

2013年06月13日(はやぶさの日)
 @英語で“lifestyle refugees”と呼ばれる人が存在するらしい。新語もしくは造語だと思う。直訳すれば「生活様式難民」となるこの言葉、実に都会の生活を捨て、田舎暮らしはじめる人を指す。

 成程、言い得て妙だ。都会暮らしというそれまでの“生活様式”を捨て、都会から“逃げ”、田舎という新天地に“亡命”し、全く新しい生活を始めるのだから。

 この「生活様式難民」が今、ウェールズ語を脅かしている。即ちそれまでウェールズ語話者が多かった田舎のコミュニティに、都会から英語話者が越してくる。そしてその数が増すに従って、ウェールズ語の使用率が下がる。実際にかつてウェールズ語が主要言語だったカーマーゼンシャーやケレディゴンシャーでも、この「生活様式難民」の余波により、ウェールズ語が少数派言語に追いやられている。

 これは、自治体による宅地造成計画によるつけでもある。つまり自治体が展開した開発計画が、ウェールズ語を追いやる結果となったのだ。

 サネシ<スラネスリ>(Llanelli)議員のシアン・カイアック(Sian Caiach)は、議会がウェールズ語を“売り払った”と公然と批難した。さて、地域開発における、ウェールズ語の先を見据えた修正計画案が通るかどうか。注目はそこに集まる。

 A書かないでいたのだが、ストレスは募る。ある観点からすれば、これまでに無くひどいかも。見た目はそうならないようにしているが、つらい。

2013年06月08日(世界海洋デー)
 過日、観た映画(DVD)より1本。『40』。2009年、トルコ・アメリカ。

 イスタンブールを舞台に、札束入りのバッグを巡り展開する3人の男女の個別の物語が、時に交差しながら物語全体が描かれる。社会のはみ出し者で、表向きはタクシーの運転手をしながら、その裏で運び屋をするメティン。彼は自分の不注意から、ボスから預かった大金の入ったバックを紛失する。そのバックを偶然拾ったゴッドウィルは、パリに渡るために必死で貯めた懐貯金全額を盗まれたばかり。そのゴッドウィルは、バックを無くし気が動転したメティンが運転するタクシーにはねられ、病院に運び込まれる。その看護を担当することになった看護士セウダは、ゴッドウィルと一緒に運ばれてきた大金の入った鞄に目をつけ・・・ 。

 伏線を張りまくったストーリーに感心や感動する以上に、映画からほとばしるイスタンブールという街のエネルギーに心が躍る。多分この物語は、舞台を他の都市に移しただけで、全く魅力がなくなるだろう。特定の地域と物語が、上手くハーモニーを奏でている作品だ。

2013年06月06日(楽器の日)
 本当にストレスの振り幅がすごい。ふりことは違う。だから決して均等に振れはしない。それがつらい。特にストレス過多になる時の度合いが大きすぎる。そして今、本当にひどい。手も痛い。

2013年06月04日(測量の日)
 @日本、ワールドカップ出場決定! おめでとう!

 A丁度100年前、ウェールズで女性参政権を求めて、実際に活動を起こしていたひとりの女性がいた。名をエミリー・ワイルディング・デイヴィソン(Emily Wilding Davison)。エミリーは「女性のための社会・政治組合」(Women's Social and Political Union)に加わり、この組合が行っていた抗議行動に参加した。

 そして1913年6月2日、イングランドのイプソムで行われていた競馬の最中に、自分の主張を訴えるべく、その身を投げだした。彼女は走ってきた馬に追突。地面に叩きつけられる。重傷を負った。その馬は、当時の国王ジョージ五世の持ち馬だった。

 しかしこのような大怪我を負った後も、エミリーは行動をやめなかった。1922年には自らも女性にまつわる6つの問題に焦点を当てた活動グループを組織。その中で、彼女は女性と男性が行政において同等に扱われるように訴えた。そして死ぬまで活動を続けた。死因は、王の馬に地面に叩きつけられた時の傷だったと言われる。口先だけで実際に活動を起こさない人が多い中、エミリーの行動は素晴らしいと思う。

 Bストレスの波が激しい。一日のうちに、軽くなる時間と、過多になる時間の両方が訪れる。過多の時は、本当につらい。

2013年06月03日(測量の日)
 一転して、今日は夕方よりストレス過多となる。つらい。

2013年05月29日(エベレスト登頂記念日)
 今日は少しだけ、気分が軽い。理由はわからない。ただ、気分が楽なうちに書いて置こうと思う。

 ずっと海の近くに住みたかった。今、海から歩いて10数分ほどのところに住んでいる。ただし、砂浜はない。人工的に岸辺が造られた、湾なのだ。だが海には違いない。少なくとも、寄せては返す波の音を聴くことができる。また、潮の香がする。その音が、香りが、癒してくれる。

2013年05月27日(東名高速道路全通記念日)
 @現在、ヨーロッパ随一の古書店の村ヘイ・オン・ワイで開かれているヘイ・フェスティヴァルで、ウェールズの歴史で最も重要な場所はどこか、というディスカッションが行われている。候補に挙げられた場所としては、ガウワー半島の教会(聖公会)、北ウェールズの村アサブティ・イヴァン(Ysybty Ifan)、自動車専用道路M4、セヴァーン橋(Severn Bridge)などだ。

 それぞれ理由がある。たとえばガウワー半島の教会は、エルサレムや中近東のキリスト教徒を守るために基金を募った。このことがウェールズが国際化したとされる。

 アサブティ・イヴァン村にある十字路は、12世紀から13世紀にかけ、ウェールズ独立を求める戦いで重要な役割を果たしたという。

 セヴァーン橋を渡り、ウェールズ語と英語のバイリンガルの道路標識を見ることは、ウェールズの独自文化を知り、また、独自アイデンティティを持つことにつながるという。

 しかしこれらを退け、会場を埋める聴衆が最も喝采をおくったのは、マーサー・ティドヴィルだ。ウェールズ南部の鉄鋼業の草分けであり、中心地として知られるマーサー・ティドヴィルは、最初に鉄の使い方を発見したこと、産業革命を始めたこと、そして、人権を守ったことのために最も重要だとのプレゼンが行われた。これに対し、聴衆が喝采をおくったというわけだ。

 A手が痛む。右手の古傷だ。きちんと治したのだがな。原因はストレス。それも過剰なまでの。気づけば、体力そのものが相当奪われている。参ったな。

2013年05月26日(東名高速道路全通記念日)
 『パーフェクト・センス』。1992年、イギリス。英語でsense(センス)とは、日本語のセンスとは微妙に異なり、五感で感ずる「感覚」を意味する。この映画ではその表題にある「完璧なる感覚」とは異なり(皮肉か?)、人類が突然、ひとつひとつ感覚を失われていく様を描く。

 原因は不明ながら、嗅覚を失った人がイギリスで続出する。だがこれは程なくして、世界的傾向だと分かる。病が広がるように、次第次第に嗅覚を失った人の数が増え、ついには全人類が嗅覚を失う。分析の結果分かったことは、ある感情の高ぶりを前兆に、ひとつの感覚が失われるということ。更には、その治療法が皆無だということ。そのような中、感染症のスペシャリスト、スーザンと、レストランのシェフ、マイケルは出会い、恋に落ちる。ふたりも例外なく感染し、次第次第にその感覚が失われていく・・・ 。

 嗅覚についで味覚が失われ、更に聴覚も人類が失っていく中で、その欠点を補う料理を考え出すマイケルと、なす術もないスーザンが対照的。劇中で挿入される人類がパニックに陥る映像は、本物の映像からの引用らしく、その使い方が素晴らしい。練られた脚本に、映像美が生きる作品だ。いかにもイギリス映画、といった香りが強く香る映画だ。これを「恋愛映画」のジャンルに入れた配給会社の“感覚”は、いかがなものか。

2013年05月24日(コモンウェルスデー)
 ウェールズといえば、そのありのままの自然で有名だ。実際に起伏に富んだウェールズの大地は、平野主体のイングランドに比較するまでもなく、豊富な自然を育み、そして誇ってきた。

 しかしこのところの調査によると、その自然が減退傾向にあることが明らかになった。大変、残念な結果である。これに対しウェールズ・ワイルドライフ・トラストの代表レイチェル・シャープ(Rachel Sharp)は「自然は私たちウェールズ人の生活を支えるシステムであり、私たちの幸福と繁栄に必要不可欠であるということを認める必要がある」と発言した。その通り。

 しかしそれでも、ウェールズが野生の自然の宝庫である事実は変るまい。ああ、ウェールズの自然に触れたいな。実は今、ストレス過多なのだ。ゆえに自然に触れたいと思う。切に願う。これで解消されるわけではない。しかし、少しは癒される。そして気づけば、今年は桜も、新緑も愛でないままにここまで来てしまった。

2013年05月19日(ボクシングの日)
 過日、観た映画(DVD)より1本。『倫敦から来た男』。2007年、ハンガリーのタル・ベーラ監督による映画。主人公マロワンは港を見下ろす制御室から、偶然、殺人を目撃する。殺人犯が立ち去った後、マロワンは被害者の男が持っていた鞄を入手。そこには大金が入っていた。殺人犯はその鞄を探し、港町に滞在する。そして程なくして、ロンドンから刑事が町を訪れる・・・ 。

 2時間を越える大作映画だが、全編モノクロ。更にシーンの多くは、ワンショットで撮影されている。音楽も最小限度に抑えられ、詩情豊かだが、スタイリッシュで硬派な映像が画面に映し出されていく。派手なアクションやおふざけ、CGによるギミックがない。代りに各所に象徴的なシーンが取り入れられ、映画の懐を奥深くしている。

2013年05月18日(国際親善デー)
 家事と仕事を昼までに済ませる。そして駅へと急ぐ。昼食代わりの菓子パンを食べながら、電車に飛び乗る。向った先はカムリ学会の例会。過度のストレスとそれに伴う疲労が蓄積していたので、家で休もうかとも思っていたが、行ってよかった。メインとなる講演で、アルスルの神話がフランスに渡り、更にイングランドへと“戻って”くる過程でどのような変化がもたらされたのかを知ることが出来、有意義だった。

2013年05月13日(カクテルの日)
 仕事を終え、家に帰る。ステレオでバッハの「無伴奏チェロ組曲」をかける。できれば、ミッシャ・マイスキーの演奏が良い。その演奏に耳を傾けながら、R.S.トマスの詩を読む。夕食までのほんの一時。たとえ少しの時間でも、最高の時間だ。独りの時間を忘れさせてくれる。

2013年05月11日(鵜飼開き)
 ここ数日、東京および周辺は気温の寒暖の差が激しく、一昨日は夏日を記録した。しかし今日は一転して、雨。その雨に呼ばれるように、武満のピアノ曲をかける。外から聴こえる雨音と、まるで滴のようなピアノの音が共鳴する。過度のストレスの中で、心が安らぐ一瞬だ。

2013年05月05日(こどもの日)
 イギリスはBBCで放送中のタレント発掘番組The Voiceで、19歳の女性が注目を集めている。その女性はBronwen Lewis。容姿端麗のみならず、その歌声で観客を魅了した。彼女が披露したのはスティングの“Field of Gold”のカヴァー。しかし、合格しなかった。

 これだけならば、よくある話だろう。しかしBronwen Lewisが注目を集めているのは、その歌の言語である。

 彼女の歌ったスティングの“Field of Gold”は、全てウェールズ語によるカヴァーだったのだ。つまり明言こそされていないが、彼女が落選した理由はその演奏力以外のところにあるのでは、と、注目を集めている。とりあえず彼女自身(若いながら、ウェールズ語を第一言語としている)は、番組が終わった後、自国の言葉で歌い続けることを宣言。またそんなBronwen Lewisにいくつかのレコード・レーベルが興味を示しているらしい。頑張ってほしい。

2013年05月04日(みどりの日)
 @18世紀から19世紀にかけて、新天地での成功を夢見て故国を去ったものが数多くいた。アイルランド人はアメリカをはじめ、各国に散った。スコットランドの高地人はカナダへと旅立った。ウェールズからはアルゼンチンのパタゴニアへと旅立ったものもいた。

 最近の研究結果によれば、ウェールズからパタゴニアへと渡った人たちは、ほぼ現地の人々に歓迎されたという。そして政治を原住民に押し付けることなく、「文化的植民地政策」をとった。それは、英国が率先して行った帝国主義とは全く異なる。従って原住民との衝突も、非常に限られたものとなったという。

 A連休の最中、夕方に近くのスターバックスにコーヒーを飲みに行く。混んでいる。ソファーの席を見つけ、確保する。そしてお気に入りの紅いタンブラーに、熱いコーヒーを入れてもらう。ソファーにゆっくりと腰掛ける。本を開き、ヘッドフォンから音楽を流す。普段とは異なり、店内では観光客が声高に喋っている。その喧騒は、ヘッドフォンをしていても聞こえてくるほど。しかし、それが今の私には良い。どうにも、今はひとりでいるのがつらいのだ。

2013年05月03日(憲法記念日)
 過日観た映画(DVD)より1本。『ダークシティ』。1998年、アメリカ。

 ある夜、目覚めるとホテルのバスタブに横たわっていた主人公。彼は名前も、素性も思い出せないまま、受け取った一本の電話の「逃げろ」という声に従って、夜の街に繰り出す。どうやら自分は、娼婦ばかりを襲う連続殺人鬼らしい。その男を追うのは、失踪した彼を探す妻、連続殺人鬼を追う刑事、そして、謎の黒ずくめの集団。この黒ずくめの集団こそがエイリアンで、彼らは毎夜12時になると人を眠らせ、集団移住のための実験を繰り返していた・・・ 。

 エイリアンの地球への集団移住というのは、SFにおける古典的テーマだ。その世界観は、映画『ブレードランナー』や『マトリックス』など名作の影響を強く受けていると感ずる人も多いかもしれない。しかしアイデアにおいては、この作品は更にその上を行く。とにかくオリジナルティが高い。素晴らしいの一言。強くお勧めする。

2013年05月01日(メーデー)
 @今、麻疹の流行が話題になっている。――これは日本の話ではない。ウェールズの話だ。海を越えた向こうの国でも、偶然にも麻疹が流行している。南ウェールズだけで1000件の発症が確認されているのだ。

 それを受けてあわてたのが、スウオンジー・シティー(サッカーチーム)の幹部ら。選手全員に検診を受けさせ、予防接種もさせたという。

 A日本の富士山が、世界遺産に登録されるとの見通しが、発表された。何とも嬉しい限りだ。それと言うのも私は毎年数回、富士山を拝みに富士五湖周辺まで行っていたからだ。

 行くのは特に冬がいい。2月か3月の平日、雪の降っていない日を選ぶ。そうすると寒さに引き締まった、澄んだ青空に映える富士が拝める。これが、殊の外美しい。

 中央自動車道を使い、昼前ぐらいに河口湖につく。そこから西湖、精進湖と廻る。もしくは忍野八海から山中湖へと出る。これが定番コースだった。特に日没時に、山中湖から眺める富士山が好きだった。そうは言うものの、もう1年以上行っていない。懐かしいな。また行きたいな。行けば少しはストレスも軽くなるかな。

2013年04月27日(哲学の日)
 最近、音楽が頭の中に浮かぶことが少ない。むしろ、稀になった。それでも今日、突然鳴りはじめたのが、バッハのカンタータ第140番「目覚めよ、とわれらに呼ばわる物見らの声」。しばらくバッハは聴いていなかったのだけどな。今、久方ぶりにCDラックからCDを取り出し、耳で聴いている。

2013年04月25日(DNAの日)
 @4月20日付けの雑記に、サッチャー元首相の葬儀が「国葬」だったと書いたが、訂正。実際には、「国葬の規模」で行われたのだ。訂正してお詫びさせていただきます。

 A先日、『効率学のススメ』を観にいった。何とか時間を割いて、だったが。このサイトでも告知させていただいているが、気鋭のウェールズ人作家の新作を、ナショナル・シアター・ウェールズの初代監督ジョン・E・マグラーの演出で、東京から世界に向けて初演するというものだ。

 シリアスなテーマの中にふんだんに笑いの要素を持ち込んだ、非常に楽しい劇だった。斬新な舞台の作りもいい。何しろ、舞台は劇場の中央にある。360度どこから観ても良いのだ。さらに空中から主人公が現れたり(古代ギリシャ劇を思い出した)、2階席と1階席の間にスクリーンが360度張り巡らされていたりと、至るところに意欲的な試みがなされている。この感覚が、この現代劇にマッチしている。

 ところで劇中、ステレオフォニックスの「ザ・バーテンダー・アンド・ザ・シーフ」が何度も流れるのに、思わずにやりとさせられた。ウェールズ好きには、嬉しい演出だ。

 Bまだ4月のこの時期だが、異様な疲れに襲われている。原因の多くはストレスなのだろうが。それにしても、酷い。なんと形容したらよいのだろうか。それすらもわからない。そのため日英を問わず、メールの返事がかなり遅れている。申し訳ない。

2013年04月20日(郵政記念日)
 @先頃亡くなったサッチャー元首相の葬儀が、国葬として木曜日に行われた。その間、様々な声が飛び交った。サッチャーの政策を批判するものあり、賞賛するものありだった。故にその影響力の大きさが、殊更に感じられた。様々な意味で、大きな人だったのだろう。

 Aストレスと疲労が、襲いかかる。痛痒感がある。そして気づけば、知らぬうちに手がまた切れている。右掌の傷跡から、痛みとも、痒みとも取れる感覚が襲う。これはストレスが酷い時に起こる症状だ。何とかならんのかな。

2013年04月16日(チャップリンデー)
 T.S.エリオットの記念碑的な作品「荒地」の冒頭の一節は、非常に有名だ。「4月は最も残酷な月」――これがそうだ。つくづくそう思う。今まではこんな風に思うことはなかったのだけどな。

2013年04月14日(タイタニック号の日)
 @先日亡くなったサッチャー元首相の葬儀が、国葬と決まった。これはサッチャーの押し通した改革を、十二分に評価した結果である。その国葬に、キャサリン・ジェンキンスが出席することとあいなった。

 しかし一方で、サッチャー元首相を国葬とすることに、反対の声もある。むしろ、多い。事実、多くの炭鉱夫がサッチャー元首相の炭鉱閉鎖計画により、職も、生活も、プライドも奪われたのだから。

 もしかすると、炭鉱夫よりも、その家族のほうが痛みを感じたかもしれない。これまで憧れのアイコンだった父親や兄が、敗北に打ちひしがれる姿を瞳に焼きつけねばらなかったのだから。

 そして先日、ロンドンでは国葬に反対する抗議運動が起こった。しかし政府側は、警護を固めるばかりだ。いつの世も同じか。1984-85年のグレート・ストライキ時のモグ・ウィリアムスの詩「荒野(The Wastedlands)を思い起こさせる――「そして民主主義の扉をノックした。ノック、ノック、ノック! 

 マニック・ストリート・プリーチャーズは呼ばれることすら、ないのだろうな。フューネラル・フォー・ア・フレンドも。ダヴィズ・イワンも。

 Aまた気がつくと、手が割れている。痛い。

2013年04月09日(反核燃の日)
 @8日、マーガレット・サッチャーが死んだ。87歳だった。1979年より首相の座に着いた彼女は、イギリス国内の“改革”に邁進した。同時に冷戦時代の終焉に一役買った。しかしながらその強引さ/一歩も譲歩しない様に、サッチャーは「鉄の女」の異名をいただいた。

 サッチャーが強引に推し進めた“改革”のひとつに、国営産業の大胆かつ大規模な見直しがあった。通信事業(電話)、鉄道などの民営化が推し進められる一方で、その槍玉にあがったのが、石炭業、即ち、炭鉱だった。

 サッチャーは炭鉱の大規模閉鎖を決定。それに反対した炭鉱夫らが、ストライキで対抗した。そのストライキはおよそ1年にも及ぶ、長く、苦しい戦いとなる。

 連日、テレビでは騎馬警官と炭鉱夫らが衝突する様子を流し続けた。そしてストライキは、炭鉱夫側の敗北という形で終焉した。そして、炭鉱のほとんどが閉鎖された。

 この時の経験から、詩人パトリック・ジョーンズやジョン・エヴァンズらがその才能を開花させた。ロックの世界では、マニック・ストリート・プリーチャーズやステレオフォニックスが生まれ、後にフューネラル・フォー・ア・フレンドらが続く。映画『リトル・ダンサー』や『天空の城ラピュータ』は、にそれぞれ程度の差はあれ、このストライキが背景にある。

 先の改革を、絶賛する人々がいる。だが一方で、初代ウェールズ議会のファースト・セクレタリーだったロードリ・モルガンは、先のストライキは「イギリスを引き裂いた」とコメントした。現地の人には、複雑な気持ちがあるのだと思う。

 Aいつの間にか、桜も散った。つい先日までコートを着込んでいたが、今ではジャケットで出かけるのが気持ち良い。海の傍では、海原を渡ってくる凍てついた冬の風もない。ほのかな潮の香が、鼻腔をくすぐる。春なのだな。明けねばならぬのか。つらいが。

2013年03月28日(世界演劇の日)
 過日観た映画(DVD)より1本。『未来を生きる君たちへ』。2010年、デンマーク スウェーデン。

 学校でいじめを受けているエリアス。そのエリアスと、転校してきたばかりのクリスチャンは友人となる。学校からの帰り道、ふたりはいじめを受ける。エリアスはそれに耐えるが、クリスチャンは翌日、いじめの中心人物を背後から自転車の空気入れを使い、暴行する。そのふたりにエリアスの父は、暴力に対して暴力で応戦しては駄目だと身をもって教える。エリアスの父は医師としてアフリカの難民キャンプで地元の悪党集団による無差別暴力の犠牲者らを診察し、暴力の不条理さを知っていたのだ。だがクリスチャンは「目には目を、歯には歯を」という信念を捨てない。そしてその行動はエスカレートし・・・ 。

 非常に深い作品だ。ここでは、いくつも暴力が描かれる。その中で大きな主題となるふたつの暴力がある。ひとつはアフリカでの暴力。もうひとつは、自分が受けた様々な暴力に仕返しをするクリスチャンの暴力だ。

 それらの暴力に対し、大人はどのように対処したらよいか、と、映画は観衆に投げかける。暴力に対する暴力は、その連鎖を生み出すだけだ。その連鎖をとめるには、どうしたらよいのか。

 一方で、不条理な暴力もある。それに人は耐えるしかないのか。それらの問いを、映画は、映像で訴えてくる。それが真に迫っている。深い。

2013年03月25日(拘留中または行方不明のスタッフと連帯する国際デー)
 ウェールズでは今週、度重なる豪雪のために、セ氏マイナス6度になるとの天気予報が出ている。先日も触れたように、3月末だというのにウェールズでは雪が降り続いているのだ。一方、去年はどうだったかというと逆。人々がビーチに繰り出すほど暑かった。たとえば北部のポースマドックではセ氏21.7度を記録している。この気温差、20度以上。一体、どうなっているのか・・・ 。

2013年03月23日(世界気象デー)
 ウェールズでは、豪雪や吹雪のために学校が休校となっている。そればかりか、北部では雪のために停電を引き起こしている。3月も終わりだというのに。

 一方、東京および近郊の今日の夜は、一転して寒い。だが冬のそれではない。冷え込みは、しかしながら、心を萎縮させる。物理的な寒さが、心の冷えにつながる場合もあるのだ。もっとも今の私は、何も感じないし、感ずることもできないのだが。それがつらい、とも感じられない。多分、つらいのだろうな。つらすぎるのか。

2013年03月22日(世界水の日―地球と水を考える日)
 @去る2月18日、ケヴィン・エアーズが死去していた。エアーズはカンタベリーロックの重鎮(本人にその意識はない)でありながら、非常に上質なポップスを生涯、生み続けた人だった。その曲の多くは、イギリス人らしいユーモアにあふれ、彼自身の人生が反映されていた。メインストリームを嫌い、だが、ロンドンの名物DJジョン・ピールらに愛され続けたエアーズ。彼の音楽には常に自由という彼独自の哲学が、柔らかい音で包まれていた。

 際立ってユニークなのが、彼自身の声。非常に低いのだ。コーラスが付く時は常にバスを担当し(故にコーラスが上物であるメロディを奏でる)、ともすればエレキ・ベースより下の音を出すほどの彼の声は、“歌嫌い”だった若い頃の私を一度掴んで以来、離さなかった。冥福を祈る。それにしても・・・ 悪い時には悪いことが重なるものだ。

 Aいつの間にか夜空に桜が映え、夜道を歩く時にセーターが暑く感じるようになった。冬は明けたのだろうか。春なのだろうな。明けぬ冬はないのか。いや、明けねばならぬのか。

2013年03月21日(世界詩歌記念日)
 @興味深い数字が出た。イギリスにおける1977年の平均的な収入は、13,800ポンド(約199万円)だった。それに対し、現在は24,400ポンド(約351万円;いずれも1ポンド=144円で計算)だ。つまり暮らし向きは良くなっている。だが、ここ5年間の間に平均的な収入は8.8%も下落している。そのため、生活水準は高くなっているものの、そのように民衆は感じていないとのことだ。なるほど。

 1977年のこの数字は、後に不満の冬を引き起こす。そしてサッチャー政権が誕生するのだ。

 Aここ数日、いきなり暖かくなった。気温が前日より下がる、と言われる日でも、いてつくような寒さはない。桜も急に、開花し始めた。心なしか楽になる。

2013年03月18日(精霊の日)
 @03月16日、ラグビーの6ネイションズで、ウェールズがイングランドを下し優勝に輝いた。おめでとう。これでウェールズの優勝は、2年連続となる。

 A日本中を今日、春一番が席巻した。まさに春の嵐ごとく、吹き荒れている。ついに春が、世間的には来たのだろう。今の私には、あずかり知らぬことのように思える。服装ぐらいは変わるだろうが。

2013年03月16日(国立公園指定記念日)
 そういえば明日3月17日は、大阪は豊中市千里文化センターで毎年恒例のウェールズ文化祭が行われる(詳しくはこちら)。講演とウェールズ国歌の合唱もある。拙著『ケルトを旅する52章』も会場で販売される。何でも去年とは少しばかり違った、会場のみの特典もつくらしい。日曜日、有意義に過ごしたければここだね。行かなきゃ。

 これだけを書くのも、今は、結構つらかったりする。それでも、書かねばならないのだけれど。

2013年03月11日(3.11)
 2年前の今日(それは金曜日だった)、非常に寒い1日だった。3月だというのに、コートを着込んで、出かけようとした矢先、あの地震が起こった。立っていられないほどの地震。その中、かろうじて部屋の隅に逃げた。そして、部屋の中をCDやDVDが飛び交うのを見ていた。

 その後、相次ぐ余震の中、気仙沼の大規模火災をテレビを通じて、目の当たりにした。巨大津波が車や家、そして、人までも流していくのを見た。その後、余震は続く。5日後には余震が200近くを数えた。その中で、世界は更に予想だにしない事態を目撃することになる。原発事故だ。水素爆発、メルトダウン、建屋(たてや)・・・ それまで馴染みがなかった言葉が、日常の言葉となった。

 大震災の後で、本当に恐ろしいのは、二次災害だと私たちは改めて知った。余震は収まった。だが放射能という見えぬ恐怖が、未だ爪痕を残す。

 東京および近郊も、被災地となった。あの日、数時間かけて徒歩と自転車で、家まで帰った人もいる。幸いにも関西からの帰りの車中で、巨大地震を知らぬ人もいる。子供をつれて、他県まで逃げた人もいる。職場に泊り込みを余儀なくされた人もいる。恐怖のあまり自宅にいられなくなり、避難所まで逃げた人もいる。

 そして他国の友人で、祈りを捧げてくれた人もいる。

 あれから2年。未だに見えぬ恐怖に苦しむ人々がいる。あの時の映像に、フラッシュバックを起こす人々が未だにいる。そしてあの時の映像に、個人的なフラッシュバックを引き起こし、苦しむ人もいる。辛い、だろうね。

2013年03月06日(世界一周記念日)
 @ウェールズの生活水準が、この2年間の間に下落したことが最近の調査でわかった。インフレに対する給料の比較をした結果、2010年第3四半期から2012年第3四半期の間に、3.2%下落したという。

 この数字はEU内では4番目に高い数字である。なお下落幅の大きい3国は、ギリシャ(マイナス10.3%)、キプロス(マイナス4.6%)、ネザーラド(マイナス3.8%)。

 A以前、この欄でもパブがテスコ(※イギリスの有名なスーパーマーケットのチェーン店)に変わっていく、という問題をお伝えしたが、またもやそのテスコが話題に登っている。今回の場所はカーマーゼン。カーマーゼンは歴史ある由緒正しき村で、そのウェールズ語名は「大魔術氏マーリンの砦」に由来している。

 今回、そのカーマーゼンでテスコが取って代わろうとしているのが、郵便局である。郵便局側は、年間で4000万ポンド(約56億4千万円)の損失があり、事業計画のやり直しの一環としてウェールズではカーマーゼンを含む8箇所の郵便局閉鎖があげられたという。

 もちろん、地元は大反対。さて、どうなるか。

2013年03月02日(遠山の金さんの日)
 昨日の聖デヴィッドの日に、チャールズ皇太子つまり“プリンス・オブ・ウェールズ”がカーディフを訪れた。エリザベス女王はスウオンジー訪問予定だったが、胃腸炎のため取り止めになった。・・・ いろいろあるが、とりあえず、これだけは伝えておこう、と。

2013年02月20日(旅券の日)
 もう丸3日、音楽を聴いていない。参ったな。

2013年02月16日(天気図記念日)
 HACOの作品に『Stereo Bugscope 00』(2004年)というCDがある。これはパソコンなどの電子機器に、特殊なマイクを近づけ、その機械が発する音を録音したものだ。このCDを聴くと、普段は気にも留めない音が、非常に多く発せられていることに気づく。

 昨日、家で本を読んでいた。ひとりでいたためだろう。冷蔵庫、換気扇のダスト、電気ストーブなどそのどれもが、様々な音を発していることに気づいた。その音は小さい。だが確実に、常に、音がある。静かなようでいて、本当の静けさは得られないのだろうか。ひとりでいるだけに、これらの音が耳に刺さる。

2013年02月15日(春一番名附けの日)
 ここのところ、短編ばかり読んでいた。長いものが読めなくなったからである。心理的な影響からだ。そしてここ数日は、ショートショートばかり読んでいる。短編も読むのがつらいからだ。

2013年02月13日(苗字制定記念日)
 過日、テッド・チャンの短編集『あなたの人生の物語』を読んだ。ことによると、以前、雑記で書いているかもしれない。再読なのだ。

 それにしても――面白い。以前読んだのは、随分と前になる。そのためストーリーは全て忘れていたが(却って楽しめた)、いや、その構成の巧みさに驚かされるばかりだった。

 収録作品全8編、どれも水準が高い。中でも白眉なのは、「バビロンの塔」「あなたの人生の物語」の2編。前者はどこまでも高くそびえたつバビロンの塔を、最長まで極めた男の話。後者は、エイリアンの言語を解読する、言語学者の話。

 これに続くのが、「地獄とは神の不在なり」。天使が現れる時、災いが起こる世界で、妻を失った男がいかにして神を愛するようになるかという話。

 「バビロンの塔」は奇想天外かつ、独自の世界を構築するのに成功している。「あなたの〜」は、まさにハードSFだ。「地獄とは〜」は、自然災害を天使の降臨という超自然的なものに帰した、言ってみれば現代版ファンタジーだ。

 このような全く別個の作品を描き分けるチャンの手腕もすごいが、本の最後に収録された解説で更に驚かされた。作者はかなり敬虔なクリスチャンだと思って読んでいたが、全く宗教的背景がないそうだ。それでいて、これだけの作品が書けるとは。すごい。

2013年02月12日(ダーウィンの日)
 ここのところ、東京およびその近郊では週の中ごろに、雪の予報が出ている。ウェールズでも、既に月曜日に雪が降ったようだ。中部のポウイスで7センチの積雪を観測している。

 雪は眺めているだけならば、綺麗だ。心も癒される。だが、それが都市部の交通などに及ぼす影響となると、眉をしかめたくなる。事実、成人の日に東京に降った雪は、交通を麻痺させた。ウェールズでは、学校が休校になった。だがそれでも、雪を眺めたくなる時がある。

2013年02月06日(海苔の日)
 過日観た映画(DVD)より一本。『ダブリン上等!』。2005年アイルランド、イギリス。様々な問題を抱える、ダブリナーズの若者たち(と若者以上の人ら)が繰り広げる群像劇。全員が一同に集うことはないが、主人公7人(以上?)はどこかで、誰かが、つながっている。面白い映画だと思う。何よりも、『ウェールズの山』でパブの主モルガンを演じたコルム・ミーニイと、『麦の穂を揺らす風』のキリアン・マーフィのふたりが、同じ映画に出ているというだけでも良い。

2013年01月30日(3分間電話の日)
 スタバのコーヒーは、店にもよるのだろうが、カップだとぬるい。やはりタンブラーが良いな。綺麗なステンレス製の紅いタンブラーを持っているのだが、そういえば最近、活躍していないな。

2013年01月29日(昭和基地開設記念日)
 イギリスが揺れている。現在、イギリスで連立与党の片割れである保守党(もう片方は自由民主党)は、単独与党として返り咲くために、EUから脱退するか残留するかを、国民に向けて問うている。もし保守党が単独与党として2年後の2015年に政権に返り咲けば、2017年までにEUを脱退する可能性があるという。これは去年の11月に触れたとおり。

 これに対し、スコットランド議会はEUに留まることをすぐさま表明した。ウェールズ議会も、遅れながら、EUに留まることを公表。

 そしてこの度、ウェールズ党(Plaid Cymru)党首であるリーアン・ウッド(Leanne Wood)は、たとえイングランドが脱退を評決しても、ウェールズは単独でEUに留まることができるようにすべきだと、公式に発言した。

 ウッド曰く、「もしEUの構成国であるための論点が“国益”のためであるとするならば、火を見るよりも明らかなのは――私たちはひとつの国ではないということ。私たちは4国なのです」。

 そうだね。その通りだ。常々言われることだが、私たちがイギリスと読んでいる国は、3つの王国と1つの皇国からなる“連合王国”なのだ。“イギリス”は揺れている。だが、その構成国は揺れていない。それが本当の“イギリス”像なのかもしれない。

 しかし、これだけを書くのに、息が切れる――。

2013年01月27日(料理番組の日)
 @今更ながらPINKの音楽を聴くと、80年代の香りがぷんぷんして、ある種、良かったなぁと思う。その当時、矢壁アツノブ氏(PINKのドラマー)が機械のリズム(ドラムマシーンのリズム)に人々が飽きてきて、人と機械の両方の気持ちの良いリズムへと移行してきている、と発言している。だが当時、そのような音楽はなかった。むしろ80年代後期に生まれたのは、機械のリズムそのままのハウスだった。

 その後、90年代に入って大幅なサンプリングが世間を一掃する。サンプリングとはつまり、人が弾き出した気持ちの良いリズムを、機械で一部分を切り取る。それを何度も何度も機械的に再生する。これがサンプリングで流行った手法だ。そうすることで人と機械の両方の気持ちの良いリズムが生まれる。矢壁氏の予言は、的中した。

 A気づけば、手が痛む。指が切れている。まただ。どうしたらよいのだろう。何をしたら良いかわからず、そして、何もできず。ただ時が過ぎ行く。そしてその時に、飼いならされていく。悲しい。

 Bふと部屋のCDラックを見渡す。好きなCDのジャケットが、目につくように飾ってある。そのジャケットを眺めていて、気づいた。私は人の顔が、その表情が好きなのだと。ドミニク・ヴィスしかり、野平一郎しかり。デビッド・ボウイの『ロウ』『ヒーローズ』『1.アウトサイド』。ピーター・ガブリエルの『V』。ピアソラにマイルス、そして大好きなチャーリー・パーカー。どれもアーティストの顔の表情を鮮明に捉えている。

 そして今、ビル・エヴァンス・トリオの『ポートレイト・イン・ジャズ』を聴いている。このジャケット写真では、ビル・エヴァンスは厳格に、まっすぐ、何かを見据えている。その視線の先にあるのは何だろうか。そして私には今、それを見る力はない。私には――何もない。

2013年01月26日(料理番組の日)
『ぼくのエリ 200歳の少女』。2008年スウェーデン。舞台はストックホルム郊外。主人公12歳の少年オスカーは学校でいじめにあっている。また両親は離婚し、今、オスカーは母親と一緒に暮らしている。孤独なのだ。

 その孤独な彼が住むアパートの隣の部屋に越してきた少女エリと、オスカーはアパートの庭で知り合う。次第に彼と愛し合うようになるエリは、吸血鬼だった――。

 雪の白と鮮血の赤の対比が、何とも鮮やか、かつ、詩情豊かに描かれている。伝説の吸血鬼との恋物語を描いた作品は他にもあれど、これはその詩情豊かな映像美で群を抜いている。特に凍った河と雪の情景の描き方が、非常に上手い。白眉と言っても良い。

 [ここからネタばれ]。ラスト間際で、オスカーがいじめっ子の兄から復讐される場面がある。この後、エリとオスカーの電車での逃避行のシーンがあるが、その直前で終われば、この作品は映画史に残る大傑作となった可能性がある。非常に完成度が高い。お勧め。

2013年01月23日(料理番組の日)
 一昨日(21日)の予報は、当たらなかった。良かった。しかし東京郊外、多摩川を越えた向こう側に行くと、未だに雪を見ることができる。ところで東京および近郊では、本日夜から明日の早朝にかけて、再び雪の予報が出ている。当たるのかな。

 一方、ウェールズでは降雪がひどいことになっている。現在でも雪の後遺症が残っているのだが、更に最大で10センチもの積雪が予報されている。もちろん、MetOffice(※日本の気象庁にあたる)は警戒を呼びかけている。既に425校の学校が休校となり、山道は通行止めになっている。南のカーディフでも、速度制限を強いている道路がある。

 雪は傍から観ていると、美しい。だがひとたび降雪に見舞われれば、特に都市機能には障害を引き起こし、時に、都市機能を麻痺させる。だが、それでも・・・ 雪を観たいな。否。雪を観に、雪国に行きたい。行けば、少しは癒されるだろうか。

2013年01月21日(料理番組の日)
 先週の月曜日(14日)、東京および近郊では記録的な降雪となった。週末になっても、その面影をみることができたほどである。しかしながら、天気予報では今夜から明日朝にかけて再び雪だという。本当かな。昼間の快晴からは想像できないが。

2013年01月15日(小正月)
 昨日、何をするともなしに(何もできないのだが)、以前録画したNHK-BS『ワイルドライフ』のウェールズの回を眺めた。

 そこではウェールズの自然が、ただただ映し出されていく。特に劇的な描写もない。ドラマもない。あるのは、普段、見慣れたウェールズの自然。それと同時に、カメラでしか撮ることのできないウェールズの自然の姿。

 そしてそれらが、テレビのカメラという特性を生かした映像美を通じて、映し出されていく。そこにあるのは、野生のウェールズの自然だけだ。それが、いい。

 ウェールズに行きたいな。そう、ふと思った。自然に触れたい。自然は厳しかろう。それでも、ウェールズの自然に触れたい。

 番組の後半では、西ウェールズの海と野鳥が映し出された。牧師という仕事に疲れたR.S.トマスが、毎日のように眺めたであろう鳥たちだ。トマスが鳥を探し、遠くから眺めた気持ちもよくわかる。

2013年01月14日(鏡開き/成人の日)
 ウェールズでも降雪が報告されているが、東京および近郊では今朝から雪になった。しかも大雪だ。

 今日は祭日だったのが幸いした、という人もいるだろう。だが一方で、今日は成人の日。晴れ着姿で成人式の会場へと向う新成人は、大変だったと思う。

 東京近郊では夜には雪はやんだようだが、そうなると次は明日の朝、凍結などによる交通への影響が怖い。公共の交通機関の遅れなどに備えた対策が必要だ。

2013年01月11日(鏡開き)
 残念なニュースが入った。BBCウェールズは、S4Cと並び、ウェールズ語の音楽を放送してきた数少ないメディアだった。それが去年よりお伝えしてきたイギリス政府の予算削減の関係から、BBCウェールズ(ラジオ・カムリ)は「ウェールズ語の音楽に対する我々(BBCウェールズの)継続的支援は、決して保障されえない」と発表した。

 これは国からの予算削減を受け、ウェールズ語音楽の著作権料へその限られた予算を割り当てることが困難になったためと説明している。

 自国の言葉とその文化を守ること。それはメディアの大きな役目だと思う。しかし、どこもかしこも金か。目先のことにとらわれ、将来的ヴィジョンのみならず、魂も失われたか。やれやれ、と言ってばかりいられない深刻さである。

2013年01月07日(七草)
 一昨日、ふいに夜空を見上げた。美しいオリオン座が、東京の夜空でも見られた。冬だね。寒さはことのほか厳しい。だが夜の星空は、東京でも、美しかった。

2013年01月05日(初水天宮)
 過日、観た映画(DVD)より対極的な作品を2本。

 @『ある子供』。2005年ベルギー、フランス。ふたりの少年を使い、盗みを繰り返すことで日銭を得る青年ブリュノ。その恋人ソニアは、ふたりの間にできた息子ジョンを生んだばかり。だが父親としての自覚が全く目覚めなかったブリュノは、盗品を売りさばくのと全く同じ感覚で、子供を金に変えてしまう。そのことを知ったソニアは、ショックから入院。事の重大さを気づいたブリュノは、何とか子供を返してもらうが・・・ 。

 非常に硬派な映画。何もない安アパートでソニアと暮らしつつ、手下の少年らと“隠れ家”をもつブリュノは、体は大きいがまさしく子供そのもの。盗みといってもひったくりや万引きで、マフィアにもなれない。小物だ。

 一方、その恋人ソニアも赤ん坊が生まれたことで母性は目覚めるものの、ブリュノとふざけあい、わずかな金でブリュノとおそろいのジャンパーを買ってしまうなど、未だ精神的には子供である。タイトルの「ある子供」とは、息子ジョンであり、ソニアであり、ブリュノであるのかもしれない。なお、BGMはエンドロールに至るまで、一切なし。それにも関わらず、画面に釘付けになった。お勧め。

 A『ミッション:8ミニッツ』。2011年、アメリカ。シカゴで列車爆発テロが発生。爆破テロ犯特定のために、主人公スティーヴンスはテロ犠牲者の脳内に潜入するというミッション(作戦)に参加する。潜入できるのは、死亡直前の8分間だけ。スティーヴンスはその最後の8分間に何度も潜入を繰り返すことで、事実を学び、積み重ね、犯人に近づいていく。だがスティーヴンスが犯人を捕らえても、それはいわば仮想現実内でのこと。現実世界で列車の乗客を救えないという事実から、スティーヴンスは作戦に疑問を抱き始め・・・ 。

 人の脳は死後、その死から遡って8分間を記憶しているという科学的な設定に基づく(※この確証性については不明)、SFクライム・アクション。その記憶をコンピューターで仮想現実化し、そこに潜入するというアイデアは、まさにサイバーパンクさながら。展開が非常にスピーディで、ストーリーに説得力もある。最後には思わず、うなった。すばらしい作品だ。こちらもお勧めである。

2013年01月01日(元旦)
 去年、最後に聴いたのはキング・クリムゾンの「太陽と戦慄」。

 今年、最初に聴いたのは武満徹の「遮られない休息」。

 今年は、今住んでいるマンションの下で、若者の集団がカウントダウンする声で明けた。

 新年が明けると同時に、歓声があがり、爆竹がなった。そして昨日、買っておいたケーキを食べた。このような年明けも良いかもしれない。

 さて、今年も皆様にとって良いお年でありますように。今年も幣サイトをよろしくお願いします。







文章:Yoshifum! Nagata
(c)&(p) 2013: Yoshifum! Nagata






目次はこちら。
サイト・トップはこちら。